ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

自作エクストルーダー その2

2013年04月28日 | 仕事場や道具
前に紹介した自作エクストルーダーの分かりやすい画像です。ナットを蝶ナットに交換して外し易くしました。使ってみると、一気に押し出さないと圧力が変化して粘土の太さが均一にならないことが分かった。それから、棒を押しながら手前に引いて、出て来る粘土の帯が曲がらないようにしてやる必要もある。わざわざ作った石膏の成形型は結局必要なかった。フォーレックス板に描いた輪郭線の上で曲げるだけで十分。この方が流れ作業にもなる。
ちなみに、フォーレックスは表面にわずかな凹凸があるので粘土が張り付きにくく様々な陶芸作業にとても使い勝手がよい。サクサク切れるのでちょっとしたテンプレートによく使っている。それに、安いのがなにより。


自作の粘土エクストルーダー

2013年04月09日 | 仕事場や道具
マグカップの取っ手を作るためにエクストルーダーを自作しました。数千円の市販品もありますが、自分の好きな取っ手形状を得る為には自作に限ります。画像でほとんど分かりますが。材料は、内径20mmの塩化ビニールの水道管、板2枚、角棒とその先に付ける小さな板。外側の板は、ボルト、ナットで着脱できる仕組み。内側の板は管の外径にぴったりの穴を開けて接着剤で管に固定。そして、作りたい断面形状の穴を開けたアルミ板(1mm厚)を2枚の板の間に挟みます。要するにトコロテン押し出し機と似たようなものですが、粘土を押し出すのは楽しい作業です。出来た粘土の帯は石膏型で成形しています。

加藤喜代司さんの峰陶房

2013年04月01日 | 陶芸家

信楽の峰陶房に加藤喜代司さんを訪問しました。きっかけは、東京ドームで開催されたテーブルウエアフェスティバルの信楽焼き特別展示の中に加藤さんの作品があり、良いなと思ったからです。
加藤さんは炭化窯変に力を入れておられて、中でもしっとりとした淡いマットブルーの釉が特徴です。炭化で焼いた焼き物は、概ね黒く煤けた感じで、見た目もいかにも炭化しているという感じがしますが、加藤さんの場合は焼いている間は酸化焼成で、冷却時のみ還元で炭化にするというやり方をされている。これで鉄分の多い土はほぼ炭のように暗い灰色になり、釉薬はしっとりとした色合いになるようです。このブルーは銅を使っているのだけれど、その反応は微妙なので不良率も高いとのこと。この色調にたどり着くまでには何年もかかったとおっしゃっていた。この他にもいくつか別の技法の作品も見せて頂いたが、どれもスッキリとしてバランスの取れた形をしています。

加藤さんの生家は信楽焼きの窯元で、次男ではあったけれど他の職業に付くということは考えられずこの道にそにまま入られた。京都で修行され、その影響もあって薄作りの作品が多いのですとおっしゃっていた。窯元の出身ではあるけれど伝統工芸のカラーはそれほど無く、素直で端正であることが加藤さんの持ち味だと感じました。