はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

畑に潜む危険な虫

2022年05月03日 | 危険な生き物のお話

 あぶない虫と言えば、真っ先にスズメバチやマダニが頭に浮かぶと思います。

 今回は、畑に潜むスズメバチやマダニ以外の危ない虫についてのお話です。

 体内に毒液をもつタイプの虫で、その毒液に触れると皮膚炎を起こしてしまいます。

 

 「アオバアリガタハネカクシ」

 体長約6-7mmと非常に小さい虫ですが、体液にペデリンという成分を含み、うっかり潰して、皮膚に体液が付着すると水膨れが起こり、体質によっては、激痛が続くこともあります。

 また、体液が眼に入ると、激痛があり、結膜炎や虹彩炎を引き起こすことがあります。

 もし、体液が皮膚に付着したら、その部分を水でしっかりと洗い、ステロイド含有の抗ヒスタミン剤を塗布し、冷やして下さい。

 眼に入った場合は、すぐに水で洗い流し、病院(眼科)での診断を受けましょう。

 

 アオバアリガタハネカクシは、湿気のある場所によく潜むため、水田や河原などで、よく出会います。

 写真だけでは、サイズ感が分からないと思うので、動画をご覧下さい。

 小さい姿でウロチョロするので、畑仕事の際は、うっかり触れたり、潰したりしないように気をつけて下さい。

 

「ツチハンミョウ」

 青っぽいボディに「おっ!」と、引き付けられる方がいるかもしれません。(僕は引き付けられるので(^_^;))

 しかし、うっかり触れて、刺激を与えてしまうと、関節から黄色い毒液を出し、その毒液が皮膚に付着すると水膨れが起こり、激しい痛みを伴います。

 この黄色い毒液には、「カンタリジン」という成分が含まれており、この毒液が体内に入ると死に至ると言われています。

 ちなみに、致死量は30mg・・・だそうです。

 

 実は、ツチハンミョウの毒は、江戸時代に暗殺用の吹き矢の毒液として使われていたそうです。

 いわゆる「ハンミョウの毒」とは、このツチハンミョウの毒をいいます。

 

 ツチハンミョウは、森の中にも生息しますが、普通に畑でも見かけます。

 動きがゆっくりなので、畑仕事の際は、うっかり触れたりしないよう気をつけて下さい。

 

 ツチハンミョウと同じく「マメハンミョウ」という虫も、「カンタリジン」を含む毒液を出します。

 このマメハンミョウも暗殺に使われていたらしい・・・です。

 マメハンミョウの死体を乾燥させ、粉末にしたものとご飯を混ぜ、ターゲットに食べさせていたそうです。

 また、マメハンミョウは、ダイズ、ジャガイモ、ナスなどを食害する農業害虫でもあります。

 このような作物を育てている方は、マメハンミョウに気をつけて下さい。

 なお、マメハンミョウの写真は、僕の手元にないので、写真なしで説明させていただきました(^_^;)。

 

 なお、ツチハンミョウやマメハンミョウの毒液が皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流し、冷湿布し、抗ヒスタミン剤含有ステロイド剤を塗布して下さい。

 症状が酷い場合は、病院(皮膚科)を受診して下さい。

 

 以上のように、ハチやマダニ以外にも危ない虫が、身近に潜んでいます。

 畑仕事や除草作業など、土に触れるときは、アオバアリガタハネカクシやツチハンミョウに気をつけて、作業して下さい。

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スダジイ ツブラジイ(コジイ)

2022年05月02日 | 樹木・草花のお話

 シイノキの花が咲く季節になりました・・・。

 シイノキが多い地域では、「生臭い感じのニオイ」がしませんか?

 個人的に、このニオイ、シイの木の花の香りが大嫌いです。(>_<)

 

 黄金色っぽくて、見た目は美しいですよね・・・

 でも、ニオイがダメな私にとって、このような景色は、結構、気が重い・・・・です。

 

 花は臭い・大量の雄花が落ちて汚い・枝葉の展開を優先するあまり、根元が疎かになりやすいから倒木の危険がある。

 まさに、臭い・汚い・危険の3K。

 だけど、シイの実は美味しい。

 そういう意味では、動物たちの貴重な食料源にもなる。

 さらに、大量に付けた花は、ハナムグリ、ハナカミキリ類、カミキリモドキ類、ゾウムシ類など色々な昆虫の食料になるので、森林生態系システムを支える重要な極相種の1つであることも理解してます。

 だけど、それを考慮しても、やっぱり、シイノキは好きになれない!

 

 深根性樹種だけど、倒木のリスクを考えておかないといけない。

 リスクヘッジで、伐倒しようと思ったら、幹が裂けやすいから伐採も危険。

 薪に使おう!と思っても、水分が多量に含んでいるから持ち出そうにも重たい。

 苦労して、搬出しても、薪割りしにくい。

 苦労して、薪割りしても、薪としての火保ちはイマイチ・・・。

 

 あっ、苦労が加わるから、「臭い・汚い・危険・苦労」の4Kか!

