選挙に落ちた父は
その冬
毎年数回行っとる
ワカサギ釣りに出かけた。
「今日は2000匹釣れた」
などと
嬉しそうにうちまで持って来てくれた。
わざわざすまんねー
とゆうと
「ついでだで」
と。
地元の支援者
や
隣町の馴染みの人
の家に
配って回っていた。。。
自分の家で食う分は
ほとんど残っていなかった。
じいちゃんあんた、、、
多分4年後出るんだね。
おいらがそう感じた瞬間だった。
夏には鮎釣り
冬にはわかさぎ釣り
春と秋には
公園の草刈
他にも色々ボランティアでやっとったようだ。。。
4年後の7月
おいらは次女を出産した。。。
案の定出馬すると聞き
ゆりかごに次女を入れて足で揺らしながら
電話帳片手に電話をしまくった。。。
選挙戦
実家には一度も行かなかった。
実家に家族で行った時
選挙のことで
父と喧嘩になり
「私はもう知らんでね!なんもせんでね!」
とゆったからだ。
「お前が帰った後」
「ああはゆっても」
「あいつは絶対にやってくれるやつだ」
「と」
「お父さんゆっとったよ」
と
後から帰ってきた夫から聞いた。
投票日の夜
父から電話がかかってきた。
「お前にも俺の当選したところを見て欲しい」
まんだ当選するかも分からんのに
当選なんて事をゆう父に
腹が立って
おいらは実家に行かなかった。。。
夫から
「下から2番目だけど通ったよ」
と
電話がかかってきた時には
泣けて仕方がなかった。。。
次の日
実家に行くと
父がどこの会派に入るか決めかねていた。
同じ地区のベテラン議員から
「俺と同じ会派に入れ」
「そうでないと俺にも考えがあるで」
「そのようにやらせてもらう」
と脅しを入れられていたようだ。。。
前々から
その議員の事を嫌っていた父は
「俺にもプライドがある!」
と
一匹狼を貫こうとしていた。
おいらは嫁ぎ先から
「同じ会派に入ってもらわないと」
「恥かしいことになる」
と
脅されていた。。。
「じいちゃんはそいつと離れたところに住んどるでええけど」
「私が住んどるのはそいつの隣町なんだよ!」
「うちの人間がなんぞ言われるかもしれんやん!」
「当選するまではプライドもなんも捨ててやってきたじゃん!」
「当選したとたんにプライドどうのってなんなんだよっ!」
と
泣きながらおいらは訴えた。
最終的に
おいらの言葉が届いたか
そいつと同じ会派に入ったほうが
議会での発言がスムーズに行くと思ったか
どうかしらんが
同じ地区の議員と同じ会派に入る事になった。。。
当選したばかりの時は
「あんな新しく出来た町の議員に何も頼まん!」
と
昔からの旧の人たちがゆっとったが
やはり
近くに議員がおるってのは都合が良いようで
「あそこにミラーをつけてくれ」
「うちの前は水はけが悪いでどうにかしてくれ」
など
横を向いていた人が
相談してくれるようになった。。。
父が4年間頑張った結果が
数字として
2期目挑戦の
投票日に反映した。。。