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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「はりまや橋」-タイトルからは想像できない映画

2009-10-19 23:10:00 | 最近見た映画
     【2009年10月15日】 京都シネマ

 いきなり葬式の場面から映画が始まる。列席者には黒人の姿が。亡くなった人はその息子のようだ。恋人らしき日本人の娘が最後のお別れをする。

 どうしてこんな映画が、しかも高知を舞台にできたのかと思い、買ってきたカタログを見ると、監督は以前、英語教師として高知で1年間生活した経験をもったアメリカ人だった。で、「はりまや橋」なのか。


 映画の中で、青年ミッキーはアメリカで絵の勉強を本格的にしてきたが父と争い日本にきてしまった。日本で仕事に就いた先が、高知のとある中学の英語教師だった。
黒人が片田舎の学校で仕事をする-奇異な視線を感じるが、ミッキーは子供たちに人気があった。画家としての才能も開花し始めていた。特殊学級の生徒とも絵を通じて心を通わすミッキーの姿に、同僚の教諭の久保紀子(高岡早紀)も好意を寄せる。

 ところが、1年もしないある日事故が起き、ミッキーは帰らぬ人となってしまう。

 ミッキーの父・ダニエルの父親は、日本で捕虜になり収容所の虐待から日本で亡くなった過去を持つ。そして今度は、息子も日本で亡くす。

  
 国民感情や文化伝統の違いによる行き違い。ダニエルの日本での当初の対応は、見ていて不愉快ささえ感じるが、戦勝国の国民でさえそのような感情を持っていることに複雑な感じがする。

 日本が侵略した東南アジアの国々の人々はもっと激しい憤りを感じているのではないか、と思う。
 日本人もシベリア拘留でひどい目にあった、東京大空襲で悲惨な体験をしたと言ったらお互い様か。


  ○    ○    ○


 昔横浜に住んでいたころ、小学校のクラスに黒人の子がいた。その子の母親の親と思しきおばあちゃんと住んでいたが生活は貧しく、周囲の皆から白い目で見られていた。街にはまだ進駐軍がたくさん残っている時代だった。そのいずれかの者が近所のひとに産ませた子であるとこは子供にも察しがついた。

 また、当時60人近くいた小学校のクラスで、ある時期、年にひとり、二人と級友が抜けて行った。先生の説明によると「故郷」に帰るということだった。その頃、まだ事情を知らない私らには、おそらく重大な決心があったにもかかわらず、はにかみながら別れの挨拶をする彼らの心境など、思うすべがなかった。
 朝鮮半島から強制連行された人々の子供であることは、ずっと後になって知った。  

 戦争で犠牲になるのはいつも、戦争を仕掛けた支配層でなく、民衆である。

  ○    ○    ○

 今でこそ街で外国人を見掛けるのは普通になった。ましてや観光地京都ならではなおさらである。先週も2回ほどバス停で外国人に話しかけられた。

 しかし、家族となると話は別である。言葉の問題、風習や伝統の違い、戦争を身近に感じている親の世代はなおさらである。日本では日常、宗教のことはあまり意識しないが(私だけか?)いざとなったらこれも大変な問題になるのだろう。
 異文化の人と心を通わすという事は大変なエネルギーがいると思われるのだが、現代の若者は割とあっさりしているようである。

 紀子も実はミッキーと結婚していた。

 かたくななオヤジの気持ちが徐々に氷解して行く。

 土佐を舞台に繰り広げられる映画はいろいろなことを思い出させてくれた。

 

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