【2014年6月 東洋経済新報社刊
ポール・クルーグマン/ジョージ・パパンドレウ/
ニュート・ギングリッジ/アーサー・ラッファー :町田敦夫訳 】
「クルーグマン+パパンドレウ」の金持ち増税賛成チームと「ギングリッジ+ラッファー」の金持ち増税反対チームの、カナダでの『ムンク・リベート』という公開討論会の発言内容と、個別インタビューを編集した本である。中身を読めば、明らかに『賛成チーム』の方に理がある。
さて、討論の内容は如何に。以下、【本の構成】と、それぞれの要旨をかいつまんでみると・・・・。
【本の構成と主な発言】
はしがき-グローバルな重大テーマとしての金持ちの増税
まずは討論参加者の紹介。
増税賛成チームの「ポール・クルーグマン」はアメリカのプリンストン大学で経済学と国際関係論を教える
ノーベル平和賞受賞の経済学者。「ジョージ・パパンドレウ」は言わずとしれたギリシャの元首相。
それに対する反対チームの「ニュート・ギングリッジ」はかつて共和党の大統領候補にも挙がった元米国
下院議員議長。「アーサー・ラッファー」は「ロナルド・レーガン大統領」の経済顧問もつとめたという
経済学者。
第1章 金持ちからもっと税金を取るべきか
この章は、「増税賛成派」と「増税反対派」の2つに別れての「討論合戦」になっている。
まず各人の基本視点だが、
クルーグマン:良い施策や人道にかなった政策を実行するためには、予算が足りず増税は必要だ。政府はフード
スタンプ(低所得者向けの食糧支援制度)予算を年間20億ドルはどカットするとしているが、
富裕層の増税でそうしたことが避けられる
その際、金持ちへの課税を強化して、税収を増やす必要がある。2011年に高額納税者番付で
上位1%の人々は総計で1兆4000億ドル稼いでいる。彼らの税率を1%の7分の1上げるだ
けで、フードスタンプの予算カットが避けられる
富裕層の税金を上げると経済に悪影響が出るというのは事実に反する
ギングリッジ:富裕層への課税率を上げても意味がない-とういうのは金持ちは優秀な弁護士や会計士を雇って
巧みに税金逃れをして、額面通りの税金をけして払わないからだ
自分は働かないで金持ちから法外な税金を取るというのは道徳的でない
金持ちから税金を取るという《威圧的》《中央集権的》な《大きな政府》というのはもはや時代遅れ
であって、コストを抑え民間に任せるられるものは任せ、《小さな政府》を目差すべきだ
パパンドレウ:税制には抜け穴があり、国際的にも脱税が横行している。国際金融の一員は税金逃れをしている一方、
ギリシャの国民は無理に背負わされた財政赤字で、それら海外の融資者に金を返さねばならない
タックスヘイブンやオフショア・カンパニー等の抜け穴を防ぐ世界的な規模での金融規制を導入する
必要がある
社会の基本的契約として、累進課税を取るべきである
国際競争の時代だから、新興国との競争に勝つため、税率を下げ、賃金をカットし、福祉を削り、
環境基準を緩め、教育予算を減らし、健康保険・年金などのセーフティーネットをはずせ、という保
守派の主張はまちがっている
税率の高い国々においても実際高い競争力がある。社会契約から企業も、人的資源の恩恵を受けており、
比較的平等が確保されている国をみれば、平均余命や健康、雇用など世界のトップクラスである
ラッファー :アメリカの税制の歴史を見れば、税率をあげても税収は伸びないことが分かる。1930年に所得税の
最高税率が25%から83%に引き上げられた時も、高額所得者からの税収は減少した
富裕層は納税を回避することができる。所得の発生する場所、時間、構成をかえ所得の額を変えること
が出来、増税分を素直には払わない
税収を増やすには税率を下げ、課税ベースを広げることだ
包括的な税制改革が必要。非営利公益法人、慈善目的の寄付-そのような全てのもに一律の税率を賦課
すべきである
このような基本視点から、それぞれの発言があり、進行役のグリフィスの先導で討論が始まるのだが、その中味は。
以下、主な発言を要約して、抜粋する。
【努力した人を罰する社会でいいのか?】(P-52)
グリフィス(討論の司会進行役) :米国で最も豊かな400人の財産を合計すると、残る1億5000万人のそれよりも多いそうですが、
ギングリッジ元議長は、金持ちへの課税になぜ反対するのか?
