Noctilux 50mm f1 が生産終了

ライカレンズの中で最も明るい f1 のレンズ，ノクティルクスの生産が終わるとのこと．最後に世界限定 100 本の限定販売が行われるらしいが，これがまたいかにもコレクターズアイテムっぽい．エリーブルーが作る化粧箱に収められているということですが，ここは葉巻のケースなどを作っているということからしても，なるほど湿度をコントロールするのに最適なケースということなのですね．シダーやグアレアといった素材でラッカー仕上げ，中には湿度計と除湿剤．合成皮革アルカンターラで内装されていて，ヒンジなどは金メッキ．ここまでくると，レンズそのものに触れることはなく，ごくたまに箱を開いて愛でるということになるのでしょう．

このレンズは開放で使うと被写界深度がものすごく浅くなり，目にピントを合わせると睫毛ですでにボケてしまうといいます．ライカには似つかわしくないほど大振りで重たいレンズではありますが，ちょっと使ってみたかった．こういう最後の限定発売があると中古市場でも値上がりすることが多いので，ちょっとまた手が出ないことになりそうです．

Sexial Identity

性同一性障害など，心と体の性の話がきちんとできるようになってきた．先日の毎日放送「ちちんぷいぷい」のなかで，心と体に恋愛対象を加えた 3 つの軸で整理するという話を聞いてなるほどと思った．

心と体と恋愛対象それぞれに男女の別があるのだから，考えられるパターンは 8 通り．いままで性同一性障害の話などを聞いていて，男性の身体をもって生まれて心は女性という話になると恋愛対象は男性になるように考えていた（というか恋愛対象という軸があることすら思いが至っていなかった）が，女性に惹かれることもあるといわれるとなるほどその通り．

その相手が心も体も女性で恋愛対象が女性の人ならしっくりいくのかなと思ったが，身体が男性なのだからそこでうまく恋愛が成立しない可能性がありそう．となると恋愛対象が男か女の 2 種類だけでは記述力が足りないのかもしれない．対象となる人の心と体にもそれぞれ 2 種類あるのだから，自分の心と体に加えて相手の心と体．4 つの軸にそれぞれ 2 種類あるわけで，16 通りのパターンがある．

ええとそうなると，心が男性で身体が女性の人が，身体が女性で心は男性の人に惹かれるとか，そういう組み合わせがあるのですね．ううむ，かえってややこしい．

古畑中学生

三谷幸喜監督「ザ・マジック・アワー・ショー」公開にあわせて，さまざまなキャンペーンが展開されている．三谷幸喜本人がありとあらゆる番組に登場しているが，過去の三谷作品もまとめて放映されている．人気シリーズ「古畑任三郎」もスペシャル版が再放送されているが，スピンオフとして古畑の中学生を描くのがこの「古畑中学生．」

実は古畑と向島が同級生だったとか，母親はスナックでホステスをしていたとか，父親はよくわからないとか，古畑の過去が明らかになる．初めて恋心を抱いたのは両親が離婚してどちらにも引き取られず祖父に預けらた薄幸の少女．いくつもの伏線がきれいに村の埋蔵金探しに集約されていく．

三谷作品らしく豪華なキャスティングでそれぞれのキャラクターが立っているのだが，なかでも物事の本質を捉えることを説く教頭がいい．善と悪の本質について古畑に問い，見かけや振る舞いに惑わされることのないように説く厳めしい教頭．自転車に乗って走り去る黒服の後ろ姿は，いつものセリーヌの自転車に乗って走る古畑の姿そのもの．

中学生時代の古畑と向島を演じる二人もなかなかのもの．というか，面差しがとても似ている．三谷幸喜が，彼がいなかったらこの作品はなかったと言わせるのも納得する雰囲気をもっている．

やがて村を去る古畑親子を見送りながらの向島のモノローグは，「古畑任三郎」本編での二人の関係を思い出させる．エンディングに今の向島が縁側で中学生時分に古畑からもらった「バスカビル家の犬」を大事そうに読んでいたり，今のツーショット写真を飾っているなど，基本をきっちり押さえたスピンオフに仕上がっている．（2008.6.14 放映）