山崎裕二 活動誌 ブログ版

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公職選挙法 寄附禁止のおさらい

2024-07-05 16:45:00 | 地方自治六法関連

 昨日の研修会で学んだ公民権停止を伴う公職選挙法 第199条の2第1項に規定する寄附禁止について、改めておさらいします。 

(1)候補者等本人の行う寄附の禁止とは

 候補者等(候補者、候補者となろうとする者及び公職にある者)は、当該選挙区内にある者に対し、どのような理由かを問わず、寄附をしてはいけません。

 寄附の禁止は、選挙運動期間であるか否かを問わず、いつでも禁止されます。

(2)寄附とは

 寄附とは、お金だけでなく、物品、その他財産上の利益になるものを与えたり、与える約束をしたりすることで、売買代金や会費・党費など決められた額を支払う義務のあるもののように、債務の履行として、支払うものは寄附にはあたりません。

 ただし、債務の履行のかたちをとっていても、例えば、経済的な価値が極めて少ない物に対し、法外な支払をする場合は寄附とみられることもあります。

問 政治家は、正月に自宅に来た選挙区内にある者に対し、酒食を提供することができますか。

答 できません。

問 政治家が会費制の結婚式に自ら出席し、定められた会費を支払うことは差し支えありませんか。

答 定められた会費である限り、禁止されません。⇒ 対価性が必要

問 政治家自身が喪主を務める葬儀に際して、選挙区内にあるお寺の僧侶にお布施を渡すことは禁止された寄附にあたりますか。

答 読経などに対する報酬として行うものであれば、債務の履行として認められる限り、禁止された寄附にはあたりません。

問 政治家が選挙区内にある者に対して、もらった香典に対するお返し(香典返し)を贈ることはできますか。

答 その地域において、香典返しが社会習慣として定着し、一種の義務的な性格をもつものである場合、もらった香典に対する返戻の程度(香典の半額程度)の香典返しであれば、寄附にあたりません。

(3)選挙区内にある者とは

 旅行などで一時的にその選挙区内に滞在している者も含まれます。

 選挙区内に住所を有している者に、選挙区外で寄附することも違法です。

 子どもも対象になります。

 会社・団体なども、事務所や施設が当該選挙区内にあれば、当該選挙区内にある者 に該当します。

 選挙区が含まれる地方公共団体に対する寄附も例外ではありません。

問 政治家は、子どもにお年玉をあげてもいいですか。

答 親族(六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族)である子どもに対してであれば、可能です。

問 政治家の選挙区外に住所を有する友人に不幸があり、たまたま当該政治家の選挙区内にある葬祭場で葬儀が行われる場合、供花や花輪を出すことは差し支えありませんか。

答 選挙区内にある者とは、当該選挙区内に住所を有していなくても、寄附を受ける際に当該選挙区内に滞在する者も含まれます。

問 市長や市議会議員がその報酬の一部を返上することはできますか。

答 禁止された寄附にあたり、そのため、報酬の返上または減額は、報酬条例の改正による減額措置により、行うことになります。

(4)いかなる名義をもってするを問わずとは

 純粋な慈善目的であっても、禁止されます。

 赤い羽根募金も、被災者支援の募金も、町内会のお祭りの寄附も、一切の寄附が禁止されます。

問 政治家が自治会で集める被災地支援の募金に応じることはできますか。

答 たとえ被災地支援という名目であっても、債務の履行ではない募金を政治家が行うと罰則の対象になります。

問 地元の高等学校野球部が全国大会に出場することになり、市議会議員有志で激励金を出し合い、議会名義で渡すことはできますか。

答 名義上、議会となっていても、実質的に個々の議員からの寄附である場合は禁止されます。


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