ギングリッジ:「あんたは成功しすぎている。それ故にあんたを罰することにした。」などということはできない。
クルーグマン:これは金持ちを罰するという話ではない!
ギングリッジ:あなたも金持ちだ。
クルーグマン:自分の推す政策によって懐を痛める側ではある(中略)が、かつて中流階級・労働者階級の子弟でも
大学教育を受けらルチャンスはあったが、今はその選択肢はほとんどない。我々には、もっと(援助
する)金がいる。金持ちから税金を取るのは方策の1つだ。
それと、「税金逃れを完全に防げない」ことを理由に、それに反対するのは寂しい議論だ。
【そんな強い政府でいいのか?】(P-55)
ギングリッジ:(クルーグマンが「金が必要」というのは)政府が非効率で、コストが上昇しているからだ。
教育費が高騰するのは、管理職員や教授陣のサラリーが上がっているからだ。
それと、「税金逃れ」できないような強力な政府には恐怖心を覚える。
パパンドレウ:自分は独裁政権下のギリシャで育ったからいえるが、権威主義的な国家を嫌うし、市民に民主的な
説明ができる政府が必要だ。
昨今の『富の集中』は、政府が公益のためでなく、特定の利益団体のために奉仕していることを示
している。それが問題なのだ。
あなた(ギングリッジ)は、政府を否定している振りをして、実はビッグビジネスに奉仕する政府
を肯定している。
【税率ではなく、税制を変えるべきだ】(P-57)
ラッファー :誰だって国民にに奉仕する政府を望んでいるが、「増税は国民のためにならない」。税制改革が
税収を上げる手段である。
1986年の税制改革のときに、『個人所得税の最高税率を50%から28%に引き下げ、最低税率
を12.5%から15%に引き上げ、税制区分も14段階から4段階に減らして、法人税も46%
から34%に下げた』が、これに民主党の人々も賛成した。これが正しい方法だと、認識が一致し
ていたからだ。
と、こんな調子である。
この後、「政府に不足しているのは《金》ではなく《能力》だ」というギングリッジの言葉に対し、クルーグマン
は「政府はよくやっている。金がないから政府は仕事ができない。」と反論する。
しかしラッファーの次の言葉には唖然とするしかない。
『最良の福祉とは、(中略)優良な高賃金の仕事なんです。人々に仕事を与え福祉も世話にならない
ようにするほうがずっといい。・・・黒人は最後に雇われ真っ先に首になる。・・・全員が採用さ
れるだけの仕事口がなければならない。繁栄こそ大事だ。米国がエチオピアより反映しているから
より多くの行政サービスを提供できる。働いている人から税金を取り、働かない人にくれたら、世
の中どうなるか・・・。皆を言わせるな!』
この人は、自分が何をしてどんな立ち位置いるかわかっているのだろうか!
討論で最後に一番印象に残ったのはパパンドレウの発言である。
『祖国ギリシャでは、若者の失業率が60%に迫っている。これが持続可能な社会といえるか。・・
・(中略)平等な社会ほど平均余命、基本的学力、乳児死亡率、肥満率・・幸福度まで、さまざまな
指標が良好である。金持ち自身にしても平等な社会の方が長生きする。・・・私たちは富裕層が持つ
富の一部を使って、社会の人的資源に投資する必せまられている。・・・そうすることによって、よ
り効率的で競争力の強い経済が作れるし、良質の社会、良質の暮らしを築いていける。』
どちらの発言が、現実に沿っていて説得力を持つか明白であろう。
以下の章は、3人に対する個別インタビューである。討論で発言された内容と大差ないか、その繰り返しであるが・・。
目立った発言だけを列挙する。
第2章 ギングリッジへのインタビュー 一律10%課税はどうか
政府は金を奪っていく(P-107)・・・ビル・ゲイツの財産を没収すべきなのか。
司会も言っていたが、誰も没収するなど言っていない。
リッチな人は、税を逃れる手立てを見つける(P-109)・・・バフェットは「もっと税金を取られたい」といいながら
課税免除の財団に300億ドルも移した、利口な男だ。・・・
ある日突然、「10億ドル以上持ってはならない」と決められたら、世界経済はどうなるか!
