ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

LEDランプ制作⑥成型工程

2012年10月30日 | 制作現場

ここからようやく本格的な製作作業に入る。

タタラを布ごと持ち上げて板から外し、インダストリアルクレイ型に載せて成型する。その後、表面(LEDの光が当たる面)にテクスチャーというかマチエールを施す。


次に、石膏型をその上に載せてサンドイッチ状にし、この後に続く工程のために、これを上下ひっくり返して、今度は石膏型の上にタタラがのっかっている状態にしたいのだが、重さは30Kg近くあり、妻と2人がかりでもかなり危険を伴いそうだ。そこで、天井からロープでこの塊を吊るして反転させる仕掛けを作った。下の写真は、反転前の状態。上下の型をロープでしっかり締め上げ、それを天井からブランコ状に吊るしてある。


一気に廻すと思いのほかうまく反転することが出来た。大成功!昔、天井から自転車を吊るすために買った3個の滑車が役に立った。


反転して上側になったインダストリアルクレイ型を外す。


この後、タタラの外周を石膏型の縁の面をガイドにして、自作のワイヤーツールでトリミングする。これがワイヤーツール。下にある石膏型の面をガイドにして延長面で粘土をカットできる。陶芸用の弓の変形のようなもので、なかなか便利だと自画自賛している。ポイントは、ワイヤーが木の面に掘った溝にピッタリ埋まっていて、ガイドの面の上をスムーズに滑らせることが出来るところです。



配線用の穴を作る。テンプレートで溝を掘り込み、直径6mmのビニールパイプをそこに埋め込む。そして、そのパイプを粘土でカバーして行く。後でこのパイプは引き抜く訳です。一方で、ランプの足を付ける。足は、スタイロフォームで作った三角形の型(左に置いてある)の上にタタラを置いて形を作り、出来上がったらその型を抜き取る。粘土がこびり付いて抜き難くくなってしまったので、三角形の穴を開けた合板を粘土に当てて抜き取った。ここへ来てドンドン仕事は捗って行くので大変に気持ちが良い。

LEDランプ制作⑤タタラ作り

2012年10月26日 | 制作現場


今回作るタタラは、厚さ1.6cmで縦横が62×44cmほど。3割ほど余裕をみて計算すると12.5キロの土が必要になる。何時もはパン生地用のローリングピンでタタラを作るが、今回はローリングピンの幅が足りないので、これを荒延ばしだけに使うことにした。粘土の下には布を敷いてその下にある板に土がくっ付かないようにする。また、後で移動する際に担架の役目もする。また、粘土の上にも布を敷いてローリングピンに土が付かないようにして叩く。周囲は、8mmのタタラ板を2枚重ねにした上で外周を釘で止めてある。

ある程度土が伸びたら、後は砂袋を使ってドンドンと叩いて伸ばす。これがかなりの力仕事だ。どうしても中央が高くなってしまうので、最後は60cmの物差しでタタラ板をガイドに高いところを削り取る。これもあと数ミリがなかなか削れず結構根気が要る。

私のタタラ作りのポイントは以下の4つ。
  ・土は、叩いたり、金属の物差しやローラーで抑えたりるなどして良く締める。この時外周
   に枠があると縁までしっかりと締まる。枠が無い場合は、叩いて伸ばした外側の土は十
   分締まっていないので使わない。
 
  ・土を継ぎ足す時は、足りない部分にいきなり土を足すのではなく、そこに近い土の上に
   追加の塊を置き、その塊を叩きながら足りない部分へと伸ばして行く。こうすると土の継
   ぎ目が出来ない。

  ・タタラの下には布を敷く。布があれば自由にタタラを動かすことが出来る。新聞紙を敷く
   と、新聞紙が粘土にこびり付いたり、土が収縮した時に土に皺が入ったりしてやっかい
   なことになる。また、ローリングピンなどで伸ばす時は、土の上にも布を敷くとこびり
   付かないで済む。

  ・タタラをひっくり返す時は板に挟むなどして、出来るだけタタラに曲がり癖を付けない。

タタラを作る機械も市販されているが、なにせ値段が高い。

LEDランプ制作④型や小道具が完成

2012年10月25日 | 制作現場



全ての型と製作用の諸々の小道具が完成。

石膏型(作品の前面を成型)は、補強のサイザルを入れたけれど、使っている間に割れるのが怖いのでかなりの肉厚にしてしまった。その結果相当重たい。感じとして12~3キロはありそう。2日間天日で乾かしたがまだ水分が抜け切らないので、夜は白熱電球を下から当てて暖めている。

石膏取りしたインダストリアルクレイ型は、外周を広げ、初めの方の工程でタタラの表面加工をするための受け台として利用することにした。後に続く製作を少しでもしやすくする為、色々な道具を作ったり、型に加工を加えたりで予定よりだいぶ時間がかかっている。

明日は、いよいよというか、ようやくタタラ作りに入る。

LEDランプ制作③テストピース

2012年10月17日 | 制作現場

LEDランプ用のテストピースが焼きあがった。今回は釉薬というより化粧土に近いものを施す考え。いくつかの中で使えそうなのが写真のピース。素焼きの上に下地処理として、水で溶いた酸化物を刷毛塗りした後、ある程度乾いてから拭き取り、更に乾かしてから化粧土を刷毛塗りした。各々の配合は以下の通り。土は、「精土」の信楽赤1(わずか鉄分を含む)で弱めの還元焼成。

下地    :二酸化マンガン2、弁柄1(10×20cmの板に計3g)
化粧土(上):九谷磁土66、鼠石灰33、酸化チタン5、酸化銅1
   (中):九谷磁土66、鼠石灰33、酸化チタン3、鬼板3
   (下):九谷磁土66、鼠石灰33、鬼板6

思ったより下地の影響が出ていた。酸化銅によるうっすらした緑が良い感じ。
この辺を組み合わせて使って見ようと、いまの所考えている。

LEDランプの制作②型作り

2012年10月16日 | 制作現場

インダストリアルクレイを使ってランプの型を製作。これはタタラを成型するための石膏型を作るための型。合板で作った枠の2辺をガイドにして、同じく合板のテンプレートでインダストリアルクレイを成型する。インダストリアルクレイは炊飯器の保温機能を使って暖めているが、時間が経つと適温(約60度)より熱くなりクレイが溶け出すので注意が要る。インダストリアルクレイ専用のオーブンは高価なので何時か自作しようと考えている。

ちなみに、インダストリアルクレイは離型剤無しで石膏取りが出来るので大変に便利。しかも何度も繰り返し使えて無駄にならないし、形の修正がいくらでも気の済むまでできる。また、一般の油土に比べて格段に精密な形を作ることが出来る。陶芸の世界ではあまり使われていないのが不思議だ。

クレイが成型出来たら枠を外し、石膏を流し込む為の枠に付け替える。小さい方の型はランプの上部用で、後々本体と接合する部品。