中目黒再開発の事実

中目黒の再開発・工事について。少しでも事実を伝えられれば…。

このブログを作った動機

2008-02-26 05:07:26 | 中目黒再開発
中目黒ガード下の工事について、ひと段落したので、再度、整理する。

■なぜ、こんなブログを作ったか


なぜ、こんなページをやっているかと言えば、何事も

事実に基づく

ことが大切だと考えているからである。思い込みや決め付けではなく、事実に基づいて考える。事実に基づいて行動する。信憑性に疑いのあるものは、それを前提に考える。それによって、物事が正しい方向進んでゆくと思うのだ(これは、中目黒の問題に限らず、私の信念というべきものかもしれない)。

今までの文章から分かるかもしれないが、私は基本的に、中目黒の変化は必要だと思っているし、歓迎している。その意味では、再開発や工事については、基本的に「推進派」に分類される人間だ。
しかし、現状の計画や開発の流れに問題がないなんて思わないし、むしろ漠然とした不安を感じている。
だから、自分としては、多くの見識ある人(中目黒への知識や、開発論一般など)と話をして、自らの考えを深めたいと思ってきた。

ところが現実は、いくらネットを検索しても、あまりにもいい加減な情報と、それに基づくヒステリックな意見ばかりが流れていて、ちっとも議論が深まっていない。それが残念なのである。

このままでは、中目黒の開発は、草の根の議論は表層的な現象に感傷的になるばかりで、ちっとも本質まで辿り着かないまま、ゼネコンや東急主導で進むことになるだろう。
果たして、それで良いのだろうか?

私は、そこに一石を投じたいのだ。

■こんな意見ばかりでは…


以前、ガード下の工事に対して「こんな誤解がある」というブログを数点紹介したが、実は、あれはまだ良い方のブログなのだ。
他を見ると、こんなことを言っている人すらいるのである。


中目黒という町の味わいを演出してくれていた大切な場所が姿を消すそうだ。残念でならない。このようなばかなことを決定した人間は、恐らくどうしようもないゴミくずのような奴だろう
http://tkyw.jp/archives/1771477.html



「今まで中目の繁栄を担ってきたこのような店を無くそうとしている東急電鉄。
君達のような浅はかな人が中目をいじるんじゃない
http://ameblo.jp/s-cargot/entry-10037883757.html


「中目黒再開発の名の下、東急の横暴でガード下を趣のある今の店(旨い 安い サービス良い )を撤去し、大手チェーン店(まずい 高い サービス悪い ばかバイト)を入れようとしている、東急グループさん・・・・。」
http://ameblo.jp/s-cargot/entry-10037581520.html


まさにこれから、、と言う時に、意味のない再開発
とやらで、強制的に立ち退きを強いられ今までの努力が
水の泡になってしまったのだ。
なんたる、愚行。
再開発って、何なのか

http://brainbuster.blog.drecom.jp/archive/744

※注)太字強調は当ブログで追加

十分な情報開示をしない東急の自業自得とは言え、よくもまぁ、ここまで罵詈雑言を並べたものだと同情してしまう。いや、たぶん上記の筆者達は、駅前再開発もごっちゃにして批判しているのだろうから、駅前再開発関係者としては「私自身も罵倒された」ようなものだ。正直、困ったものである。

彼らは「正義」で発言しているつもりなのだろうが、今まで明らかにしてきたことを考えれば、彼らが単に無知に基づいているにすぎなかったことが分かるだろう。もちろん、無知が即「悪」とは言えないかもしれない。彼らも神様ではないのだから、全ての事実を正確に把握できるわけれではない。特に、上記の発言はどれも情報が錯綜していた頃の物だから、彼らも今は当時の発言を恥じているかもしれない。

ただ、ここまでの罵倒を並べ立てるなら、もう少し慎重な取材をしてからにするべきだったのではないか、と思うのである。

確かに、結果を見れば「店がなくなっていく」のも事実であるし、今後、東急が「つまらない大チェーン」を入れる可能性だって十分すぎるほどある。その意味では、彼らの批判は「結果的には」は間違っちゃいないのかもしれない。