歴史上、これほど中間層が増えた事例はない。そうなら、多少もうけすぎのものが出てもいい。
(中国の事例に関して)
劇的な経済成長が起これば、所得が増え、雇用が増え、いい条件で働ける。
以前バフェット氏が、「自分らもこの社会のシステムから恩恵を受けているのだから、もっと金持ちから
税金を取るべきだ」と発言していると報道があった。
また最後の発言に関しては、スティングリッツが言うように、資本主義が民主的にコントロールされて適
切な規制があったら、そのようなこともあるかもしれないが、現在のグローバル経済ものとでは、過去のことである。
実は格差は広がっていない(P-120)・・・個人単位でみた場合、大して格差は広がっていない
何という、現状認識なのだろう。あきれるばかりだ。
第3章 クルーグマンへのインタビュー 金持ちは最高税率70%でもいける
フードスタンプの予算を、今後10年間で200億ドル削減したいといっているが、上位1%に
入る高額所得者は、総額で年間1兆ドルくらい稼いでいる。これは資産ではなく所得で。(P-128)
米国では、第二次大戦後、現在より遙かに高い税率だったが、米国史上最も最も経済成長に成功
した時代だった(P-132)
厳しい税率を科されているのは富裕層ではない。所得が上がると公的扶助が打ち切られてしまう
低賃金労働者なのだ(Pー133)
『一律課税のどこが問題なのか』という疑問に関しては
社会が必要とする行政サービスを「一律課税」でまかなおうとすれば、(10%でなく)ずっと
高い税率になる。さもなければ、中間層に今よりかなり高い税率を払わせるか、真の富裕層にず
っと高い累進課税を採用しなければならない(P-136)
第4章 ラッファーへのインタビュー 税制を改革して12%一律課税に
司会者の『「金持ちからもっと税金をとるべきか」の問題に、どうして反対するかの質問に答えて、ラッファーは
第一に、金持ちはそれを払わない-増税するとむしろ税収が減る(P-144)
と、先ほどの討論ないと同じ論法だ。『増税派が金持ちから金を取れると思ったら、それは間違いだ。」と言い切る。本当に
あきれたものだ。
わたしがやりたいのは、税制改革で、税率を上げることではない。除外規定を全廃し、全ての所得
に一律課税をする。そうすれば金持ちも税金を払う(P-145)
12%の付加価値税と、一律12%の個人所得税を徴収すればGDPの24%の税収を確保できる。
どういう頭脳と心の持ち主なのだろう!
もっと紹介したいが、この辺で止めておくことにしよう。
わたしは、どう考えても『増税賛成派』に理があると思うのだが、どうでしょうか。
あとは皆さんも一読して見て、それぞれ考えてみてください。
ポール・クルーグマン/ジョージ・パパンドレウ/
ニュート・ギングリッジ/アーサー・ラッファー :町田敦夫訳 】
「クルーグマン+パパンドレウ」の金持ち増税賛成チームと「ギングリッジ+ラッファー」の金持ち増税反対チームの、カナダでの『ムンク・リベート』という公開討論会の発言内容と、個別インタビューを編集した本である。中身を読めば、明らかに『賛成チーム』の方に理がある。
さて、討論の内容は如何に。以下、【本の構成】と、それぞれの要旨をかいつまんでみると・・・・。
【本の構成と主な発言】
はしがき-グローバルな重大テーマとしての金持ちの増税
まずは討論参加者の紹介。
増税賛成チームの「ポール・クルーグマン」はアメリカのプリンストン大学で経済学と国際関係論を教える
ノーベル平和賞受賞の経済学者。「ジョージ・パパンドレウ」は言わずとしれたギリシャの元首相。
それに対する反対チームの「ニュート・ギングリッジ」はかつて共和党の大統領候補にも挙がった元米国
下院議員議長。「アーサー・ラッファー」は「ロナルド・レーガン大統領」の経済顧問もつとめたという
経済学者。
第1章 金持ちからもっと税金を取るべきか
この章は、「増税賛成派」と「増税反対派」の2つに別れての「討論合戦」になっている。
まず各人の基本視点だが、
クルーグマン:良い施策や人道にかなった政策を実行するためには、予算が足りず増税は必要だ。政府はフード
スタンプ(低所得者向けの食糧支援制度)予算を年間20億ドルはどカットするとしているが、
富裕層の増税でそうしたことが避けられる
その際、金持ちへの課税を強化して、税収を増やす必要がある。2011年に高額納税者番付で
上位1%の人々は総計で1兆4000億ドル稼いでいる。彼らの税率を1%の7分の1上げるだ
けで、フードスタンプの予算カットが避けられる
富裕層の税金を上げると経済に悪影響が出るというのは事実に反する
ギングリッジ:富裕層への課税率を上げても意味がない-とういうのは金持ちは優秀な弁護士や会計士を雇って
巧みに税金逃れをして、額面通りの税金をけして払わないからだ
自分は働かないで金持ちから法外な税金を取るというのは道徳的でない
