槍平小屋ニュース 

槍ヶ岳・飛騨側登山ルートの要衝、槍平小屋から日々の出来事や最新登山道情報をお届けします。

槍平小屋ニュース 20200619

2020年06月19日 | 日記

(ブログ記事を引用・抜粋される方へのお願い・・・このブログ記事全文が確認出来る形式での引用・抜粋のみを許可させて頂きます)


※ 槍平小屋は7月14日まで休業中です。今期の営業形態などについてはこのブログでお知らせして参りますので、お電話による頻繁なお問い合わせはご遠慮頂きますよう、よろしくお願いいたします(7月15日以降の営業詳細については6月末にお知らせ予定)槍平キャンプ場のトイレは現在使用出来ませんのでご注意下さい。

槍ヶ岳・飛騨沢ルート落石情報 (必ずご確認ください)


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槍平キャンプ場は今、ダケカンバ、ナナカマドの眩しい新緑に囲まれています。雪解け水のせせらぎは、期間限定のBGM。見えている主な山々は左手から、北穂高岳、滝谷ドーム、涸沢岳、西穂高岳です。蒲田富士をご存じで、その右手に小さく見えている奥穂高岳、ジャンダルムが確認出来たアナタは相当な槍平マニア!?かもしれません。

 

美しい風景だけをご紹介してブログを閉じることも可能なのですが、皆さんは小屋番がトップ画像のどこに一番注目していたのか、おわかりになるでしょうか?

「昨年より、流路が良くないな・・・」

4代目小屋主人が仕上げているのは増水対策の蛇篭です。梅雨や台風接近時の大雨で、飛騨沢からの流れは濁流となって荒れ狂います。1シーズンの中だけでも大雨のたびに沢の本流は何度も流路を変え、小屋敷地内への流入も懸念材料。今のうちに、人力でやれる範囲の対策をとります。

 

更新担当がまだ十代だった頃、北アルプスの高峰にあこがれる九州の青年は、名だたる3000m峰の頂上を踏むことだけを目指していました。「とにかく、あそこに登りたい・・・」という気持ちを写真に例えるなら、山頂だけにピントを合わせた、f値(被写界深度)の小さなマクロレンズで撮影された写真だったのかもしれません。もしも、山で過ごすシーズンごとに”気持ちのf値”がひとつずつ加算されていくとするなら、今年はf25の被写界深度でこの風景に向き合うことになります。今はもう”見たいものだけを見る”ということは立場上も許されませんが、その代わり、今までピントが合わずにいたものに気づき、思いもよらなかった感情が沸き起こるのを確認する機会も得ています。

新緑が芽吹き、ミネザクラが咲き誇る優しい画像の背景で、ポコンッと飛び出しているのは滝谷ドーム。登山道落石情報で昨日お知らせした場所のすぐそばです。同じ風景の中に、魅力も危険も同時に存在しています。頂上に立ちたいアツイ気持ちだけにピントを合わせていると、そこへ向かうルート上の危険に対する注意力はぼやけてしまって、大きな事故につながりかねません。情熱は情熱として大切に、けれどもその時、同じ風景の中に見えている危険にもしっかりピントを合わせて見つめて下さい。


※ ヤマップさん(YAMAP)の”山小屋支援プロジェクト”に参加させて頂きました。

  山小屋支援プロジェクト

※ 山と渓谷社さんの”山小屋エイド基金”に参加させて頂きました。

  山小屋エイド基金