ヲラトニク(旧 ココカラ Blog)

有限会社アサヒ技研コミュニケーションメディア研究所からお届けします.

CLEARING, THE

2008-02-06 13:32:57 | 映画を観る
ロバート・レッドフォード,ヘレン・ミレン,ウィレム・デフォー.アメリカンドリームを実現したレッドフォードを誘拐する平凡な男をデフォーが演じる.山小屋へ向けて森を歩くデフォーとレッドフォード.ミレン演じるレッドフォードの妻と子供たち.ふたつの時間軸がカットバックで交錯する.互いの人生を語り合うレッドフォードとデフォー.誘拐事件を担当する FBI の捜査のなかで明らかになっていく過去の女性関係.

やがて身代金の要求.このあたりから,ミレンのまわりの時間とレッドフォードたちの時間軸のずれが違和感をもってくる.山小屋で他の男達にレッドフォードを引き渡せば大金がもらえるとデフォーはいうが,結局のところデフォーの単独犯.誘拐したその日のうちに山中で殺害していたことになる.ミレンのもとに送りつけられてきた荷物に血がついていてレッドフォードの死が予感されるシーンは重要なポイントなのだが,そこがうまく描けていない.つくりものの血痕のように思われてミスリードされてしまう.

デフォーは最終的に奪った金を目立つように使って自ら逮捕される.終わってみれば,何か大きな秘密や陰謀が明らかになるわけではなく,レッドフォード,ミレン,デフォーの心の動きと,その背景が丹念に描かれた作品になっている.全編にわたる音楽も抑えが効いている.

ちなみに邦題の「二重誘拐」はさっぱり意味不明.アクションでもサスペンスでもない.大人の情感あふれる作品.

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