【 2018年12月20日 記 】
「国境なき医師団」から定期的に郵送物が送られてくるが、その中でこの本の紹介があり、さっそく購入して読んでみた。それまでの「ニュース・レター」で時期じきの断片的情報には触れていたが、やはりこの本を読んだら臨場感がまるで違う。
白川優子さんは、7歳の時に「国境なき医師団」のことを知り、その後将来の進路を決める際、偶然も重なり合って看護師の道を選び、幾多の障害を乗り切り10年がかりで、念願する「国境なき医師団」の一員に加わることが叶ったという。執念というか、《天命》みたいなものを感じた。
私たちが触れる内戦や紛争地域のニュースは攻撃側からの映像であったり、破壊られた街や廃墟の様子とか、兵器の威力・破壊力を見せつけるものが多く、その攻撃による被害者の方は、生い立ちや個性、それまでの生活はき捨てられ、単に《何人が亡くなった》と数字で表されるだけだ。親や兄弟がいて、子供がいて、その直前まで私たちと同じような生活があったのを、一瞬の爆撃で総てが奪わ消し去られる。そして報道されるのは《死者何人、負傷者何十人》という数字だけだ。
戦闘地域で救護活動をするというのは本当に神経をすり減らす仕事だと思う。負傷者に医療を提供するためには、より戦場に近くなければ効果が少ない。人を助けるどころか、自らの命も危険にさらすことになる。
1発の爆弾で多くの人を人を傷つけ殺される戦場が世界各地にたくさんあり、今日も、銃弾が飛び交う中で生活を続けなければならない人々が多くいる。そうした街や村で、気の遠くなるような治療をする人たちは、どんな気持ちで自分の仕事を続けているのだろうか。
《自ら戦場に赴けない自分らにできることは何なのか》と、ふと考えさせられる。
『国境なき医師団』-ホームページ