ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

ロクロ作業の腰痛対策

2013年09月18日 | 仕事場や道具

ロクロ作業は常に前かがみなので腰痛が起こりやすい。僕の場合は、30分ほどロクロをやっているとが次第に腰椎の左側辺りがジーンと痛み出す。そこで考案したのがこの椅子。昇降式の椅子のコロを外してある。背もたれは外し、替りに小型のパッドを取り付けてある。これは体を前傾した時そこに上半身の体重を預けるためのもの。これによって背すじをあまり曲げずに前傾する事ができる。また、作業に応じて椅子を昇降させる事でも背すじの曲げを最小限にする事ができる。ロクロの様々な作業を考えると昇降の高低差がもっと欲しいところだ。特に低い側が欲しい。

以前テレビで、ある腰痛持ちの陶芸家が立って挽くことの出来る特注の電動ロクロを使っていた。それは床下にモーターが設置されていて、1mを超える長いシャフトの先にターンテーブルが付いているという特殊なものだった。昔からロクロは、人がロクロに合わせて姿勢を色々変えながら作業する物だったが、人間工学の視点から考えるとロクロも椅子も作業に応じて高さをフレキシブルに調整できるべきだと思う。




キッチンスケール 注文したら

2013年09月13日 | 仕事場や道具
少量の粘土を量るのに使っているデジタルキッチンスケールが壊れてしまったので、今度はデジタルより壊れにくいと推測してアナログのスケールを買うことにした。ネットで調べてヤザワの2kgキッチンスケールを注文。届いた量りを箱から取り出してみるとなんと針は最初から真下の1kgを指している。『エーッ???』調整ツマミを廻しても1kgから500gに届いたところでツマミは空回りし、針はそれ以上動かない。これって、針を上下逆さまに間違って付けたんじゃないのと思う。結局、新しいものと交換してもらうこととなり、翌々日に新品が届いて最初のは向こうに送り返す。で、箱から新しい量りを取り出したらなんと、またも針は真下を向いている。で、もう一度商品を交換して3個目でやっとまともな商品が届いた。
ヤザワコーポレーションに無料電話は無く、この不具合が信じられないという様子の担当の女性と長々とやり取りをして大いに時間と電話代を無駄にした。ま、運が悪かったということか。箱を見たらMade in Chinaとあったので、もしかしたら日本に敵意のある作業員の仕業かも知れない。毒入りギョーザよりはましと思うしかない。

ちなみに、30年近くキッチンで使っている量りはまん丸くて見た目は良いのだが、いかんせん持ちにくい。こういうものは手軽に出したり仕舞ったりし易くなければ困る。また、調整用のツマミが上皿を支える柱の後ろに付いていて使い辛い。その点このヤザワのスケールは真面目で使い易いデザインだ。





蚊遣り器

2013年09月02日 | 制作現場
蚊取り線香立てを考えている内に夏も終わりそうになってしまった。でも夏はまた来て、蚊もまたやって来る、と気を取り直して紹介します。
基本形は縦型で考えることにした。線香の取り付け方に、水平に置いた金属棒に線香の中心に近い所を縦に引っ掛けるものが多いので、これを実際に試してみる。すると線香が燃えて行くにつれて重量のバランスが変わり線香は少しづつ回転してしまう。その結果金属棒の位置は線香の中心よりも外側に移動し、最後にはかなりの量が残ったまま燃え尽きてしまうことが判った。これでは不完全燃焼だ。そこで線香が燃えている間に回転しない取り付けを考えた。そして器を持ち運びし易いように取っ手を付けることにもした。これが第一号で先ずは即席模型を作ってみた。
しかし、しばらくすると我ながら見た目がいまいちではないかと思うようになり、また線香の取り付けが結構やりづらいことも判った。更に、もしこれが倒れたら線香が外れるかも知れないという危険性も頭をよぎり始める。



そこで第二号を考え始めた。今度の取付は、線香の中心に開けてある細いスリットを利用することにした。ここを利用すると線香はそう簡単には外れない。しかしこのスリットはかなり細いので相当に薄い板でないと差し込めない。試してみると差し込み易いのは0.5mm以下だった。色々な材料を検討した結果、0.9mmのステンレス線をU字型に曲げ、その先の方を金槌できれいに叩き潰して0.5mm位にする。これで薄くてシッカリした取り付け部が出来る。後は、焼成後に土に開けた穴にそれを差し込んで接着する。

本体は灰を受ける部分を小さめにすることで線香を取り付け易くし、また低重心にもなった。基本形のリングは安定性を考えて幅広にしたので取手部分に装飾の透かし彫りを入れることにした。一個めは四角のパターンにし、二個目は夏の夜にちなんで月の満ち欠けの図柄を考えた。



タタラを組み合わせた比較的シンプルな作りになったが、作業を少しでも簡単かつ手早くするために、スタイロフォーム型や、型から粘土を外す為の台、リングに側壁を付けるための落とし込み部分を切り取るための治具、型紙などを準備した。こうした準備をしておくと数を作れるし、作品のクオリティも上がるというものだ。ちなみに、こうした作品専用の道具類はジップロックのバッグに入れて保管している。


土はあまり深く考えずに白の中目で制作した。しかし、素焼きが出来ていざ釉薬を決める段でどうするか悩みに悩んでしまう。やはり、土と釉薬の組み合わせは初めから考えておかないと、と反省。ここはあまり引き出しが多くないのだ。結局、いま開発途中の黄瀬戸っぽい釉薬を使うことにする。色味が狙い通りに出るかどうかが心気がかり。