しかし、「結果的に」同じであれば、ろくろく事実を調べもせず、理由や過程の考察を誤って、他人を「馬鹿」「ゴミくず」「浅はか」「愚行」だと罵っても良いのか。勝手に大手チェーンが入ると決め付けた挙句に、何ら裏付けのない個人的主観で「まずい 高い サービス悪い ばかバイト」などと侮辱して良いのか。

私は、そんな道理はないと思うし、そういう人間の方が、私は「馬鹿」「ゴミくず」「浅はか」「愚行」だと思う。

再開発や街の変化に反対することを悪いというつもりはない。
様々な意見があって良いと思う。
様々な意見を聞きたいし、そうなっていない現状を私は憂慮する。

しかし、批判はあくまで事実に基づいて行うべきだろう。
耐震工事という事情は認めた上で、計画の不透明さや、計画遂行の強引さを批判することは可能なはずだし、建設的な批判にもなるだろう。

事実に基づかない批判が悪いのは、けして建設的な観点にはならず、単に罵詈雑言や誹謗中傷を投げつけて「あー、すっきりした」で終わってしまうからなのだ。

私も「アンチ再開発」主義者に対して、そういう態度にならないように気をつけなくては…。

「東横線中目黒駅拡張工事」 (その4)

2008-02-18 03:08:07 | 中目黒再開発
前回は、
  • ホームの拡幅というのは、実は中目黒にとって大きな影響がある。
  • 現状の東急の所有地で、高架橋の拡幅は不可能である。
  • よって、どの部分をどう広げるかが、大きな問題となる。

という所まで述べた。

再度、以下の地図を見て頂きたい。



このような状態で高架橋を拡幅する場合によく取られる方法は「黄色い部分の建物を買収・解体して、高架橋を拡幅する」という方法だ。つまり、サルバトーレやウオツネの入っているビルを解体するということだ。

しかし筆者は、今回は東急はこの方法を選択しないだろうと予想する。なぜならば、時間とコストの問題があるためだ。

副都心線との直通運転は2012年から始まる予定であるから、それまでに高架の拡幅を終えなくてはならない。あと4年で、これだけ多数の権利者がいる建物(しかも人気の飲食店が多数入る建物)の買収や立ち退き交渉を行うことは、かなり困難である。時間もかかるし、買収費用や立ち退き補償費用も莫大なものになるだろう。東急とすれば、あまり好ましくない選択肢のはずである。

東急の私有地であるガード下の立ち退きすらスムーズに行かないのだ。東急としては、買収をするとしても、最低限にしたいと考えるだろう。

とすれば、高架橋の拡幅は、道路・広場の部分を使用したものにならざるを得ない。この場合、方法は更に2通り考えられる。

  • (a)道路の反対側を買収し、店を立ち退かせ、道路を移設する。
  • (b)道路の上に高架橋を張り出させる

図で示すと以下のようになる。


私は、実施されるのは後者の案(b)であると考える。
理由は、上記で「立ち退きは時間と金がかかる」と述べたのと同じである。

(a)の案の場合、拡幅する部分の道路に沿って、広い範囲で買収を行わなくてはならない。この案を採用するのであれば、最初に述べた案を選択する方がむしろマシである。

このように、あくまで予想ではあるが、高架橋の拡幅は、道路の上に高架線を広げる形で行われると考えられるのである。
丁度、有楽町にそういう通路があるので、写真を提示しておこう。



道路の上を高架線が塞ぐということは、当然、日は当たらなくなり、閉鎖感のする道路になるだろう。確かに、上り線の線路沿いは飲食店・飲み屋街で、けして「太陽サンサンと降り注ぐ健全さを求める町」ではない。とは言え、道路が高架線で蓋をされるというのは、あまり環境的には良い状態ではない。

