整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

整列機で部品に傷が付く?

2018-03-07 14:13:51 | 効率アップ
ウエステックの整列機を使って部品を並べる時は、
整列させたい数の3~5倍、場合によっては10倍くらいの
数量の部品を投入する必要があります。

揺動と振動を繰り返しますので、並ぶまでは
部品と部品がぶつかり合う状態が続きます。

整列治具の材質はベークライトですので、治具が部品を
傷付ける事はまずないのですが、部品どうしの衝突や擦れは、
物によっては影響が出る場合があります。

通常、固い物と柔らかい物がぶつかるようにすれば、
固い方には傷は付かないのですが、同じ部品どうし
ですから、手に負えない事も珍しくありません。

部品も単一素材で出来ている物ばかりではありません。
部分的に固かったり柔らかかったりする物も有ります。
柔らかい部分だけに傷が付き、それが看過できない
レベルに達する事もあります。

又、単一素材であっても、形状的に鋭角になっている部分が
傷付いたり、逆にその鋭角になっている部分が、
他の平坦な部分を傷付けたりする事もあります。

また、材質そのものは充分な強度を持っていても、
印刷してある電極が剥がれてしまったり、
接着されている部分が取れてしまったり
する場合もあります。

そういった懸念を1つ1つチェックし、この部品ならば
大丈夫だ、と思われても、まだ安心するのは早いです。

流すとすぐに傷付いたり、割れたり欠けたりすれば、
これは整列機で並べるのには向いていないと、
すぐに判断できるのですが、厄介なのは、一見すると
大丈夫そうなのに、振動を掛け続けている内に
傷がNGレベルに達してしまうケースです。

最初に書きましたが、整列機は整列させたい数の
3~10倍くらいの数量の部品を投入する必要があります。

これは、1回の整列動作で、並ばすに残る部品が、
整列穴数の2~9倍くらいの量になる、という事を
意味します。

これを何度か繰り返しますと、整列動作を5回も6回も
繰り返しても、運が悪ければ10回以上繰り返しても、
並ばずに残ってしまう側になってしまう部品が
存在する可能性が有る、という事です。

1回の整列動作で、例えば10往復させる必要が有ると
しますと、その10往復以内で並んでしまう部品もあれば、
100往復を越えてやっと並ぶ部品もある事になります。

せめて50~60往復くらいで並んでくれれば、
傷のレベルも問題ないのに、100往復以上させると、
さすがにNGになる、という場合は非常に厄介です。

また、傷自体は性能上問題なくても、
ほとんど傷が付かない内に並んでしまった部品と、
全体に薄い擦り傷だらけの部品が混在して
しまっている状況というのが、NGという場合も
あります。

ウエステックでは、最初に部品をお借りして、
整列実験から始めます。お客様の方で実際に
生産される時は、一度並んだ部品は、
二度と整列機に掛ける事はありませんが、
整列実験の段階では、一旦並んだ部品を
またばらけさせて整列機に戻し、整列に適した
穴形状と振動条件を見付けるまで、それこそ
何百回でも振ります。

それをやって行く途中で、ランダムに投入されて
いる部品の中から、傷の少ない部品と
傷が多い部品を判別するのはほぼ不可能です。

また、どのくらいの段階から、傷が増え始めるか
どうかを見極める事も、ほぼ不可能です。
投入数量が半端ないからです。

また、仮に傷が付く部品であっても、
その許容範囲はお客様にしかわかりません。

さすがに割れたり剥がれたりすれば、
弊社でもNGだと即座に判断が付きますが、
それ以外は基本的にわかりません。

また、明らかな傷ではなくても、
例えば矩形部品のカドが僅かに丸みを
帯びてしまう場合もあります。

その現象が、例え部品としてはOKの
レベルであっても、今度は整列率に
影響が出る場合があります。
部品のカドにエッジが有るか無いかでは、
整列に大きく影響が出る事があるためです。

整列機で並べる事ができる形状の部品であっても、
その傷のために、整列機の使用を断念せざるを
得ない場合がある事は、肝に銘じておくべきです。

整列実験の途中で、部品の傷が気になる場合は、
実験担当者からその情報がフィードバックされて
来ますので、その時点でお客様に判断を仰ぐ
事もありますので、宜しくお願いします。