映画が公開されたのは今年の6月で、観たのは山に行く直前の7月中旬だったから、ブログを書き損ねていた。映画カタログを購入する代わりに文庫本の「空飛ぶタイヤ・上」を買い込んで山に携行したが、3分の1も読めないで持って帰り、下巻も合わせて購入し、読み終えたのが8月10日だった。その間、横浜帰省やら地蔵盆の行事が重なりてんてこ舞で、今日にいたってしまった。
題材は、2002年に起きた横浜での「母子死傷事故」と事故を起こした三菱自動車の「リコール隠し」を絡ませたものだ。自社の欠陥を隠し、《整備不良》という名目で、立場の弱い運送会社に責任を擦り付け、自己の保身のため人の生命も顧みない営利優先主義の大企業の非道を浮き彫りにした物語である。
実際と映画の大きな違いは、事故を起こした運送会社が経営に行き詰まり廃業したのに対し、原作小説・映画の方は毅然と不屈に戦う赤松運送の社長が感動的に描かれ、三菱自動車こと「ホープ自動車」を追い詰めていくという筋書きになっている。
映画は、ほぼ忠実にシナリオが展開されているが、やはり2時間という制約から多少省かれている。企業グループの習性や、巨大組織に組み込まれた個人の弱さ、マスコミの有り様や銀行の本来果たすべき役割なども織り込まれていて、中々出来のいい作品になっていた。笹野高史の味が絶妙である。
「これ、良かった!」と文庫本2冊を妻に渡したら、2日で読んでしまった。映画も見たいというが、近くの映画館では既に上映を終了しているので、ビデオが出るのを待つという。
映画『空飛ぶタイヤ』-公式サイト
小説『空飛ぶタイヤ』-関連紹介ページ
『原作と実際の事件の関係を言及している』-参考になるブログサイト