【 2017年12月9日 】
『トップリーグ』は田中角栄の「ロッキード事件」にまつわる献金・裏金問題を題材にした架空小説である。
『新聞記者』は、望月衣塑子自身の「記者への生い立ち」を含めたドキュメンタリー風体験記である。フィクションと現実との違いはあるが、対比して読んだら、いろいろな事が浮き彫りになった面白かった。
【架空世界】と【現実世界】であるが、両者に共通項がある。それは【政界】であり【新聞記者】の世界である。
その中でも、現実世界の「現内閣官房長官の菅義偉」と架空世界で菅義偉をモデルにしていると思われる「阪官房長官」である。実際のところどうなのかは知る由もないが、印象からいうと、小説の中の官房長官はちょっと上品(ロマンチック)に描かれ過ぎているきらいがある。
『トップリーグ』は田中角栄の「ロッキード事件」にまつわる献金・裏金問題を題材にした架空小説である。その資金が裏金として現代の腐敗構造に通じているという設定である。
相場英雄の小説は何冊か読んだ。「震える牛」「不発弾」も読んだが、中でも「ガラパゴス」が良かった。
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もう一方の『新聞記者』は、東京新聞の女性記者である望月衣塑子さん自身の「記者への生い立ち」を含めたドキュメンタリー風体験記である。
望月さんを初めて知ったのは、昨年の「武器輸出」の現況に関する講演会だった。最近、その「武器輸出」に関する著作で注目されていて、会場でまくし立てるように熱っぽく語る姿が印象的だった。記者会見での猛者ぶりの方は、この本で知った。
「記者クラブ制度」の問題点。政府の意向を忖度する「大手マスコミ」。書きたいことをかけない記者たち。共通事項を扱ってはいるが、2つの本は、きわめて対照的である。小説とドキュメンタリーでは求めるものが違うといえば、それまでだが、どちらにインパクトがあったかと言えば、後者である。