きのつらゆき(Kino_Tea)

紀貫之のごとく、気の向くままに、つらつらと、(書いて)ゆきましょう。
ブログというより備忘録。スケート関連多い。

アリョーナ・コストルナヤ優勝、JGPポーランド大会

2017-10-09 | Skating

(Update 2017-10-14)

ポーランド北部のバルト海に面したグダニスクで開催されたJGPポーランド大会。
アリョーナ・コストルナヤが、JGPシリーズ歴代最高点197.91点で優勝。さらに最終戦となるJGP第7戦イタリア大会にも連戦の予定。同門のダリア・パネンコワは「女の意地」を見せ、JGPファイナル出場を決めた。

podium, Poland
(Gettyimages.co.jp Sorry for not embedding the image.)
左からダリア・パネンコワ(153cm)、アリョーナ・コストルナヤ(146cm)、笠掛梨乃(145cm)。JGPに出場したロシア女子選手で一番美人なアリョンカは意外に背が小さい。パネンコワもJGPファイナル出場が決まり嬉しそうな表情だ。白い歯を見せないのはパネンコワ家のポリシーか。


大会結果
(各選手のインスタグラムのアカウント)

順位名前区分所属得点SPFS備考
1 コストルナヤ J1 ロシア 197.91 1 69.16 2 128.75 凄いオールラウンダーの登場
2 パネンコワ J2 ロシア 196.55 2 65.64 1 130.91 タケノコジャンプだけではない
3 笠掛梨乃 J4 日本 170.90 3 59.35 3 111.55 日本から再びヒロインが誕生
4 イム・ウンス J2 韓国 162.58 4 58.60 5 103.98 今回はイマイチなゼニガメ姫
5 エミー・マ J4 米国 155.86 6 52.41 6 103.45 スピナー、ジャンプに苦戦
6 松原星 J4 日本 154.34 7 49.10 4 105.24 関東の「あかり」も健闘
7 アルヒポワ J1 ウクライナ 152.51 5 57.64 8 94.87 美しきレイバックスピナー

大会結果サイト
出場選手ランキングサイト

この試合、フリーはライブで見れば面白かったのだろうが、さすがに朝の4時には起きられなかった。JGPも第6戦になると大部分の選手の評価が概ね定まるが、今回はシンデレラ・エクスプレスに乗ってやってきたアリョーナ・コストルナヤが優勝をさらっていった感じだ。



FSSp4 CCoSp4 StSq3 / 3F+3T(r) 3Lz 2A LSp4
アディオス ノニーノ
今シーズンのJGPを見た中で一番素晴らしいショートプログラム。何度見ても良い。それが点数でも評価されジュニア歴代4位の69.16点となっているが、タラちゃんやサーシャと違った大人の滑り(と言っても14歳)、しかしスターシャやダーシャとも違い、メドベ先輩のように「ちょっと見せてやる」感もない、一つ一つの動作が丁寧で、気負いも焦りも癖もない自然体な滑りのようだ。

スピンも早く、(訂正)キャノンボールシット・ビハインド(フリーレッグが膝の内側)でゆっくりにならないのもよい。変わったY字スパイラル、シットからキャメルに変化して腕を上げるスピンもよい。タラカノワの顔を足に挟み込むようなシットスピンも面白いが、コストルナヤのこのスピンも面白い。
3F+3Tの3Tをタケノコにすることで、3Tはついでのジャンプではなく、2段式ロケットが再度加速するような印象を受ける。加点も1.3ついている。


ジャンプは後半、タノ多め、ジャンプの入りも出も高難度であるのがエテリ組の常識であるが、コストルナヤはタノは少なめ。しかしジャンプの入りも出もさらりと凄いことをやっている。

(少しカンペを見るが)
チョクトー、カウンター、スリー、3F+3T(r)、スリー

モホーク?、バレエジャンプ、ロッカー、ウォーレイ、チョクトー、チョクトー?、3Lz

レイバックイナバウアー、2A、着氷した右足でスリー、ツイズル、チョクトーで左足へ、ターン2つ(カウンター?、ロッカー?)、LSpまで左足

動画サイトのスロー再生はとても便利。しかしこのあたりはまだまだ勉強が必要ですね…

ステップのレベルが3なのは、なぜだろう。

ジュニアはトゥルソワ先輩を応援しているがアリョンカも素晴らしい。



CCoSp4 StSq3 FCCoSp4 3Lz / 3F+3T(r) 3F+2T+2T 3S+3T 3Lo 2A 2A LSp4

モスクワオープンでは後半7ジャンプだったが、後半6ジャンプになっている。ルッツは1回なので苦手な選手(?)なのかは分からないが、なぜかフリップにアテンションがついている。

