いつのまにか、多臓器不全

普通より元気なオッサンがいきなり多臓器不全!?生死の境をさまよった約2か月間の闘病と、その後。

6月23日(火) こっそり水を飲む

2009-09-11 23:07:44 | 救命センター入院4週目
いつのまにか、多臓器不全
6月23日(火) こっそり水を飲む



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[Tの定期メール]

朝は昨日の晩より少し熱が下がっていたようです。だんだん話がうまく回るようになりました。

昼、点滴が右腕から右足に変わっていました。
足の点滴は痛いらしく(どうしてかな?)、足モミは当分左足だけになりそうです。
人工呼吸器も酸素は40パーセントの設定のままだけど、自発呼吸の設定に戻っていた。
ベッドは極限まで起こして、座位を取っていた。しんどくないかきいたら、
「しんどくない」という。唾を飲み込む練習もしているとのこと。もう(唾液を)取らなくてもいいと言った。
「息苦しくなるのでやりたくない」と嫌がっていた左右を向いて寝る体勢も、看護師さんが充分説明をしたらしく、今は本人も納得しているそうです。
でもやっぱり嫌がるので、本人にとって楽な座位をとって、そのあと右、座位、左という感じで、30分程度の短いタームで細かな体位変換のケアをしてもらっているみたいです。
座ることもとても重要なトレーニング。呼吸の感じも違うといいます。

晩の報告です。
晩はさらに、人工呼吸機の設定が下がっていました。
酸素濃度が30㌫にさがりあとはほとんどが自立呼吸の設定になっていました。
そのせいかやっぱりしんどそうでした。
今呼吸のリハビリ中なので、しんどいけどがんばってほしいと思います。



[妻の記録]

 腎臓内科の先生が、面会時間が終わる4時までにお話しに来られると看護師さんから聞いたので、すいかに伝える。
 洗髪したいことも看護師さんに伝える。

 間もなく腎臓内科の先生が来られた。

 私が本人と先生との間にいるので、本人の話なのに、先生は私に向かって言う。耳が聞こえにくい本人にはとても聞こえない。

 本人は焦って体を揺らし、
「きこえない」という口の動き。
 目が必死だった。
 当然だ。

 私は夫に聞こえるようにお願いします、と言ってベッドに近づいてもらった。

「いままで腎臓が悪いと指摘されたことはなかったということですね。・・・血尿とか子どものころにはあったようですが、それ以外ドックなどで指摘されたことはなかったですか?」

本人が大きく頷く。

「最初の時は無尿状態でしたが、今はどんどんでていますよね。尿の内容はともかく、回復する可能性がありますので、どういう方法で透析を行っていくかということを話すには、まだ早いと思います。」

「腹膜透析をご希望とのことで、当然、(あなたの場合は)おっしゃる通り適応と考えています。それにしても、もう少し治療を続けて、どうしてもだめ、というところまでいってから、選択していただいたらいいと思いますよ。きちんと情報もお持ちしますから。もしなにか、わからないことなどあったらいつでも言ってください。」

とリーフレットなど、情報をいただくことになった。

 なんだか希望がわいてきた。

「すいか、おしっこどんどん 出すんだ」



 看護師さんと一緒に久しぶりに頭を洗う。泡立たない。
 二回目、少し泡立つ。さっぱりした。

 頭を洗い終わって、しばらくしたら、口がどうのこうの、と言い出した。看護師さんが
「うがいをしますか?」
と言ったら、する、という。
楽のみに水を入れて、吐き出すための入れ物を当てて、待っていたら・・・

 飲んでしまった。
 自然に。

「あ!飲んじゃった?」
と看護師さんが言うと、本人は、
「?」

と目に疑問符をまるだしにした。
うそだ、知っていて飲んだんだ、と私は思った。

「飲むんじゃなくて、う・が・いです」
といわれ、
「あーそーかぁ」
という表情。

 うそだ。
 意識が戻ってからずっと水を飲みたいと言っていたから。そのあと、飲んだーという幸せな表情。

 看護師さんはむせないで飲めたんですねえ、と言ってくれた。

 そのあとは本当にうがいをして(それでも看護師さんによるとうがいのふりをして少し飲みこんでいたらしい)一件落着。

 そのあと、本人は、はぁーと幸せな溜息。
 座位をとれるようになって、めがねがほしくなったようだ。晩に持っていく約束をする。



[すいかの記録]

 午前、回診があった。腎臓内科の先生が教授らしき先生と透析の件で打ち合わせている。まだ結論を下すのは早い、もう少し様子を見ようということで合意していた。昨日、妻が噛み付いた効果があったのかも知れない。
 水がおいしい。ここの水は麦芽飲料水でほのかに甘い(おそらく勘違い)。
 看護師が「ちょっと飲んでみない?」という目配せでうがいをさせてくれた。そうか、みんなうがいといって水を飲むのかと合点した。もう少し欲しかったので、今度はうがいのついでに飲ませてもらった。建前と本音の見事な交錯である。
 この頃から座位が取れるようになってきて、観察室の様子が赤ちゃん目線から子供目線で眺めるようになる。
 これはすごいことである。今までいろいろな声が聞こえても天井しか見えず、自分ひとりの世界であったが、周りが見えると、隣にYさんが居り、向かいに座位を取っているおじさんが居り、斜め向かいに寝たきりのばあさんが居り、要するに自分が観察室のメンバーの一人であることが認識できるのである。
 いわゆる病室に居る気がしたものである。
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