また、下り線側は、GT脇、蛇崩川暗渠の通路上にガードが被さることになる。
折角、きれいに整備した遊歩道が台無しだ。

ちょっと、写真を加工して、イメージ写真を作ってみた。



いずれにしても、街の中規模の変化である。道路や蛇崩川緑道の上に高架線を伸ばす計画があるのならば、管理者である区や都も絡んでいるはずだ。なのに、未だに住民には全く情報が公開されない。区議だって騒ぎだしてもおかしくないだろう。しかし、誰一人として心配の声を上げていない。

もちろん私の「道路上に高架」という仮説が間違っている可能性もある。
しかし順当に考察を進めれば、上記のように考えざるを得ないのだ。

そして、このような工事が行われると仮定すると、「高架橋拡幅工事そのものの計画」も「工事後の高架下の再整備計画」も、なかなか発表されない謎について、いくつかの仮説を思いつく。

仮説1)反対運動対策
この工事は、街の環境にあまり好ましくない工事である。よって、反対運動を恐れ、発表のタイミングを計算しているのではないか。確かに、事業を行う上で反対運動対策を考えるのは基本ではある。そして、発表のタイミングを窺うというのは、姑息な東急が考えそうなことでもある。

仮説2)区・都とのバーター取引がまとまっていない
道路や暗渠の上に高架橋を建設するとなれば、道路管理者・河川管理者である区や都から認可を受けなくてはならない。区や都もタダで認可はしない可能性は十分ある。認可をする代わりに「改札をもう一つ作る」「高架下に自転車置き場を整備する」などを求めるというストーリーは、いかにもありがちだ。そういった取引がまとまっていないため、計画を発表したくても出来ないのではないか。

仮説2だとすると、東急がやけに秘密主義的に工事を行っていることに対して、区や都もグルということになる。

ともあれ、どういう背景・理由があるにせよ、今回の工事は情報が少なすぎるのは事実である。駅前のガード下は、駅の雰囲気を決定する重要な一要素であり、東急や区・都など一部の人間だけで秘密裏に計画を進めるべきものではないだろう。

街は市民のものでもあるのだ。

ぜひ、オープンな議論を期待したいものであるし、我々もただ「反対」と叫ぶような幼稚な態度ではなく、建設的な提言ができれば良いと思うのだが。

上目黒一丁目再開発の工事進捗

2008-02-12 13:02:56 | 変化短報
上目黒一丁目再開発の工事がだいぶ進んできた。



A棟(アリーナ棟)の方は、すでに2階部分の鉄筋を組み始めている。どうやら、この建物は鉄筋コンクリート造りになるようだ。最終的には10階建てになる予定で、完成は来年の4月とのこと。


B棟(タワー棟)の方も、1階部分の床のコンクリート打工事が進んでいる。


鉄筋の組み立ても、地上レベルまで来ている。

区域内では既に、大型の固定クレーンが一機稼動しているが、2月末には2機目が、3月頭には3機目が完成するとのこと。地上に鉄骨を組み始めるのも時間の問題だろう。こちらは、地上45階建てで、来年の10月頃に完成の予定である。

ちなみに、再開発区域の全体図は、このようになっているとのことである。

「東横線中目黒駅拡張工事」 (その3)

2008-02-10 06:30:55 | 中目黒再開発
前回は「東横線はホームを40m延長する必要があるが、中目黒はその用地が取れない」という話をした。そのために、高架橋の拡幅などの大工事が必要になるということだった。

具体的に見てみよう。



上の写真は、中目黒駅、祐天寺側の端である。上り線・下り線どちらのホームも駅の建物があってホームの延長は不可能である。ただし、この建物はあまり使われている様子がないので、この建物を壊すことができたとすると、


※google mapより作成

上記の航空写真の赤い部分で示したように、若干ながらホーム延長のスペースが取れる。しかし、どちらもせいぜい20m~25m程度、車両にして1両ちょっと分の延長がやっとであろう。

逆方向も見てみよう。以下の写真は、渋谷側のホーム端である。
ホームの幅はわずか1m程度で、ここから更に線路の幅は狭まっている。
こちらは、ホームの延長はほぼ不可能である。


上りホーム


下りホーム

このように、現状の高架橋の状態では、ホームを40m延長することはかなり難しい。
なるほど、東急の言う通り、高架橋を拡幅して、ホーム用地を確保する必要がありそうだ。