金持ちから税金を取るという《威圧的》《中央集権的》な《大きな政府》というのはもはや時代遅れ
であって、コストを抑え民間に任せるられるものは任せ、《小さな政府》を目差すべきだ
パパンドレウ:税制には抜け穴があり、国際的にも脱税が横行している。国際金融の一員は税金逃れをしている一方、
ギリシャの国民は無理に背負わされた財政赤字で、それら海外の融資者に金を返さねばならない
タックスヘイブンやオフショア・カンパニー等の抜け穴を防ぐ世界的な規模での金融規制を導入する
必要がある
社会の基本的契約として、累進課税を取るべきである
国際競争の時代だから、新興国との競争に勝つため、税率を下げ、賃金をカットし、福祉を削り、
環境基準を緩め、教育予算を減らし、健康保険・年金などのセーフティーネットをはずせ、という保
守派の主張はまちがっている
税率の高い国々においても実際高い競争力がある。社会契約から企業も、人的資源の恩恵を受けており、
比較的平等が確保されている国をみれば、平均余命や健康、雇用など世界のトップクラスである
ラッファー :アメリカの税制の歴史を見れば、税率をあげても税収は伸びないことが分かる。1930年に所得税の
最高税率が25%から83%に引き上げられた時も、高額所得者からの税収は減少した
富裕層は納税を回避することができる。所得の発生する場所、時間、構成をかえ所得の額を変えること
が出来、増税分を素直には払わない
税収を増やすには税率を下げ、課税ベースを広げることだ
包括的な税制改革が必要。非営利公益法人、慈善目的の寄付-そのような全てのもに一律の税率を賦課
すべきである
このような基本視点から、それぞれの発言があり、進行役のグリフィスの先導で討論が始まるのだが、その中味は。
以下、主な発言を要約して、抜粋する。
【努力した人を罰する社会でいいのか?】(P-52)
グリフィス(討論の司会進行役) :米国で最も豊かな400人の財産を合計すると、残る1億5000万人のそれよりも多いそうですが、
ギングリッジ元議長は、金持ちへの課税になぜ反対するのか?
ギングリッジ:「あんたは成功しすぎている。それ故にあんたを罰することにした。」などということはできない。
クルーグマン:これは金持ちを罰するという話ではない!
ギングリッジ:あなたも金持ちだ。
クルーグマン:自分の推す政策によって懐を痛める側ではある(中略)が、かつて中流階級・労働者階級の子弟でも
大学教育を受けらルチャンスはあったが、今はその選択肢はほとんどない。我々には、もっと(援助
する)金がいる。金持ちから税金を取るのは方策の1つだ。
それと、「税金逃れを完全に防げない」ことを理由に、それに反対するのは寂しい議論だ。
【そんな強い政府でいいのか?】(P-55)
ギングリッジ:(クルーグマンが「金が必要」というのは)政府が非効率で、コストが上昇しているからだ。
教育費が高騰するのは、管理職員や教授陣のサラリーが上がっているからだ。
それと、「税金逃れ」できないような強力な政府には恐怖心を覚える。
パパンドレウ:自分は独裁政権下のギリシャで育ったからいえるが、権威主義的な国家を嫌うし、市民に民主的な
説明ができる政府が必要だ。
昨今の『富の集中』は、政府が公益のためでなく、特定の利益団体のために奉仕していることを示
している。それが問題なのだ。
あなた(ギングリッジ)は、政府を否定している振りをして、実はビッグビジネスに奉仕する政府
を肯定している。
【税率ではなく、税制を変えるべきだ】(P-57)
ラッファー :誰だって国民にに奉仕する政府を望んでいるが、「増税は国民のためにならない」。税制改革が
税収を上げる手段である。
1986年の税制改革のときに、『個人所得税の最高税率を50%から28%に引き下げ、最低税率
を12.5%から15%に引き上げ、税制区分も14段階から4段階に減らして、法人税も46%
から34%に下げた』が、これに民主党の人々も賛成した。これが正しい方法だと、認識が一致し
ていたからだ。
と、こんな調子である。
この後、「政府に不足しているのは《金》ではなく《能力》だ」というギングリッジの言葉に対し、クルーグマン
は「政府はよくやっている。金がないから政府は仕事ができない。」と反論する。
しかしラッファーの次の言葉には唖然とするしかない。
『最良の福祉とは、(中略)優良な高賃金の仕事なんです。人々に仕事を与え福祉も世話にならない
ようにするほうがずっといい。・・・黒人は最後に雇われ真っ先に首になる。・・・全員が採用さ
れるだけの仕事口がなければならない。繁栄こそ大事だ。米国がエチオピアより反映しているから
より多くの行政サービスを提供できる。働いている人から税金を取り、働かない人にくれたら、世
の中どうなるか・・・。皆を言わせるな!』
この人は、自分が何をしてどんな立ち位置いるかわかっているのだろうか!
