聞き取り調査の際、HDカメラを使うが、映像だとインフォーマント(情報提供者)に拒否される事もある。また、データやバッテリーを喰うので一部始終を記録出来ている訳ではない。
この意味で、現状では録音のみを行っておく方が記録化方法としては合理的な場合がある。少し前までは音声の記録を行っていたのだが、会議用のICレコーダーを使っていた。だが、感度がいまひとつ悪い。
特に高齢者からの聞き取りでは、すっかり忘れ去られて今では知る人が殆んどいない歌などが突然出てくる事もある。これはきちんと記録保存しておかないといけないと考え、音質に優れたPCM録音が可能な機材が欲しいなあと思っていたのだが、ハンディで性能がいいものは値段が高く、手が届かなかったり、あってもいま一つ感覚的に馴染めなかった。
最近、ようやくSONYのPCM-M10を調査研究用に入手した。高音質で電池の持ちがよく、フィールドにも持ち運びし易いサイズで、しかも安価であるという事で選択した。
早速操作性や性能を試してみたいので、今山の十日恵比寿に持っていき、聞き取りを行ってみた。
録音レベルの調整は通常、ヘッドフォンで確認しながら行うのだが、この機器ではオート設定で自動的に音量調整もしてくれる。今回は内臓マイクのままで両方を試す。
オート設定ではやや音が小さいかなという感じもしたが、利用者がまだ慣れていないのかもしれない。感度が高いと機材のボディを手でちょっと擦っただけで、音を拾ってしまうようだ。こういった場合は三脚に取り付けて録音する方がいいのだろう。
後で音を聞いてみて、かなり感動。今まで会議用のICレコーダーしか使っていなかった身にとっては、中学生時代にオーディオマニアな美術の先生が持ってきたデンスケを使って、メタルテープで録った時と同じような高音質なイメージを思い出す。
街の音をよく記録してくれる機材は、新しい魅力の発見にもつなげられそう。
目指すはNHK-FMの名作、"音の風景"か。
#あと、この機材を手に入れた事によって、さらなる可能性も。
##うちの若い衆(4年生)が、ようやく全員卒論を提出し終えました...。
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