ところが、これは地元に取っては実は結構な一大事なのである。まだ、誰も騒ぎ立てていないのが不思議なくらいだ。ポイントは
  • どこの部分の幅を広げるのか
  • どうやって広げるのか

ということだ。下の地図を見て頂きたい。


※google mapより作成

緑の部分は、現状の高架線がある所である。赤は道路や広場、黄色は近接する建物である。図を見て分かる通り、高架橋の渋谷側・下り線側には建物が隣接して建っており、他の部分は道路(または広場)に囲まれていることが分かる。

すなわち、現状の東急の所有地の範囲内で、高架橋を広げることは不可能なのである。「高架橋を拡幅する」ということは、道路や広場、または、近接する建物に影響を及ぼすということなのだ。
そして私は「高架橋の拡幅工事は、周辺道路の風景を大きく変える」と予想する。

ちょっと勿体ぶる感じで申し訳ないが、今日はここまで。

→その4へ

なぜ中目黒の賃料は上がるのか

2008-02-04 18:24:58 | 中目黒再開発
中目黒は1990年代、特に1995年以降から急激に発展した。

元々、中目黒は町工場が点在する街であり、お洒落なカフェなどは全く存在せず、飲み屋は場末の雰囲気を漂わせていた。駅前は立ち食いソバ屋とパチンコ屋だらけで、どこかの本(たぶん宝島の別冊とか)では「立ち食いソバ屋の匂いとパチンコ屋の音の街」などと紹介される有様。コンビニを探すのにすら不自由するような寂れた街だった。「中目黒」と山手線の「目黒」の区別がつかない人も普通にいるくらい、知名度も低かった。私が子供の頃は、中目黒に住んでいることを少し恥ずかしく思っていたくらいだった。

それが今や、中目黒は流行発信地の一つとされ、中目黒に憧れて引っ越してくる人までいるとのこと。変われば変わるものである。

中目黒の発展のきっかけについて分析した文章等を、私は残念ながら目にした事が無い。私が考えるに
  • 山手通り(駒沢通り~目黒通り間)の拡幅によって、建物の建替えが進み、マンションやオフィスが大幅に増えた
  • 代官山や渋谷、恵比寿といった大都市に店を出したいが、家賃が高くて店を出せない小規模店や若い店長の店が、比較的家賃の安い中目黒に目をつけた

の二つは、理由として良いと思う。
特に二番目の理由は、中目黒に、小規模で、個性が強く、実験的とも言える店が多い理由に繋がっているのだろう。

そして、もう一つ理由があるとすれば、この時期から、メディアが都心や渋谷・新宿・池袋等の繁華街以外の街を盛んに取り上げ始めたことが挙げられようか。東京ウォーカーの創刊は1990年。HANAKO・東京人といった雑誌の創刊も1980年代後半である。これらの雑誌では、しばしば各地の「街」の特集が組まれた。

特集では(時には捏造に近いほどの無理をしてでも)「街の個性」を誌面に載せようとした。特集しておいて「何も無い寂れた街です」というわけにはいかないからだ。そして、これらの雑誌が決めた街の個性が、実際に街をその方向に向かわせる、という現象へとつながる。

中目黒は「若い店長が、意欲的な小規模店を出す街」「隠れ家的なお洒落な店のある街」「そのくせ庶民的な飲み屋も多い街」「桜が素敵な街」という個性を「与えられ」、実際にそういう街として成長を始めた。確かに、代官山に程近く、渋谷や六本木、銀座といった街からの交通が良いにも関わらず、家賃は非常に安かったから、「若い店長が、意欲的な小規模店を出す街」としてはうってつけだったのだ。

