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BIG ART壁画プロ養成所

旧・かすかべ壁画塾。6ヶ月間・週6日間・全日制の壁画プロ養成所。壁画の研究や技術開発、普及活動をめざしています。

第5回 壁画技術講座 「イラスト模写」(猫の毛並みのタッチ)

2011-05-30 22:51:05 | 受講レポート

第5回壁画技術講座 5月28日(土)

        講師 : 米谷 和明 先生

第4回に引き続き、イラストレーションの模写を行う講義。

見本となるイラストは、佐藤邦雄さんの猫の絵です。

米谷先生に、この絵の描き方の手順を概略で教えて頂きました。

(米谷先生の作品。5時間くらいで描いて頂きました。)

手順1 ベースとなる中間調子を地塗りする。

手順2 2階調でおおまかに陰影をつける。

手順3 毛並みを描いていく。陰の焦げ茶の毛並みと、ホワイトのハイライトの毛並み。

手順4 同時に細かい描写をして仕上げていく。

手順1では、中間調子となるクリーム色を調色するのに、時間がかかりました。明るすぎず、暗すぎず、程よい調子の色を素早く調色したいものです。

手順2で、さらに苦戦してしまいました。2階調化させるのに、陰の明度を落とした、暗い色を調色する必要があるようです。暗い色を作るために、黒を混色するのですが、思い切って黒を混色して、陰の色を作るようにします。

手順3、鼻の色、耳の色、目の下の微妙な赤みを出しながら、いよいよ毛並みを描いて行きます。これが、簡単そうで難しかったです。うまく、しなやかな毛が描けません。

米谷先生のアドバイス、「毛並みを描く時は、塗料をつけた筆によく水分を含ませて描くようにする」とのこと。この水を多く含んで描く事を、「水をシャブシャブにして塗る」とか「シャブクする」といって表現しています。

(米谷先生の作品のアップ。毛並みが「ふわっ」としていて良い感じです。眼球や汗の粒も丁寧です。)

早速やってみましたが、よくわからず、途中で手が止まってしまいました。米谷先生に、「とにかく全部、毛並みを描き切ってみなさい。描ききったら、何か掴めるはずだよ」と励まされました。そこで、とにかく、ひたすら毛を描いて行きました。その間に気がついた事を挙げてみたいと思います。

1.手首をしなやかに使って、リズムよく筆を払う。

2.毛並みの生えている目を読む。

3.毛並みをハッチングすることで調子が生まれる。

4.毛足の長さの強弱で調子を出して行く。

5.基本的には、左右対称なので、左右を振り分けて、手を入れて行く。

6.筆を替える。

などなど。

米谷先生のアドバイス通り、毛並みタッチをやり切ってみると、多くの事に気がつきました。私の手順で行うと、ハイライトでホワイトの毛並みタッチが多くなってしまい、若干『粉っぽい』状態になってしまいました。地塗りのクリーム色の毛並みを増やして、調子を整えました。


(アトリエでの制作風景。みんな、いい感じに仕上がって来ました。同じものを描いても、各自、微妙なニュアンスの違いがあって、個性を感じます。)

                                             by Amano


第2回 壁画技術講座「白と黒で、球体を描く」

2011-05-30 20:45:18 | 受講レポート

使用する塗料:ビニロック(水性塗料)の ホワイト、 ブラック

直径40センチの球体を90×90のクロスに描きます。

 

グラデーションが上手くつながらないときれいな球体には見えないので、心して取り掛からなければなりません。

お手本となるのは、A4用紙に出力した、任意の平面に置かれた球体のCGの図です。

球体より手前の左上に光源があるので、ハイライト(図で最も明るい場所)は球の左上になり、影は球の右下に伸びます。この影の部分が図の中で一番黒に近い、暗い色です。

 

では早速、球の輪郭(円)を薄いグレーでとります。

クロスの白い地を生かし、ハイライトの部分を塗らないように避けながら、殆ど白に近いグレーを幅10センチほど塗ります。

次に、球体で一番濃いグレーの部分と、先ほど塗ったグレーの中間のグレーをつくり、塗っていきます。

濃いグレーの下の、画面上で影に接している球の、下の部分の反射光を拾うと、さらに立体的に見えますね。

 

大きく3段階に分けて塗れたら、乾かないうちに刷毛でぼかしていきます。

グラデーションを出すためにきちんと筆の色をコントロールするのがとても大変でした!