 

 ちなみに、基本的に好きではないのは、「ツブラジイ」です。

 「スダジイ」はそれほど、イヤではないです。

 同じシイノキなのに、実は、この2種の差は大きいです。

 

 紀州備長炭の製炭者も言ってました。

 「スダジイはまぁまぁの炭になるけど、コジイ(ツブラジイ)はあかん!」。

 製材もシイノキと言えば、スダジイで、ツブラジイ(コジイ)ではないらしい。(最近はツブラジイも製材されていますが・・・)。

 ホント、この2種の違いは、何なんだろう?、と不思議に思います。

 

 さて、この2種類のシイノキの見分け方ですが、一番の確実なのは「実」です。

 実が小さい「ツブラジイ(コジイ)」と実が大きい「スダジイ」。

←ツブラジイ(コジイ)

←スダジイ

 

 あと、実の大きさ以外だと、

 実の殻斗が4裂ならツブラジイ。

 3裂ならスダジイ。

 たまーに、スダジイとツブラジイの雑種で、4裂のスダジイもあったりします(^_^;)。

 

 

 この2種類、葉や花だけでは、見極めるのは、非常に困難です。

 まず、ツブラジイの雄花と雌花。

 

 次に、スダジイの雄花と雌花

 

 そして、ツブラジイの葉とスダジイの葉。

 


 実の次に、比較しやすいのは、樹皮です。

 樹皮が割れるとスダジイ。

 滑らかだとツブラジイ(コジイ)。

 たまーに、樹皮が割れるツブラジイもあったりしますが、それも・・・雑種なのかな(^_^;)。

 

 分布域の標高差や開花時期に違いがあるように感じるものの、それは「感じ」であって、やはり、明確には分けられないそうです。

 

 

 少し、シイノキ、いや、「ツブラジイ」についての愚痴を・・・(>_<)

 

 ツブラジイは、芽生えると上へ上へと成長し、広い空間にたどり着くと大きく枝葉を広げ、光合成が行えるスペースを確保します。

 手当たり次第、枝葉を広げるっと言った感じ。

 中には、根の広がりを後回し(?)にしているのか、根が浅く、ちょくちょく倒木するものもあります。

 強い風が吹いて倒れたり、幹のような大きな枝が折れたりします。

 ちょっとした積雪で倒れることもあります。

 また、干害でも枯れやすい。

 ツブラジイは倒木しても、枯れても、萌芽という方法で、その場で再生します。

 

 しかも、倒れる前から萌芽枝を作ったりします。

 また、転倒した幹をそのまま根の代わりにして、再生することも。

 

 ツブラジイの大径木は、実は萌芽枝の集まりってこともあります。

 ツブラジイの生存戦略は、真っ先にエリアを確保し、倒れても、素早く再生し、再びそのエリアを確保する。

 その場を守り続けるのがツブラジイの生存戦略。

 その上、たくさんの実を作り、種子による繁殖も行います。

 

 たくさんの実を作るには、エネルギーが必要や!

 だから、素早く空間を確保せな、あかん!

 だから、根をしっかり張るよりも、枝葉を広げる事が最優先や!

 倒れたら、すぐに、再生すればええねん。

 いっそのこと、倒れた時に備えて萌芽枝も出しとこう。


 と、考えたんでしょうね。たぶん…。

 なので、ツブラジイの森が出来上がると、樹種転換は難しい。

 いざ、伐採しようとすると、裂けやすいから危ないので、・・・怖い。

 しかも、水分が多いから、薪にしようと思って、山から運び出すのも大変。。。

 

 人工林のど真ん中に生えて、植林木を被圧するツブラジイもよく見かけます。

 後から生えてきても、スギやヒノキを追い抜くし。

 巻き枯らしをしても、再生するし・・・

 

 個人的な考えですが、ツブラジイは倒木することを前提に生きているので、家屋や道路付近に生えるツブラジイは、日陰になるし、大木がいつ倒れるか分からないから、危ない気がします。

 根拠もないし、証明するデータもないですけどね。

 でも、実際、積雪の重みで倒れたし・・・・。

 家を建てる前に、「倒木の影響なし!」というツブラジイだけ残した結果が、先の写真です。

 もし、山村地域で家を建てるなら、倒木の影響がありそうなツブラジイを伐採しておくことをオススメします(^_^;)。

 

 と、伐採を勧めておきながら、花は多くの虫たち、実は多くの獣たちの食料源になっているので、森林生態系システムにおいては重要な極相種なんだよなーというジレンマも・・・(>_<)

 

※2016年7月の記事をリメイク

コメント (3)
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