今回のブログは、読書について。今年に入ってから、驚くほど本をよく読むようになったので、その記録です。
1月から3月までのあいだに、22冊を読了した。ひょっとしたら20代の頃以来じゃないかと思われるほどのハイペースだ。3ヶ月で22冊なんて、読書家・愛書家のひとには呆れられる気もするが、ここ数年のことを考えると、ものすごいV字回復なのだ。
1年のうちに読んだ本の数を、メモで残しているだけ遡ってみると、
2011年-22冊
2012年-11冊
2013年-13冊
2014年-18冊
2015年-19冊
2016年-36冊
2017年-31冊
2018年-31冊
2019年-28冊
となっている。今年になっての3ヶ月で22冊読了が、いかに僕にとっての珍事であるかがわかってもらえるでしょう。むしろ、びっくりするのは、この数年の本の読んでいなさ加減だ。
せっかくなのでその、〈黄金の22冊〉をあげておく。感想メモは1冊ごとにつけているけど、合わせて1万字以上になってしまうので、思い切って全部割愛する。★は新刊。◯は図書館からかりたもの。
1『監督 小津安二郎』蓮實重彦
1983-1992 ちくま学芸文庫
◯2『教えて!イラクの戦争と今むかし2 イラクの歴史』平田伊都子
2004 汐文社
★3『日本映画大学で実践している ドキュメンタリー映像制作の作法』安岡卓治
2019 玄光社
◯4『日本型メディア・システムの崩壊』柴山哲也
1997 柏書房
★5『あの日を刻むマイク ラジオと歩んだ九十年』武井照子
2020 集英社
6『俺はロッキンローラー』内田裕也
1976―2009 廣済堂文庫
7『アー・ユー・ハッピー?』矢沢永吉
2001 日経BP社
8『音楽をどう生きるか 内田裕也対談集』中村とうよう編
1974 創樹社
◯9『学校では教えてくれない地政学の授業』茂木誠 文化放送
2016 PHP研究所
◯10『ニュースの”なぜ”は世界史に学べ』茂木誠
2015 SB新書
◯11『タゴール詩集』山室静訳
1966 彌生書房
12『産婦人科医きゅー先生の本当に伝えたいこと』産婦人科医きゅー
2016 KADOKAWA
◯13『カガミの実験』立花愛子著 田島董美絵
1999 さ・え・ら書房
◯14『無痛分娩のすすめ』勝間和代のクロストーク編
2015 毎日新聞出版
15『浅田舞写真集 舞』
2015 集英社
16『ありがとうございます』内田裕也
2014 幻冬舎アウトロー文庫
◯17『基礎から学ぶ認知心理学 人間の認識の不思議』服部雅史 小島治幸 北神慎司
2015 有斐閣
18『シナリオ構造論』野田高梧
1952—1979改版 宝文館出版
◯19『鏡映反転 紀元前からの難問を解く』高野陽太郎
2015 岩波書店
20『饗宴』プラトン 久保勉訳
BC4世紀—1965改版 岩波文庫
◯21『ブラックボランティア』本間龍
2018 角川新書
◯22『小よく大を制す! 勝負脳の磨き方』舞の海秀平
2014 育鵬社
ひとに特に誇れるところはなにもない、自分でも拍子抜けするような内訳だ。大半は仕事の参考で読んだ実用書で、長持ちする教養をたたえた本、いわゆる〈佳書〉は数えるほどもない。20代の頃のペースに近いといっても、当時は、二段組みの文学全集1冊をあくまで1冊と考えていたのだから、内実のケタが違う。
それでも、これだけ読めるようになったのはうれしい。読書のスランプはかなり大きく、長いものだったんだなあ……と、つくづく思う。
スランプの理由は公私でいろいろ思いつくのだが、どれも決定的なものではない。とにかく、様々な要因が複合的に重なった結果、読書の習慣が切れた。どの習慣でも同様に、いったん切れるとなかなかもとに戻りにくくなる。この数年は、頑張っても活字がなかなか頭に入ってこない感覚が確かに続いていた。それが、たまたま仕事で参考読書をする必要が今年は多くて、そのうちカンが戻り、身体が慣れてきて、またよく読むようになった、だけの話であるようだ。
つまりは、今年からまた本をよく読むようになったからといって、急に僕自身のスキルが高まったわけでもない。これは実感としてある。
読書量とその人間の内実の相関関係は、そんなに決定的なものではない、と自分をサンプルにして気付けたのはよかった。
ただ、他の習慣と比べたら、知らなかった考え方や常識に触れられる、こころに残る言葉がある、などなどの「おまけ」の豊富さはすごい。その点に関しては、読書は最強。本は読まないよりかは、読んでおくに越したことはない。これも、かなりの実感だ。
ハカがいって、サクサク読み終わる本が続くと、生理的に、なにか落ち着かなくなる。どっしりとした内容のものを素直に吸い込みたくなる。この飢餓感には、なかなか心地よいものがある。
新型コロナウイルスの世界的流行で、感染予防のため、外に出て人との接触を増やす機会を減らすことが新たなルールとなり、読書習慣の見直しがここにきて盛んに言われるようになってきた。
皮肉なもので、ちょっと世の中より先んじて、そういうことに僕もなっていた。
ひとつ自分で気になっているのは、〈黄金の22冊〉のうち、小説が1冊もないこと。
思えば去年も、ダシール・ハメットなどを数冊読んだだけだった。中高生から20代の頃までは、小説以外のジャンルの本もたまには読んでおこうかな、ぐらいの比率だったので、全く逆転してしまった。
小説というのは、年長者になると必要がなくなるものなのか。それとも、たまたまの巡り合わせか。これはちょっと面白い課題になっている。
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