おもしろニュース拾遺

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酒は飲みすぎても飲まなくても自殺率高い:厚労省

2006-03-02 17:48:18 | 発見
 酒を飲みすぎると体を壊すことは子供でも知っている。しかし飲酒と自殺との相関関係はこれまで調査されたことはなかった。
 厚生労働省の研究班が「男性で多量に酒を飲む人と、まったく酒を飲まない人は、時々酒を飲む人より自殺するリスクが高い」ことを突き止めた。
 「研究班は岩手から沖縄まで8県の40―69歳の男性約4万人を対象に、7―10年追跡調査した。自殺した168人を調べたところ、習慣的に大量に飲酒するグループ(日本酒換算で1日あたり3合以上)は、時々飲むグループ(月に1日から3日)に比べて自殺リスクが2.3倍だった。逆にまったく飲まない人のグループも、時々飲むグループに比べて自殺リスクは2.3倍だった。」(日経3月2日

 確かに大酒を食らう人はその時点でかなりヤケになっている場合が多いから自殺率が高いのは想像がつく。しかしこれほど高い自殺率が確認されたのは初めてという。
 「なぜまったく飲まないグループのリスクが高まるかは今後、調査する」としているが、飲まない人は当然ストレスを貯めこむので、これまた自殺率が高くなるのは当然ではないか。

 この研究結果は厚労省のWebには掲載されていない。代わりに厚労省はWebで<「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。>として、主な酒類の換算の目安を掲げている。それによると「純アルコールで約20g」になるのは、ビールは中瓶1本(500ml)、清酒は1合弱、焼酎35度で72ml程度という。今回の調査では「大量に飲酒」とされた人達はアルコール換算で60g以上を摂取しているということになる。この厚労省のページによると「大量に飲酒」の割合は日本の成人男性4.1%、女性は0.3%という。

 もちろん「節度ある適度な飲酒」は自殺防止の決め手ではない。日本はもともと自殺率の高い国の部類に入る。WHOの資料を見ると、日本は、旧ソ連圏や東欧を除くと最も自殺率が高い(男子)。

 しかもこのグラフ(厚労省の資料から作成)を見れば解るように、近年自殺率は高止まりの傾向にあり、だいたい人口10万人あたり25人の自殺者がいる。日本人全体では3万人以上の水準を維持している。
 グラフからは98年から急に自殺率が上がり、現在に至るまで高止まりしていることが分かる。きっかけは消費税引き上げによる橋龍不況だろう。そして小泉「構造改革」で格差が広がり、絶望した人たちが後を絶たないらしいことが分かる。
 本日発行の「小泉内閣メールマガジン 第224号」で首相は「● 格差社会?」と題する一文にこう書いている。

< 最近、「改革には光と影がある。構造改革を進めた結果、社会の格差がひ
ろがった。」という声をよく耳にします。
 どの国にも、どの時代にも、ある程度格差はあると思います。・・・
 基本的には、企業も国も地域も個人も、自らを奮いたたせて、自分のこと
は自分でやるんだという「自らを助ける精神」と、他人に迷惑をかけないよ
う「自らを律する精神」、この「自助と自律」の精神をもって行動すること
が、どのような時代にあっても大切なことではないでしょうか。
・・・
 挫折した人も、一度や二度の失敗にくじけず、「失敗は成功のもと」と考
え、また挑戦できるような社会にしていくための改革が必要だと思います。>

 しかし実際には日本は「失敗」の許されない社会であり、一度落ちこぼれると取り返しがつかないと思われている。と言うか、失敗は「ご利用は計画的に」地獄への入り口になっている。失敗した人間に群がってさらに血を吸う人間たちは「勝ち組」と呼ばれる。

 また「自助と自律」と言うが、日本の現在の政治家の多くが二世三世議員であり、「親の助けと他律」によって特権を享受する「身分社会」化が急速に進んでいる。

 また防衛施設庁の汚職に見られるように、一度中央官僚のキャリア組のエスカレーターに乗ってしまうと、退職後の天下りによるおいしい生活まで約束される。つまり20代の初めに受けた公務員試験の「成功」だけで人生が保証されてしまうという不合理が生きている。

 いわゆる小泉改革はその「不合理」を糾そうとするものと誤解されていたが、今になって実はそれを温存するものだということが分かった。
 そして野党(と呼ばれるのがイヤだそうだが)の民主党は、その小泉改革の「影」に切り込むと今国会で宣言したのだが、ご存じのような事情で「ポツダム宣言」を受諾して全面降伏。ついに自民党の”間接統治”下に入ることになった。ちょうどマッカーサーが日本支配のために天皇制を温存して活用したように、自民党は前原制を温存して民主党を遠隔操作するつもりだ。<一度や二度の失敗にくじけず、「失敗は成功のもと」と考え、また挑戦>せよと小泉は国会答弁で今日民主党にエールを送った。もう民主党は「我が弟、我が息子です」と思っているのだ。

 今後の日本の政治を想像しただけで、絶望して首をくくりたくなるが、命は大切にせねばならん。ヤケ酒で気を紛らわそうか。ところがこれで自殺率が上がるというからますます絶望は深まるばかりだ。


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