松永和紀blog

科学情報の提供、時々私事

食品安全委員会はなにをしている?

2008-09-17 14:32:38 | Weblog
 今回の事故米について、食品安全委員会が委員長談話を発表しないのが、気になってしかたがない。
 農水省がいくら「安全だ」「濃度は健康被害を出した中国製ギョーザの60万分の1だ」と言ったところで、あんな不始末をしでかした組織が信用されるはずがない。
 でも、事故米のリスクの本当のところを、しかるべき機関が責任を持って国民に伝えるのは、食品行政における大きなポイントではないか。

 ここは、中立のリスク管理機関である食品安全委員会が引き取って、きちんとした見解を示したほうがいい。委員長談話を発表し、委員会としての見解を明らかにし、その根拠となった資料やデータも公表して、事故米の科学的な検討結果を国民に伝える必要があるのではないか?
 
 国の確固たる姿勢が見えないから、多くの人たちが訳が分からず、不安になっているのだと私は思う。

 現に、昨年1月に宮崎で鳥インフルエンザが発生した時は、直後に食品安全委員会委員長談話、委員会見解が公表されている。

 こんなこと、食品安全委員会の人たちも農水省も百も承知だ。でも、できない。できないのはなぜだろう? 


事故米業者公表はおかしい

2008-09-17 13:38:50 | Weblog
 農水省が、事故米の流通や販売にかかわった業者300社あまりを公表した。
 毎日新聞は「食の安全を最優先しすべてを公表した」と17日朝刊で報じている。

 これはおかしい。前にも書いた通り、今流通している米は、健康リスクを心配する必要がほぼない。少なくとも、メタミドホス残留のもち米やアセタミプリド残留は、濃度が分かっており、健康リスクの懸念はない。業者名を公表しても、食の安全とはかかわりがない。

 「食の安全を最優先に」というのは、農水省の言い逃れだとしか私には思えない。「なぜ、隠蔽する?」とマスメディアに批判されて、農水省は自らの責任を放棄して思考停止状態でリストを全部公表したとしか、私には見えない。

 事故米をつかまされた被害者であり、食品としての安全性に懸念はないのに名前を公表されてしまった零細業者の方々が、あまりにもかわいそうだ。