コストルナヤは4回転、3A、3Lz+3Loなどの高難度ジャンプを跳ぶわけでも、全部タケノコ(両手上げ)ジャンプを跳ぶわけでもないが、ジャンプ、スピン、スケーティング、音にあわせた振付ややわらかな所作がとてもきれいなオールラウンド型の選手。

昨シーズンの後半はロシア国内であまり良い成績ではなく、8月上旬にモスクワ郊外で行われたテストスケート(=JGP出場者の選考会)に参加していない選手だったが、8月末に行われたロシア国内大会のモスクワオープンで優勝し、今大会に急遽出場が決まった選手である。

アナスタシア・タラカノワと同様に今年の5月頃にエテリ・トゥトベリーゼのもとに移籍した選手が、わずか4か月で勝負強い選手に変身してしまった。①ウンス、②パネンコワ、③コストルナヤの順位予想も大きく外れてしまった。

アリョーナ・コストルナヤのプロフィール


先ごろ発表されたロシア・ナショナルチームの変更一覧には、リプニツカヤや川口悠子・スミルノフペアなどの引退した選手の名前とともに、女子シングルで新たに代表入りしたコストルナヤとミハイロワ(=GPロステレコム杯に出場予定)の名前が載っていた。
エテリ組からは8名の女子選手と5名の男子選手が今季のロシア代表となっている。



CCoSp4 StSq3 / 3Lz(r)+3T(r) 3F(r)+1Lo+3S(r) 3Lo(r) 3Lz(r) 3F(r) 2A(t)+2T(r) 2A(t) FSSp4 FCCoSp4
「脱ぎっぱ」こと「Ne me quitte pas (私をおいていかないで)
今回はノーミスだったパネンコワ。190点台は取れないだろうと思っていたら、取ってしまった。前回この演技ができれば鮮烈なデビューを飾れたはずだったが、同じミスを繰り返さない精神力はさすが。

ルッツ、フリップもザギトワと同様に跳び分け、回転不足が1つもないのもさすが。前回のミスで吹っ切れたのか、今回は3-1-3もうまくいった。連続ジャンプと3Lo、3Lzは加点も多い。「3F+2T、2A」を「3F、2A+2T」に変えたようだ。2Aは他の選手のように「よっこらしょ」の構えもない。この際、2Aもタノからタケノコに変えて、全部後半、全部タケノコを完成させてほしい。

タケノコドリルは伸びる伸びる、工事も捗る。滑りに疾走感があり、よく足が動いているシニアな滑り。しかし音楽との一体感や優雅さはコストルナヤのほうが上のような気がする。→と思ったら、ジャッジの評価はPCSの振付(CO)と曲の解釈(IN)はパネンコワのほうが高かった。orz

スピンはレベル4を満たし、ビールマンポジションも一応ある。

ラストの髪をほどき口紅を拭うマイムはずっと続けてほしい。
キスアンドクライでの少しほっとしたような表情も良い。ダーシャは本当にかわいいぜ!


JGPシリーズはロシアが6連勝中。最近はロシアが4~5勝、日本が2~3勝だったが、今季はロシアが7戦全勝の可能性が出てきた。次戦は日本のエース・紀平梨花が登場するので、ロシア全勝の阻止を期待しているが、相手がコストルナヤなのでなかなか手強い。

JGPの勢力図は、女子の場合、3年後のシニアの勢力図をあらわしている。宮原知子が2015年世界選手権で銀メダルを獲得して以降は表彰台とは無縁の日本。テレビ放送も人気の男子がゴールデンタイムで、女子は深夜に放送されることも多くなってきた。このあたりで少し巻き返してほしいと思う。


フリー・スケーティングの得点と内訳 (気になる選手を抜粋)


