中目黒再開発の事実

中目黒の再開発・工事について。少しでも事実を伝えられれば…。

「上目黒一丁目再開発」の概略

2007-12-28 09:08:59 | 中目黒再開発
このブログを立ち上げて以来、ずっとガード下の工事を中心に記述してきた。これはあくまで話題の中心がそちらにあったからなのだが、そうこうしているうちに「上目黒1丁目再開発」についても、ちょっとした誤解を書いている人を見つけた。
というわけで、今回は少しサワリだけ説明しようと思う。

誤解の内容とは以下のようなものである。
おそらく、ブログなどで文字にしなくても、同様の誤解をしている人は少なくないと思う。

中目黒ゲートタウンの山手通りを挟んで向かい側の再開発地域に、旭化成さんの45階建ての高層マンションが出来るようです。
http://miraiyosozublog.blog112.fc2.com/blog-entry-146.html

まず、上記は正確ではない。正しくは「45階建てのマンションを中心とした、計4棟の建物」が出来るのであり、旭化成は45階建てのマンションの上層階(約30階より上)を分譲する販売会社に過ぎない。低層部分はUR(都市機構)が賃貸として貸し出す。

従って「旭化成の再開発」というように捉えるのは(あの広告看板を見れば当然の誤解だが)誤りである。

再開発にもいろいろな形態があるが、中目黒の再開発は「第一種市街地再開発事業」という法定再開発というものである。再開発の推進は「再開発組合」が担う。

では、再開発組合とはどういうものかというと、一般に以下のような団体からなる(以下、私もまだ勉強が半端なので、間違いがあるかも知れない点、ご承知おき頂きたい)。

立場団体名役割
地権者土地所有者・借家人土地を提供する。組合の要職を担い、再開発の決定権を持つ
設計コンサルタント日本設計依頼を受けて設計の提案を行う
ゼネコン鹿島設計・施工についてアドバイスする。施工する。
自治体目黒区公共施設について指導する。「都市計画」などを策定して再開発に法的裏づけを与える。
販売会社旭化成・都市機構新たに出来る家を販売したり、賃貸に出したりする。再開発資金を立て替える

他にも、銀行なども入っていると記憶しているが、単純化して理解するなら、上記が分かれば良いだろう。

上記で分かるとおり、再開発で実際の設計を行うのは設計コンサルタントであり、それに承認を出すのは地権者を中心にした再開発組合、という構図だ。旭化成やURは「売れるマンション」にするためにアイディアは出すが、大した権限があるわけではないのだ。


これまた噂ですが、現在、東横線のガード下のお店はほとんど立ち退いたのですが、中目黒の改札も新たに目黒川側に出来て駅もきれいになるとか。

再三述べている通り、上目黒1丁目の工事と、ガード下の工事は全く関係がない。新たに改札が出来るという計画も今の所はない。何か決定事項であるかのような噂が流れているが、単なるデマである。

もちろん高層ビルだけで450戸、総戸数ではたしか500戸近いマンションができるのであるから、新しい改札を作った方が良いのは道理である。よって再開発組合では、東急に対して正式に改札口の建設を申し入れている。また地元の区議も東急に対して申し入れを行っている(⇒かもしだ区議)。要は交渉継続中ということであり、可能性はあることはある。

ただ、あのケチ東急が申し入れだけで簡単に首を縦に振ることはないだろう。資金面での補助を要求してくるはずだ。上一町会再開発にそんな金はないから、区がどれだけ出すがが鍵かもしれない。

旭化成さんどうか地域のことを考えた開発にしてください。都内の人々が一度は行ってみたいと思うような開発を願います。

既に書いたように、旭化成は単に「できた物を売る人」であって、何を作るかを決める権限は殆どない。あくまで権限は再開発組合にあり、地元地権者にある…はずなのだが、上一再開発ではそれがちょっと怪しい。

「設計コンサルタントは設計の案を提示し、地権者が承認する」と言えば、イメージとしては
  • 設計コンサルタントが複数の案を提示する
  • 地権者がその案から、一番良い案を選ぶ
  • 選んだ案を地権者が修正する

という流れを想像するだろう。

しかし、私が知っている限りでは、コンサルタントから複数の案が出てきたという記憶はない。私が説明会に行った時は、既に「こんなものを作ります」という状態であった。また、その案に対して地元地権者が修正意見をつけても、「工期が延びるので」「事業費がかさむので」「都との調整が」と多くは潰されてしまった。

これでは、果たして「地元地権者に決定権があり、地権者が開発の責任を負う」と言えるだろうか。結果、地元民の中には「俺たちは設計に関わってないし、そんなんで街づくりの責任を問われてもなぁ」「コンサルタントの言うことを認めるしかないんだろ」という倦怠感が形成されていると言っても過言ではない。
じゃあ、コンサルタントが「再開発で作る街の責任を負います」と言うかと言えば、それも無いだろう。

じゃあ、誰が上目黒一丁目の街づくりに責任を持つんだ??

結局「上目黒一丁目をどんな街にするのか」というマスターコンセプトもなく、それを作る権限を誰が持つのかも不明なまま、工事が進んでいるのが、上目黒一丁目再開発の現状なのだ。このままで、再開発が成功に導かれるかは、少々、覚束無い状況なのが課題である。

ともあれ、多くの人が興味を持っているのが「どんな店が入るのか」ということたろう。これは現状では未定としか言えない。

再開発によっては、区域の一等地を組合で取得し、組合主導で「どんな店を入れるか」という店舗計画を立てるものもあるようだ。例えば、代官山アドレスでは、当初より「スーパーマーケットを誘致し、それを核にした街づくり」を計画していたそうである。そういう再開発では、割と早い時期から街のイメージが形成されやすい。

ところが、上一の再開発では、区域の一等地は地権者に配分されることになっている。そこを地権者がどう使おうが勝手なのだ。したがって、再開発後の将来像が知りたければ、各地権者に聞いて回るしかない。ここでもまた、区域のマスターコンセプトが不在である。

ただ、再開発前にあった店舗は戻ってくるのが基本としてはある。したがって、ラーメン横丁だとか、文房具屋だとか、時計屋、本屋といったものが、店舗ゾーンに入る可能性は高いとは言える。

再開発の歴史や、再開発の詳細については、また述べることにするが、とりあえず概略はこんな感じだ。若干「グダグダ」化している状況がお分かりいただけたであろうか。