慣れるまで練習が必要だと感じました。

 

 (講評での球の展示)

 

授業での講評では、地面から球が浮いているようだとご指導を頂きました。

・影の面積が減り、絵の空間の中で位置がもう少し奥に行くと自然に見える。

・グレーの部分が少し強すぎるので、白い球体についた影という意識で描くこと。

・ハイライトの奥にもう1、2段階グレーの調子をつけ、回り込みを意識すること。

よく観察をしつつ完成させることが必要だと判りました。

 (講評風景)

by  Watanabe


第4回 壁画技術講座「イラストの模写」を受講して

2011-05-26 09:31:59 | 受講レポート

聴講生のカワサキです!

回の課題はお手本のイラストを拡大して描くというものでした。


私は普段油絵の作品を描くことが多く、厚塗りで重い色使いにする癖があるので、

お手本のような明るい色合いを出すことに苦戦してしまいました。

油絵の具と違い、水彩絵の具では色を重ねた時に下の色の影響が出やすいので、

丁寧にお手本に合わせた色作りをして、何度も色を重ねることのないようにしなくてはと

改めて気づきました。


限られた時間で効率よく丁寧に描く力をこの講座を通じて早く身につけたいと思います。


by Kawasaki


的確な塗料の調色はどうやるの?

2011-05-24 19:00:37 | 制作現場

このおいしそうなオレンジの色が出したい、空の色をきれいに描きたい、眠っている猫の毛並みと同じ色で描きたい!

という具合に、調色に対する願望は尽きません。

どんな色でも混ぜあわせ、自由に色をつくりだしたいものです。

これまで、雰囲気だけで色を扱ってきた経験が長いので、本日行ったサンプルと全く同じ色を、必要な分量を作り出す、という調色の作業は想像以上に至難の業でした。

 

~明るく、ほんの少し緑がかったライムっぽいクリーム色の調色~

まず白にイエローを足します。

白に対して結構影響力があるので、少量加え、よく撹拌してカップ内の色を均一にします。

クリーム色ができたら、用心しながらシアニングリーンを加えます。

グリーンは明度が一番低く、白やイエローに対して強い色なので、

あっという間にクリーム色からクリーム緑色に振れてしまうのです。

 

サンプルの色に近くなってきたら、白い厚手の紙に10円大に色をつけます。

◎殆どの色は、乾くと彩度、明度が若干沈むので、ドライヤーで乾かして確認します。

乾かした色がサンプルより濃かったり、薄かったりするので、微調整していきます。

サンプルと同じ色がつくれたら、今度はその色で必要な量をつくります。まず、最終的に作りたい量の半分位を、一番明るい色からカップ(容量400ml)に注ぎます。

この場合は白(約280ml)です。サンプルの比率で、大体イエロー(約10ml)シアニングリーン(約5ml)を足し、撹拌します。

量が多いので、微妙な差をコントロールするのが大変でした。

 

この1回目に調色した約300mlの塗料で、ローラー(中毛)で約8㎡に施工することができました。

今回、仕上げ塗りは約550mlの塗料を使用しました。

調色の経験ができたので、次回からはスピードをつけていきたいです。

またローラーで塗る際は、今日の数値を参考にしていけそうです

 

by  Watanabe

 

 


壁画の現場調査

2011-05-23 22:37:07 | 制作現場

現場調査(現調 )とは

現調とは、これから取り掛かろうとしている物件の周辺環境や作業環境、サイズ、素材や形状(凹凸)を事前に調査することです。 

現調によって、その物件で作業するにあたって必要になる道具や材料、作業手順等の具体的な計画が立てられるようになります。

 

