今日はどうやら雨模様。ひまつぶしに当帰を植替えた。
畑に植えようかと思ったが、おそらく夏場の管理が難しそうなので大きな鉢にして、家で管理することにした。
というわけで、「ちょっといっぷく51」の奈良県の大宇陀の道の駅で買った大和当帰(やまととうき)の話題に当に帰る。
当帰はセリ科の多年草で、根は「当帰」という生薬で、主に婦人薬として使用され、血の道症などに効果がある。当帰芍薬散などの処方が有名である。
あの有名な女性薬にも当然入っている。
※小林製薬HPより借用。
当帰を漢文読みすると「当(まさ=すぐさま)に帰る」。
子宝に恵まれず里へ返された嫁が、当帰を飲んで妊娠しやすい体調に整えて夫の元へ帰る。
あるいは里で出産して体調がすぐれない嫁が、当帰で体調を回復して夫の元へ帰るなどの意味から付けられた名である。
日本では大和当帰と北海当帰が栽培されているが、実はもう一つ世に出ていない「幻の当帰むがある。
薬効に優れて婦人病以外にも効きめがあるがために、栽培していた藩が門外不出にしてしまったという代物である。
※奈良県HPより借用。
その幻の当帰を栽培して一財を成してみないかと、有名な農学博士から二年前に誘いをもらった。
話につられて、我が家の畑に博士を連れて行くと「ここではダメじゃ!」と一蹴。
自然農法を諦めてグウタラ農法にした我が畑では栽培出来ない。無農薬、無肥料、自然水でなければ薬効が落ちてしまうのだと博士は言う。
そこで、ツテを頼って、とある山奥の谷間にある休耕田をご好意で無償で借りることになった。
周りを山に囲まれた、南北100mの谷間の幅20mほどの数段の段々畑で、まさにうってつけだった。
※「ちょっといっぷく19」頃の記事を参照。
しかしである。
数年間耕してなかった田圃は草ぼうぼう。おまけに稲作田だったので水はけが悪い。
一冬かけて草を絶やそうと画策したものの手に負えない。
数年かけて除草しましょうと提言したが、博士は「ダメじゃ! 春に植えるのじゃ!」
とりあえず水はけのよさそうな一番上の田の草を抜き、五本の畝を立てて数十株を植えた。
しかし、一月後、草ぼうぼう!
残念! 無念! 断念!
どうなっているのか見に行こうと思うが、おそらく草ぼうぼう!
そんな100mの山道を登る元気もない! 一財を成すどころか一生を無くすかもしれない。
というわけで、元ののんびりとした日々へ「当に帰った」。
しかし、草ぼうぼうの中で、今も育っているだろう「幻の当帰」が忘れられず、普通の農地でも栽培できる大和当帰を買いに行ったのである。否。一財を成すが忘れられないのかもしれない。