中目黒再開発の事実

中目黒の再開発・工事について。少しでも事実を伝えられれば…。

「東横線中目黒駅拡張工事」 (その2)

2007-12-22 06:47:41 | 中目黒再開発

■おさらい


ガード下の工事については、前回(その1)では

  • 工事は基本的に耐震補強工事であって、再開発という確証はない。しかし、不自然な面も否定はできない。
  • 工事の第二の目的「2012年に東横線と新しい地下鉄が直通運転を始めるための準備工事(ホーム延長と拡幅)」がポイントかも知れない。

という所まで述べた。

今回は「拡幅」とは一体どういうことかということについて考察しようと思ったのだが、どうも、それ以前の初歩的な情報について確認が必要に思えてきた。

たとえば、いくつかのブログで以下のような記述が散見されるのである。


東急東横線中目黒駅ガード下の風景です。
東横線の地下化でこのガード下の風景を見る事はできなくなります。
http://ayuwill.exblog.jp/6473348/


中目黒駅はどうやら地下鉄になって、池袋までつながる?とか。
http://g-wagaku.cocolog-nifty.com/wagaku/2007/12/post_e24c.html


中目黒もすっかり変わってしまってるし、今も線路が地下に潜るとかでガード下のお店が無くなっちゃってるし…。
http://inufuna.way-nifty.com/rouhi/2007/05/post_e565.html


その他、以前挙げたこのブログなども、どうも「東横線が地下になるので、中目黒の高架が無くなる」と思っているように読める。

結論から言えば

中目黒駅は地下駅にはならない。今までと同様の高架駅である

ということになる。
すなわち、今回の工事が終了して、仮に東急が「以前と同様に飲み屋を入れよう」と考えるとすれば(可能性はあまり高くなさそうだが)、以前と全く同じ「庶民的な」「サラリーマン街的な」雰囲気が戻ってくるのである。

前出のブログは、どこかから半端な情報を仕入れてきてしまったようだが、ここまでいかなくても「どうやって乗り入れするのか、知らない」という人も少なくなさそうだ。
少し、東急の発表内容を中心に整理しよう。

■まず、東横線がどうなるのか


来年、2008年6月、東京地下鉄(旧・営団地下鉄)の新しい地下鉄「副都心線」が開通する(⇒東京地下鉄のページ)。この地下鉄は、渋谷から池袋を経由し、東武東上線の和光市駅までを結ぶ。池袋~和光市間は、既に開業している地下鉄有楽町線と区間・線路を共用する。



ちなみに、副都心線の範囲については「渋谷~池袋まで」という情報と、「渋谷~和光市まで」という情報があり混乱している。これは

  • 有楽町線新線として開通している「池袋~小竹向原」
  • 有楽町線として開通している「小竹向原~和光市」

が、本来「副都心線」であるためで、この区間を副都心線と改名するのかどうかが不明だからである。ただし、運転区間は「渋谷~和光市」である。

そして、東横線は2012年(予定)よりこの副都心線と直通運転を開始する。
直通区間は、公式発表が確認できていないが

東武東上線・西武池袋線から東京メトロ有楽町線・副都心線を経て、東急東横線及びみなとみらい線までがひとつの路線として結ばれ、首都圏の広域的な鉄道ネットワークの一翼を担うこととなります
http://www.tokyu.co.jp/railway/railway/east/pr/13go.html

とされていることから、地下鉄副都心線を経由して、東武東上線や西武池袋線との直通運転も実施されるものと推測される。

つまり、将来、東横線には「川越市」行きや「小手指」行きが走る可能性があるということだ。

副都心線に関しては、以下のサイトが極めて詳しい。
興味のある方は参考にされたい。

●参考資料
情報交通ホットライン/副都心線沿線情報館

■地下化の内容


この直通運転に伴い東急東横線は、渋谷駅、および、渋谷~代官山駅の手前までが地下化される。代官山駅はホームが若干(1メートル程度?)半地下になる見込みである。

渋谷駅手前~代官山にかけては、現在の東横線の真下にトンネルが掘られる。この工事は、目黒線の地下化やみなとみらい線への直通工事でも用いられた「直下地下工法(STRUM工法)」が用いられると予想される。

この工事については、東急より詳細な工事予定図が公開されている。以下、当ページを見られている方の利便のために、図を転載する。




※東急電鉄発表の図より改変転載(必要部分の抽出・サイズ変更)
※※クリックすると転載元の東急のページに移動。

渋谷駅は建築家の安藤忠雄デザインの「地中船をイメージした駅」になる。場所は地下3階になるため、JR線や銀座線、井の頭線などとの乗り換えの便はかなり悪くなりそうだ。逆に、田園都市線・半蔵門線との乗り換えの便は向上する。また、東急文化会館の跡地は再開発され、新・渋谷駅と連結される。

新・渋谷駅については、以下のサイトが詳しい。
興味のある方は参考にされたい。

●参考資料
ケンプラッツ:ぴろり、の土木日記
シブヤ経済新聞:新渋谷駅は「地宙船」をイメージ-安藤忠雄さんデザイン
シブヤ経済新聞:渋谷・文化会館跡地の再開発計画明らかに-高層ビル建設へ

■では、中目黒駅の工事は何か?


上記の通り、地下鉄との接続のための工事が行われるのは代官山までであり、中目黒が地下化される計画など、全く存在しない。

では、何の工事が行われているのかというと、既に何度か述べている通り

  • 高架橋の耐震工事(国土交通省の指示のため)
  • 高架橋の拡幅工事(地下鉄との乗り入れのため)
  • ホームの延長工事(地下鉄との乗り入れのため)

である。
特にポイントとなるのは「ホームの延長工事」だ。

地下鉄副都心線は10両編成で運転される。ところが、現在の東横線は8両編成での運転である。そこで東急では、特急・通勤特急・急行列車を10両編成に伸ばすことにしたのである(各駅停車は8両編成のまま)。

このため、2012年までに東横線の特急・急行停車駅の全ての駅で、ホームを2両分(40m)延長する工事が行われる予定となっている。手始めとして、中目黒のホーム延長工事が始まった、というわけだ。
ところが、中目黒のホームをそのまま延長することはできない。40mのホームを建設するだけの用地が無いからである。そのため、高架橋の拡幅工事が必要となるのである。

こういう背景を知っていれば「そのうち学芸大学のガード下商店街でも似たような立ち退き騒ぎが起こるかもしれない」という予想が成り立つ。学芸大学もホーム延長があるのは同じだし、おそらく拡幅が必要になるのも同じだ。とすれば…というわけだ。もちろん、立ち退き無しで工事が実施される可能性もある。

今回はここまで。
次回はようやっと、拡幅の考察ができそうだ。

なお、副都心線との直通運転のための工事に関する情報は、以下の東急の発表からも得られる。

●参考資料
東急からのお知らせ
東急線の取り組み:東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴う東横線渋谷~横浜間改良工事

→その3へ