現調1 現場の環境 

まず、現場環境の調査です。

現場周辺はどのような環境なのか(住宅地なのか商店街なのか等)、道路に面している場合は人や車の通行量がどれほどか。

それによって夜間作業になったり、誘導員の配置や道路使用許可等をとる必要も出てきます。

また、その現場でどのような施工方法が可能なのか。(エアブラシは使用可能か、どのような余剰が必要か…等)

高所作業の場合は、どんな足場が必要か。

作業の安全確保も検討します。

そして必ずデジカメなどで写真も撮るようにします。

 

現調2 サイズ測定

物件の実際のサイズを計ります。

施工予定の場所だけでなく施工の可能性のある場所は全て計り、作業がどう転んでも対処できるようにします。

この時、計測ミスを防止するために、2人1組で交互に計り互いにチェックし合います。

後で図面を作成するので出来る限り見やすいメモを心がけます。

3色ボールペンなどの色の違うペンを用意していくと便利かも知れません。

 

調3 下地の素材や形状

施工部分の素材や形状(凹凸)などを確認します。

素材によって下地処理の有無や使用できる塗料が異なります。

また形状によって使用する道具や技法が変わります。

表現のタッチも限定されてきます。



現調の重要性

「現調でどこまでチェックするか」現調する人によって大きな違いが出てきます。

現場を見て、実際にここで作業を行うとしたら何が問題になるのかを、様々な視点で慎重に調査していくことが必要です。

また、計り忘れや等の漏れがあると何度も現調に行くことになり、特に現場が遠方の場合は大変な損失につながります。

現調は今後の段取りや作業に大きく影響する作業になるので、確認をおろそかにせず、不安の残らない調査が大切だと思います。

 

                                        b y Furukawa


第4回 壁画技術講座「イラストを拡大して描いてみる」

2011-05-22 19:12:46 | 受講レポート

担当講師: 米谷和明

トレース

 イラストを描きたい大きさに拡大して、分割コピー出力をし、コピー用紙を張り合わせます。

裏から線をカーボンチョークでなぞります。

今回はアルポリ版(900×1800mm)を支持体として描くので、チョークでなぞった面をあわせテープで軽く固定し、コピー用紙の表から鉛筆でなぞります。

裏についたカーボンチョークがアルポリ版に写り、イラストが転写されます。

 

着色

 使用する塗料はビニロック(水性塗料)の

レッド、シアニンブルー、シアニングリーン、イエロー、オーカー

オキサイドレッド、ブラック、ホワイトです。

 

着色の手順

 基本的に一番背後のもの、面積の広いもの、色の明るい部分から塗ります。

 

 

今回は空から調色(目指す色味を、上記の色を配合し必要な分量をつくる)

し、サンプルを見ながら塗っていきます。

 お手本の絵の空の色は出すのが難しく、初めてということもあり色の配分に手間取ってしまいました。

白と青のほかに若干、緑を入れました。

 

 次に、背景である緑の植物の部分を塗ります。大部分を占めるきみどりから塗っていきます。

前回の宿題でもあったグラデーションを意識し、

きいろ、きみどり、青の色を持ち、刷毛で乗せた色の境目をぼかしながら進めるようにしました。

 全体の色の印象を合わせようと、大体の色を置いてみたのですが、結果的に仕事量が増えてしまいました。どうやら最初から丁寧に、刷毛ムラなどをなるべく作らず、色をのせることが大切なようです。

 どこから塗ったら作業効率がよいか、先をみとおして計画的に進めることが必要であるとが分かり、それを具体的に体験することができたので、大変勉強になりました。

 また、平面で、空間と立体感を感じさせるには、光の方向の設定が必要になります。従って影の部分は、固有色の明度と彩度を落として色をのせる必要がありますが、その上でさらにグラデーションをつなげるという部分でかなり難航しました。