討論で最後に一番印象に残ったのはパパンドレウの発言である。
『祖国ギリシャでは、若者の失業率が60%に迫っている。これが持続可能な社会といえるか。・・
・(中略)平等な社会ほど平均余命、基本的学力、乳児死亡率、肥満率・・幸福度まで、さまざまな
指標が良好である。金持ち自身にしても平等な社会の方が長生きする。・・・私たちは富裕層が持つ
富の一部を使って、社会の人的資源に投資する必せまられている。・・・そうすることによって、よ
り効率的で競争力の強い経済が作れるし、良質の社会、良質の暮らしを築いていける。』
どちらの発言が、現実に沿っていて説得力を持つか明白であろう。
以下の章は、3人に対する個別インタビューである。討論で発言された内容と大差ないか、その繰り返しであるが・・。
目立った発言だけを列挙する。
第2章 ギングリッジへのインタビュー 一律10%課税はどうか
政府は金を奪っていく(P-107)・・・ビル・ゲイツの財産を没収すべきなのか。
司会も言っていたが、誰も没収するなど言っていない。
リッチな人は、税を逃れる手立てを見つける(P-109)・・・バフェットは「もっと税金を取られたい」といいながら
課税免除の財団に300億ドルも移した、利口な男だ。・・・
ある日突然、「10億ドル以上持ってはならない」と決められたら、世界経済はどうなるか!
歴史上、これほど中間層が増えた事例はない。そうなら、多少もうけすぎのものが出てもいい。
(中国の事例に関して)
劇的な経済成長が起これば、所得が増え、雇用が増え、いい条件で働ける。
以前バフェット氏が、「自分らもこの社会のシステムから恩恵を受けているのだから、もっと金持ちから
税金を取るべきだ」と発言していると報道があった。
また最後の発言に関しては、スティングリッツが言うように、資本主義が民主的にコントロールされて適
切な規制があったら、そのようなこともあるかもしれないが、現在のグローバル経済ものとでは、過去のことである。
実は格差は広がっていない(P-120)・・・個人単位でみた場合、大して格差は広がっていない
何という、現状認識なのだろう。あきれるばかりだ。
第3章 クルーグマンへのインタビュー 金持ちは最高税率70%でもいける
フードスタンプの予算を、今後10年間で200億ドル削減したいといっているが、上位1%に
入る高額所得者は、総額で年間1兆ドルくらい稼いでいる。これは資産ではなく所得で。(P-128)
米国では、第二次大戦後、現在より遙かに高い税率だったが、米国史上最も最も経済成長に成功
した時代だった(P-132)
厳しい税率を科されているのは富裕層ではない。所得が上がると公的扶助が打ち切られてしまう
低賃金労働者なのだ(Pー133)
『一律課税のどこが問題なのか』という疑問に関しては
社会が必要とする行政サービスを「一律課税」でまかなおうとすれば、(10%でなく)ずっと
高い税率になる。さもなければ、中間層に今よりかなり高い税率を払わせるか、真の富裕層にず
っと高い累進課税を採用しなければならない(P-136)
第4章 ラッファーへのインタビュー 税制を改革して12%一律課税に
司会者の『「金持ちからもっと税金をとるべきか」の問題に、どうして反対するかの質問に答えて、ラッファーは
第一に、金持ちはそれを払わない-増税するとむしろ税収が減る(P-144)
と、先ほどの討論ないと同じ論法だ。『増税派が金持ちから金を取れると思ったら、それは間違いだ。」と言い切る。本当に
あきれたものだ。
わたしがやりたいのは、税制改革で、税率を上げることではない。除外規定を全廃し、全ての所得
に一律課税をする。そうすれば金持ちも税金を払う(P-145)
12%の付加価値税と、一律12%の個人所得税を徴収すればGDPの24%の税収を確保できる。
どういう頭脳と心の持ち主なのだろう!
もっと紹介したいが、この辺で止めておくことにしよう。
わたしは、どう考えても『増税賛成派』に理があると思うのだが、どうでしょうか。
あとは皆さんも一読して見て、それぞれ考えてみてください。