今年(2025年)はここまで、どうもほかの仕事などがせわしなく、なかなか映画を見る時間が確保できないし、ブログを書く時間がとれないでいる。試写状をいただいて、ありがたいなあと思っても出かけられないし、オンラインのほうの案内も溜めているうちに公開がもう始まる、が続いてしまった。
そんなうちの1本を見たら、すごく良かった。すごく。時間をかけてじっくり反芻したい質の良さ。しかしその欲求に合わせていると . . . 本文を読む
モフセン・マフマルバフの『子どもたちはもう遊ばない』(2024)と、ハナ・マフマルバフの『苦悩のリスト』(2023)。2本の中編ドキュメンタリー映画が〈ヴィジョン・オブ・マフマルバフ〉と冠されて、2024年の年末から劇場公開が始まっている。公開に合わせて来日したモフセン・マフマルバフ氏に、メディア取材の合間に話を伺わせてもらった。配給したノンデライコの大澤一生が声をかけてくれてのことで、宣伝のテレ . . . 本文を読む
映画監督・熊井啓が、池田太郎との共同脚本の推敲を亡くなる直前まで進めていた(『海は見ていた』の次作になる可能性が高かった)『破獄』。月刊シナリオ2018年12月号に掲載された「第8稿」と、原作となった吉村昭の同題小説を比較分析する作業のつづきです。前回は小説について粘った。今回はそれを踏まえて脚本のほう、熊井啓版『破獄』を読み込み、どのように脚色がなされているかを検討していく。
(ここでは、・脚 . . . 本文を読む
【はじめに】映画監督・熊井啓は、2007年に死去した。遺作となったのは、2002年に公開された『海は見ていた』。しかし、熊井は『海は見ていた』の後も複数の企画を立て、脚本づくりを進めていた。このことは没後に次第に明らかになった。そのうちのひとつが『破獄』。戦前から戦後にかけ、超人的な頭脳と体力で4度も脱獄に成功した無期刑囚(実在の人物がモデル)と看守達の十数年に渡る闘いを描いた実録ドラマ。
吉村 . . . 本文を読む
すっかり、部屋で映画を見る=配信の習慣になって、パッケージ・ソフトをとんと見なくなった。部屋の隅やあちこちに積んだまま開いていないDVDの映画が何十本もある。もったいないことをしている、と急に気付いた。少しは減らそうと、たまたま目についた『ガンヒルの決斗』(1959)を見たら、パッチーンと面白かった。
映画をたくさん見過ぎると頭でっかちになってしまう、と常に怯えがある僕ですら、いやあ、映画って本 . . . 本文を読む