ヲラトニク(旧 ココカラ Blog)

有限会社アサヒ技研コミュニケーションメディア研究所からお届けします.

Water

2007-11-23 21:31:42 | 展覧会
ミドタウンにある 21_21 デザインサイトの第 2 回企画展は,佐藤卓ディレクション,「water.」コンセプト・スーパーバイザーは竹村真一.食品サンプルの横にある食券販売機のボタンを押すと,値段の代わりにその食品を作るのに使われた水量が印刷されて出てくる.巨大なカフェオレボウルのような器の底にさまざまな映像が映る.水玉の不思議な動きや雪の結晶.海中を覗いたメガネのように下にシュノーケリングをしている男性.

超撥水加工をした紙の作品がまた面白い.台座の上に皿回しのように乗せられた紙皿.水滴を落として紙皿をゆすったり叩いたりすると,水滴がさまざまに表情を変える.紙皿の上にさまざまな凹凸があるもの.水の表面張力が意外に強いことを感じる.隙間もあって小さな凹凸しかないのに,水玉はその中に滑り込むことができずに跳ね返される.勢いを与えるとそれを乗り越えて,一気に中へ飛び込む.同じ素材を使った「鹿威し」はガラスの筒が金属と当たって透明な音を立てる.こぼれだした水は斜面の凹凸に当たっていくつもの水玉にちぎれ,また重なり合ってまとまり,ごくわずかな段差など微妙なバランスによって異なる動きをみせる.

チョコレート展では,チョコレートの道路にパウダーシュガーで線引きをしたような作品が展示されていた芝生のスペースには,巨大な青い傘と水滴が転がっている.自分が小さな虫になったみたいで楽しい.日頃なにげなく接している水を再認識する機会となる展覧会.

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The Jewels of TIFFANY

2007-11-23 21:06:20 | 展覧会
庭園美術館で開かれている「世界を魅了したティファニー 1837 - 2007.」まえから庭園美術館には来てみたかったのだが,ようやく願いがかなった.庭園の木々も紅葉していて美しい.これでもう少し暖かくて風がなければいうことはないのだが.

連休初日ということもあって,チケット売り場には列ができている.ティファニーのジュエリーということもあってか,日頃はあまり美術館に縁がなさそうな女性の比率が高い.

庭園美術館の外観は思ったほどアール・デコの雰囲気がない.窓などの意匠はそれらしいものの,全体としては箱形の建物.しかし中に入ると,アールヌーボーとアールデコが共存.昭和の雰囲気とあいまって落ち着きのある愛らしさが漂っている.

展示されている作品は,オードリーヘップバーンが身につけたこともある有名なものを含めて,初期のものから現代のものまで.初期のものは細かく繊細.伝統的な意匠で素直に美しい.アールヌーボーの時代には,エナメルの蘭の花やトンボなどそれらしい意匠へと展開.アールデコのあたりから,ゴツンとした大振りで曲面を強調した作品へと変化する.そして現代の作品となると,オープンハートをはじめ,広く知られるデザインも展示されている.「フィッシュ」と題された作品は,漁網にかかったたくさんの魚をイメージしているのだろう,シルバーとウッドの小魚のようなパーツがたくさん繋がって輪になっている.ところがこれがぱっと見には,柿の種に見えてしまう.あたりでも「かきピー,かきピー」の声.笑ってはいけないのかもしれないが,ある意味でほほえましい作品.
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木村伊兵衛の眼

2007-11-18 14:51:45 | 展覧会
秋の京都.紅葉狩りの観光客でいっぱいの四条通を歩いて祇園へ.紅葉を見るというよりは,観光客の群れを見る気分でゆるゆると鴨川を渡る.並ぶ店先にいくつも貼られている白いポスターには,見覚えのある女性のモノクロ写真.八坂神社にほど近いところにある何必館・京都現代美術館で開かれている木村伊兵衛の展覧会.

ここの展覧会を観るのは久しぶり.5F の茶室の掛け軸がわりに作品を展示するなど,和風の内装そのままに展示が考えられている.今回は茶室の横に永井荷風のポートレートがさりげなく置かれていて,縁側に座っている荷風の姿と展示がシンクロしていたりする.最近まで気づいていなかったのだが,ここは館長の梶川芳友氏がブレッソンやドアノーと親交があったことなどから写真にも強い私設美術館.こまめにチェックしようと認識を改める.
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新春特集陳列(京都国立博物館)

2006-02-11 23:25:29 | 展覧会
まずは「京都社寺伝来の名刀」展.八坂神社・愛宕神社・大覚寺・妙心寺など,京都の有名社寺に伝わる刀剣が展示されている.信長が打ち倒した相手の刀を奪って自分の名を刻んだとか,秀吉の三歳で夭折した息子の守り刀とか,云われがある刀ばかり.展示室 2 室だけの小さな展示ですが,なかなかいいものが揃っている.

