山崎裕二 活動誌 ブログ版

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国民の祝日に関する法律に規定する成人の日と改正民法で規定する成年

2023-01-11 11:45:48 | 地方自治六法関連

 国民の祝日に関する法律において、1月の第2月曜日を成人の日としています。

国民の祝日に関する法律 第2条

「国民の祝日」を次のように定める。

 元日 1月1日 年のはじめを祝う。

 成人の日 1月の第2月曜日 おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

以下、略

 成人の日は、1948年(昭和23年)の法律制定当初からあった計9日の国民の祝日の1つです。

 国民の祝日として、成人の日やこどもの日を選定した理由は、戦後間もない厳しい状況のもとで、当時の立法関係者が、国の将来を担う若者に大きな期待をかけていたことの現れといえます。1948年(昭和23年)7月3日の参議院 文化委員会(PDF)「祝祭日の改正に関する調査報告書」では、国の建て直しをするには、人物を養うことが根本の要件であるとの考えが示されるとともに、古くから元服や裳着などの習わしがあったことに触れ、成人の日は、それらの精神を生かして、青年男女が国家、社会のため、進んでは世界人類のためにつくそうとする自覚を持たせるところにねらいがあるとの説明があります。

 なお、祝日法の制定時、成人の日は、1月15日でした。この日を選んだことについては、同報告書のなかで、元来、元服は正月に最も多く行われている。…(中略)…宮中や公家の間では正月5日までの間に行われ、武家の場合は正月11日が多かった。そこで、この草案では、国民の日という建てまえから、わざと公家や武家の行った日を避け、しかも松の内の日を選んで15日としたとあります。

 その後、1998年(平成10年)の祝日法の改正によって、2000年(平成12年)から、成人の日は1月の第2月曜日となりました。

 他方、明治時代から約140年間、民法において、成年年齢は20歳と定めていました。この民法を改正し、昨年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わりました。

 ちなみに、成年という言葉に馴染みが薄いとしても、対義語の未成年(20歳未満→18歳未満)には馴染みがあると思います。

 これによって、2022年(令和4年)4月1日時点で18歳、19歳の方は2022年(令和4年)4月1日に成年となりました。また、2022年(令和4年)4月1日以降に18歳になる方(2004年(平成16年)4月2日以降に生まれた方)は、18歳の誕生日から成年となります。

民法 第4条

(成年)

 年齢18歳をもって、成年とする。

 近年、公職選挙法の選挙権年齢や憲法改正国民投票の投票権年齢を18歳と定めるなど、18歳、19歳にも、重要な判断に参加してもらうための政策が進められてきました。こうしたなかで、市民生活に関する基本法である民法でも、18歳以上を大人として扱うのが適当では…という議論が起こり、成年年齢の18歳への引き下げがありました。

公職選挙法 第9条

(選挙権)

 日本国民で年齢満18年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。

2 日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

3 日本国民たる年齢満18年以上の者でその属する市町村を包括する都道府県の区域内の一の市町村の区域内に引き続き3箇月以上住所を有していたことがあり、かつ、その後も引き続き当該都道府県の区域内に住所を有するものは、前項に規定する住所に関する要件にかかわらず、当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有する。

地方自治法 第18条

 日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

日本国憲法の改正手続に関する法律 第3条

(投票権)

 日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する。

 なお、20歳(はたち)の集いなどの名称変更はさておき、多くの自治体で、以前の成人式の様式で、20歳を迎える年度に生まれた方を対象として、式や集いを開催したことについては、法律(決まり)によるものでなく、各自治体の判断にもとづいたものと評価できます。

 国民の祝日に関する法律で規定する成人の日(前後)に開催されることが多い成人式の要件を、民法で規定する18歳の成年に合わせることに固執しなかったことに関しては、特に異論や混乱もなかったと察しますが…。


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