奈良県フォレスターアカデミーにて、森林活動における危険な生き物への対処をテーマにした授業で講師として登壇させていただきました。
危険な生き物との接触による死亡者は、ここ数年間では20名前後です。
林業の労働災害で言えば、危険生物との接触による死亡者よりも伐採由来による死亡者の方が圧倒的に多いですが、危険生物への対処を軽視していい理由にはなりません。
その中で、もっとも命を奪っている危険な生き物は「ハチ」です。
同僚がスズメバチに刺され、口から泡を吹き出したら、あなたはどのような行動を起こし、対処しますか?
同僚ではなく、これが自分の子どもだったら?、自分の親だったら?、友達だったら?、恋人だったら?
もしも、そのとき、自分が正しい対処を、速やかに実行できていたら、救えたかもしれないと、想像したら、どんな気持ちになりますか?
ハチ、毒ヘビ、カエル、ヒル、マダニ、ツキノワグマ、毒きのこ、有毒植物など一通りの紹介と予防と対策のお話をした後、ポイズンリムーバーやエピペン(自動注射器)を実際に使い、最後は、カードを使った危険な生き物との接触による被災者への対処を疑似体験していただきました。
被災者が、どんな生き物と接触し、どこに被害を受け、どんな症状になっているかは、直前まで分かりません。
被災状況が分かった直後から、3分以内に、被災直後の行動・応急処置・通院の判断をしてもらいます。
応急処置を適切に行うには、必要な道具を正しく選ぶ必要があるので、それも体験していただきます。
実際、被害を受けたという状況を迎えないことが一番です。
しかし、こちらが望まなくても、そういう状況を迎えるときがくるかもしれないので、学校にいる間、疑似体験でもいいので、経験することが大切ではないかと考えています。