しかし、その状況が変わってきている。

20年前は、坪2.5万弱程度だった家賃が、今は4万前後という。再開発ビルはもっと高いかもしれない。

あるブログが、高架下の理容店の閉店に関連してこう記している。


年末の30日まで営業し、新しい年には廃業とのことでした。もったいないじゃないですか、と申し上げると、中目黒は家賃が高くて、一人で床屋をやっているのでは採算がとれないのですよ、と寂しげに話をしてくれました。

http://tokyo-nagano.txt-nifty.com/smutai/2006/12/post_329a.html


また、最近、ビルの建替えで閉店したローソン(鳥小屋近く)も、「新しいビルで再開すれば」との常連の勧めに「家賃が4倍になるから無理だろう」と語ったとのこと(本情報を記載したブログは閉鎖)。ガード下の中華店も「近隣に移転しようにも、家賃が5倍では」と嘆いているとのことだ。

このように、家賃の高騰により、中目黒で商売を続けるのが困難になってきている店も出てきている。

なぜ中目黒の家賃はこんなにも高騰したのだろうか。

結論から言えば、それだけ需要があるからである。
すなわち、それだけ「集客力があり、儲かりそうな場所」だからである。

需要が供給を上回れば、物の価格は上昇する。初歩的な経済学の問題だ。

よく、再開発に批判的な人が「あんな閑散とした無駄な再開発のせいで、家賃ががった」的なことを言うが、実はこれは自己矛盾でナンセンスだ。
閑散としているのが本当ならば、街の集客力には貢献していないということで、家賃の高騰には関係がない。逆に、再開発が家賃高騰の一因ならば、再開発は集客力アップに貢献しており、失敗とは言い切れなくなる。

ともあれ、良い店が増えれば、街の集客力は上がる。我々が「ここは良い店だ」と足繁く通い、宣伝するほどに、街の集客力は向上し、家賃は上がってゆく。つまり、家賃を上げているのは、皮肉にも優良店自身であり、中目黒を愛する人たち自身ということになってしまう。
特に、ここ15年の中目黒ブーム以降は、その傾向が強まっているといえよう。

だから私は、「店」や「中目黒のファン」が、家賃高騰での閉店に対して「大事な場所が奪われた」的に完全被害者のような物言いをするのを見ると、正直、冷ややかな気持ちになる。その一因は彼ら自身なのだから。隠れ家は、誰にも言わないから隠れ家なのであって、宣伝して回れば、メジャー化して経済原理の大波に飲まれるのは当たり前なのだ。先に紹介した理容店くらい老舗のオヤジが言うならまだ分かるが、中目黒ブーム以降に出店した店や、最近中目黒を好きになった人が言うのは、少々、マッチポンプである。

実際、中目黒ブームが始まった以降に出店した店は「高い家賃でも構わないから、中目黒に店を出したい」と出店してきたのだ。地元の不動産屋によれば、今でも「他の店より××円多く払うから、うちに貸してくれ」と言って、中目黒に出店したがる店は少なくないそうである。つまり、こうした「最近の出店組」こそが、家賃高騰の流れを作った者達と言っても良い。彼らは家賃高騰に関して、けして被害者などではないのだ。

もちろん、そういった店が閉店することを「自業自得だ。ざまぁみろ」などと言いたい訳ではない。店だって中目黒ファンだって、街の家賃を上げるために、悪気があって行動していたわけではない。単に、商売を頑張り、街や店の応援を頑張った結果が、皮肉にも自分の首を絞めることになっただけだ。けして誰かが悪いわけではない。

ただ「『自分以外の誰か』が家賃を吊り上げて街を壊している。自分は100%被害者だ」みたいに考えるのは、あまりに自分の姿が見えていない物言いだと感じる。何か自分を「陰謀の被害者」のように思って過ごすのは、本人にとっても不幸なことだと思うのだが…。

中目黒を愛するものなら、誰でも、街は繁栄して欲しいと思っている。
そして、家賃は高騰せず、良心的な店や、野心的な若い店長を応援したいと思っている。
しかし、商売が出来る土地は限られている以上、全てを満足することは難しい。
本来再開発は、床面積を増やし供給を増やすという意味で、家賃高騰の解決策であるはずなのだが、実際には逆の動きを誘発してしまう。どうにもやりきれない話である。

残念ながら、我々にできることは、家賃の高騰以上のスピードで、街や店を応援していくことだけなのかも知れない。