同時期に「神像と獅子・狛犬」展も開かれている.左の角があって吽形なのが狛犬で,右の阿形が獅子です.守護獣なので,力強い中にも優しさというか愛らしさが同居しているのがいいですね.

ちなみに 2/11 は建国記念日.常設展は無料公開です.そもそも京都国立博物館は京都「恩賜」国立博物館というのが正しい.これは,京都から江戸に皇が行ってしまって悲しんでいる京都市民を慰めるために天皇からもらったものなので恩賜なわけです.そういう由来があって建国記念日は無料公開なんでしょう.たまたまそこしか時間がとれなくて行ってみたら無料公開.これはラッキー.
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ドイツ写真の現在(京都国立近代美術館)

2006-02-08 19:11:22 | 展覧会
類型学(タイポロジー)のシリーズで 70 年代から指導的な活動をしてきた Bernd & Hilla Becher をはじめ,ポップカルチャーやデジタル処理を使う若手まで.Andreas Gursky のパノラマのような大判の作品では,広大な牧場にいる牛とか香港の証券取引所に圧倒される.Beate Gutschow や Loretta Lux などのデジタル・コラージュはそういうものかと.

なんといっても見入ってしまうのは,Becher 夫妻のタイポロジー.カリカリのパンフォーカスで精密に建造物が描写されたゼラチンシルバープリント.俯瞰で画面の端まで垂直なもものはそのまま垂直に写っている.これはアオってあるんでしょうね.透視図面のような風景.
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ユトリロ展(高島屋京都店)

2006-01-28 00:17:05 | 展覧会
ユトリロの良さは私にはいまひとつ分かりません.確かに,白の時代のマチエールが後の作品に比べて力強いということは分かりますが,貨幣製造機として搾取されるに至るほどの人気画家となる理由が私には感じられませんでした.

むしろ絵葉書をもとに描いていたであるとか,年下の義父や妻がマネージャーとして絵画の値段を吊り上げ,アルコール中毒であるユトリロを家に閉じこめて薄めたワインを与えていたなどという悲惨な側面ばかりが気になった.
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ドイツ・ヒルデスハイム博物館所蔵 古代エジプト展(大丸ミュージアム・梅田)

2006-01-28 00:11:38 | 展覧会
この展覧会で惹かれたのは 3 点.1 点めは高さ 40cm ほどのブロンズの猫.バステトではなく猫ということだが,これがきりっとしてりりしい.2 点めは高さ 20cm ほどの神官立像.なめらかな緑泥片岩が美しい.最後は,高さ 30cm 長さ 50cm ほどのトト神(トキ)像.嘴から首への曲線が美しい.他はいまひとつ...
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ミュシャ財団秘蔵ミュシャ展(サントリーミュージアム天保山)

2006-01-26 11:00:11 | 展覧会
秘蔵と冠した日本でのミュシャ展の最後,天保山での展覧会へ行ってきました.まずは出世作のジスモンダや四季など,非常に有名な作品が並んでいます.今回の展覧会のいいところは,それらの作品のもととなった習作や下絵が並んで展示されているところです.作品にいたる過程が見えるというか,こんな小さな習作でこのディテール感なんだとか,思うところがたくさんです.

さらにスラブ叙事詩に向けて油彩などリトグラフではないミュシャの作品が,まったく違う作風なのも面白いですね.最後にはガラス乾板で撮っていたという写真があって,これにかなり興味を引かれました.スナップ写真なんだけど微妙に鏡を組みあわせて凝った撮り方をしていたり,絵のモデルにポーズをとらせて写真を撮ったり.失礼な話ですが,こんなモデルがあんな女神さまになるだぁとか,ナマのミュシャが感じられます.

あと,ミュシャってフリーメーソンだったんですね.それもコアな.知らなかった...
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恐竜博 2005

2005-11-06 23:04:49 | 展覧会
長居公園の大阪市立自然史博物館で開かれている恐竜展.世界最大のティラノサウルス・スー(Sue)が公開されている.その全身骨格標本はさすがに迫力がある.以前,福井の恐竜博物館でみたロイヤル・ティレルのブラックビューティは埋もれたままの姿で美しかったが,スーはクリーニングされて立ち上がった姿で迫ってくる.