名前所属合計点TES(TES内訳)PCS(PCS内訳・素点)減点
BVGOESSTRPECOIN
#1 トゥルソワ ロシア 132.12 75.62 68.73 6.89 56.50 7.07 6.89 7.18 7.14 7.04 0.00
#6 パネンコワ ロシア 130.91 72.91 62.58 10.33 58.00 7.14 7.07 7.32 7.36 7.36 0.00
#2 タラカノワ ロシア 130.00 70.55 61.85 8.70 59.45 7.61 7.21 7.54 7.43 7.36 0.00
#6 コストルナヤ ロシア 128.75 70.77 60.69 10.02 57.98 7.32 7.14 7.39 7.18 7.21 0.00
#4 トゥルソワ ロシア 126.60 71.78 65.03 6.75 55.82 6.89 6.89 7.00 7.00 7.11 1.00
#5 サモドゥロワ ロシア 125.43 69.18 60.27 8.91 56.25 6.96 6.68 7.36 7.11 7.04 0.00
#3 紀平梨花 日本 125.41 69.39 65.19 4.20 57.02 7.07 6.96 7.25 7.04 7.32 1.00
#4 コンスタンチノワ ロシア 122.13 63.67 55.63 8.04 58.46 7.39 7.14 7.36 7.29 7.36 0.00
#2 イム・ウンス 韓国 121.55 64.32 56.72 7.60 57.23 7.36 6.93 7.18 7.11 7.18 0.00
#4 荒木菜那 日本 120.02 66.82 59.71 7.11 53.20 6.82 6.57 6.54 6.71 6.61 0.00
#3 パネンコワ ロシア 119.15 65.49 59.17 6.32 55.66 6.96 6.79 7.00 7.04 7.00 2.00
#1 グリャコワ ロシア 117.96 63.05 57.98 5.07 55.91 6.96 6.57 7.14 7.14 7.14 1.00
#2 山下真瑚 日本 116.55 59.44 55.25 4.19 58.11 7.39 7.00 7.25 7.36 7.32 1.00
#3 エミー・マ 米国 112.70 56.68 52.09 4.59 56.02 6.75 6.75 7.11 7.04 7.36 0.00
#6 笠掛梨乃 日本 111.55 58.31 53.63 4.68 53.24 6.96 6.50 6.71 6.64 6.46 0.00
#5 山下真瑚 日本 110.53 56.24 52.28 3.96 54.29 6.96 6.57 6.86 6.75 6.79 0.00
#2 タラカノワ ロシア 98.99 49.91 53.54 -3.63 52.08 6.93 6.46 6.18 6.61 6.36 3.00
参考
*1 コストルナヤ ロシア 121.36 69.09 60.79 8.30 52.27 6.42 6.33 6.77 6.58 6.67 0.00
*2 グバノワ ロシア 133.77 71.27 60.22 11.05 62.50 7.71 7.64 7.96 7.82 7.93 0.00
*3 本田真凜 日本 133.26 70.68 60.38 10.30 62.58 7.96 7.54 7.93 7.75 7.93 0.00
*3 ザギトワ ロシア 138.02 75.81 64.01 11.70 62.21 7.75 7.54 7.82 7.89 7.89 0.00
*1 '17 (国内)モスクワオープン
*2 '16 JGPファイナル
*3 '17 世界ジュニア

パネンコワ、コストルナヤはGOEを10点以上獲得し、PCSもすべて7点台の高い評価を得ている。JGPファイナルは、ロシアの4強(トゥルソワ、パネンコワ、タラカノワ、コストルナヤ)の戦いとなり、日本のエース・紀平が対抗馬になるのだろうか。


JGP Poland
JGP Poland
美しい御御足(おみあし)のアリョンカ、衣装の飾りもパワーアップ

JGP Poland
JGP Poland
たくましい御御足(おみあし)のダーシャ、演技の迫力もパワーアップ

JGP Poland
日本のニューヒロイン笠掛梨乃、名古屋の爆走娘・第二弾

JGP Poland
関東の星、松原星(あかり)、少し緊張したがフリーのジャンプ3-3、3-3-2がよかった。
衣装はショートの衣装(写真)が好みだ。

JGP Poland
ウクライナのアルヒポワ、自宅にスピン練習用のターンテーブルがある


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