さてこの大阪市立自然史博物館.中学生以下は無料としたり,入館料も 800 円と安いこともあるだろう,人が多い.日曜日の 13:30 に行ったのだが,入り口まで 120 分待ちと言われた.実際は 45 分で入館できたが,そのあたりの情報を Web などでもっと流しておいてもらいたい.
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ミラノ展

2005-10-31 17:02:39 | 展覧会
天王寺の大阪市立美術館にて.ここは昔は周りのカラオケの音が響いていたり,大阪ミナミの猥雑な雰囲気が侵入してきていたりしたのだが,今はそれもなくなっていくぶん静かになった.さて今回の展覧会では,ダビンチのデッサンがひとつの目玉になっている.それもよかったのだが,ミラノの宗教画の精緻さがもうひとつのポイントではないだろうか.そもそも西洋絵画は教会の壁に仮想的な窓としてかけられるものだったので,キリスト教的な理想世界が隅々まで写実的に描かれるのが基本だ. そういう意味で煉瓦のひとつひとつまで描き込まれた建物の風景などが印象に残っている.展示の最後はミラノの現代芸術が唐突に配置されていて,やや場違いな雰囲気.残念.
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クールベ美術館展

2005-10-31 16:56:52 | 展覧会
大丸ミュージアム KYOTO にて.クールベというと,「波」を中学の頃に模写してみようと思ったことがある.油彩で透明色というものがあるのを知ったのはそのときだった.先に岩や砂地を塗り,上からターコイズブルーの水を描く.そんなこともあって,やはり水景に惹かれる.
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ATC「ジュラ紀大恐竜展」

2005-10-02 17:01:22 | 展覧会
大阪南港 ATC のミュージアムで開かれている恐竜展に行ってきた.中国四川省大山舗で出土した肉食獣の化石を中心に,福井県立恐竜博物館からの出品もあった.日本初公開のものもあり,規模からいってまあまぁといったところ.

会場でうっとうしかったのが,フラッシュ撮影をしている客がいたこと.会場はフラッシュさえ焚かなければ撮影は自由なのだが,フラッシュがばしばし焚かれていてなおかつ会場のスタッフがそれを注意しないのには閉口した.最近のデジカメブームで誰もがカメラをもっているわけだが,フラッシュを焚かないように設定する知識さえない.さらに,それができないのなら撮影を控えるという節度さえない.一眼レフをぶら下げたいい年齢の人間でさえそれができない.

もうひとつ衝撃的だったのは,「骨がわざわざ土の中に埋めてあるぅー」と言った母親の発言.子供ならともかく親がそれではお里が知れる.恐竜の化石はそのへんに転がってるのか?誰がそんなものわざわざ土に埋めるんだ?転がってるなら広いに行くぞ.
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ベルリンのクマ「ベアーリン」

2005-09-24 10:41:29 | 展覧会
ベルリンという名前はクマが住むところという意味をもっているらしい.赤い小さな王冠を頂いた黒いクマがマスコットになっています.それをプリントした T シャツがベルリンの至宝展で売られていて,とても惹かれたのだけれどサイズが合わない.思案したあげく,BREE のコインパースにクマが刻印されたものを購入.
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ベルリンの至宝展

2005-09-24 10:36:18 | 展覧会
神戸市立博物館でベルリンの至宝展が開かれている.ベルリンの中心部,川の中州に複数の博物館から構成される博物館島がある.ここに収蔵されている代表的なコレクションが展示されている.エジプトの発掘品など,やはりヨーロッパ的なコレクションが展開されている.大きな建造部の一部だけが切り出されていたりして,やはり本当にベルリンに行かないと感激も半減かと思わされる.

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鈴鹿芳康「合掌マンダラ」

2005-09-19 12:33:22 | 展覧会
京都造形技術大学の鈴鹿先生の作品展です.今年は弘法大師帰朝 1200 年記念ということで,東寺ではいろいろな催しが開かれています.9/20 から 11/25 までは東寺の食堂(じきどう)内で「縁起マンダラ」展が開かれ,並行して 10/8 から 10/29 までは東寺近くのギャラリーそわかで「合掌マンダラ」展が開かれます.

このマンダラは,約 2000 人が合掌している姿を鈴鹿先生がポラロイドで撮影し,そこに名前や日付を銘々が書き記したものからできています.かくいう私も撮ってもらったひとりです.はてさて,使ってもらえたものやら,どこに使われているものやら.
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