 中心のキャラクターの腹部の縞は、こげ茶色と、もう少し橙っぽい色のはずが、グラデーションを意識する余り、ダークになりすぎてしまいました。

その後、顔の線などをいれて授業は終了になりましたが、ここから完成まで、客観的に作業を進めていきたいと思います。

 

 

(by Watanabe)

 


塗料を塗るのはダレでもできます!塗装の基本技術 ~養生~

2011-05-19 22:38:17 | 制作現場

本当に大事なのは、塗装をする前の養生ができるかどうかです。

いかに短時間で手際よいかがポイントです。

最初にこれを怠ると、塗装をした後で余計な手直しに手間取り、かえって仕事が遅くなってしまうのです。

完成予想図までの段取りを見定め、より早く仕事をこなすために一番大事な下準備です。

〇ケレン(クリーニング)〇

1.ダスター(幅15センチの刷毛のような小さい箒)で埃による汚れ、砂などを履きます。

2.金属部分への塗装の場合、ワイヤーブラシで錆び取りをし、シンナーをウエスに染み込ませ汚れを落とします。チョーキングといい、塗面に白い粉がついていることがありますが、そのままでは粉で塗料が定着しないのでよくふき取ります。

木部の場合は表面の付着物をケレンで落とします。ケレンできれいにならなければ、ペーパーを使います。 

3.水で濡らしたウエスで拭き掃除をします。頑固なよごれは、シンナーを使用します。

4.地面を汚さないようにブルーシートもしくは、養生シートをしきます。

ずれたり、足にひっかからないように縁を全てガムテープで張ります。

5.建物の外壁や窓など、塗装する場所以外に塗料がついてはいけませんから、マスキングテープ(直線用:きいろ、幅6mm、15mm、30mm、曲専用:オレンジ色、幅15mm)、養生テープ(きみどりいろ、白)、ガムテープ(茶色)を場所によって使い分けながら塗面の周囲に貼ります。

隙間から塗料が入り込んでしまうので、コンクリートやタイルやアルミサッシ、ステンレス等にはしっかりとマスキングします。

逆に塗装がすでにされている面に貼るマスキングは、テープで塗料が剥離する可能性があるので、塗装する側の縁はしっかりめに貼りますが、あとは軽く押さえます。

以上のことを心がけ養生したいと思います。

 

by Watanabe

 

 

 

 

 

 

 

 


第3回 壁画技術講座「パースと陰影表現の基礎」

2011-05-17 21:39:40 | 受講レポート

壁画技術講座「パースと陰影の描き方」

             講師:米谷 和明 

(1)オリエンテーション。講師と受講生の自己紹介と作品紹介。

(2)パースの基本的な描き方。(一点透視図法、二点透視図法)

(3)立体物の陰影・投影の描き方。

壁画講座、受講風景 

(1)オリエンテーション

米谷先生の自己紹介、および、ポートフォリオ、作品の解説。受講生の自己紹介、ポートフォリオの鑑賞。

初回のオリエンテーションにより、各受講生の絵画技術レベルを確認して頂きました。



 


 

 

 

 

 

 

 

(2)パースの基本的な描き方パース参考資料

透視図法(Perspective drawing)の基本として、一点透視図法・二点透視図法・三点透視図法がある。透視図法を利用して作画することにより、物の遠近感・奥行きや物の大きさ、視高(目線の高さ)からの見え方を表現することができる。

消失点(vanishing point)を設定し、消失点上にある水平線ホリゾンライン・HL(パースライン、アイレベルともいう)と呼ぶ目線の高さの水平線を作り、作画のための補助線を設ける。この時、立体物の辺の延長線は、消失点に向かい集約されていく。

一点透視図法を使って、以下の効果を出せることを学ぶ。1、画面上にある電柱や人物のような物の「位置」と「高さ」を割り出すことができる。2、画面上での物と物との関係を示すのに、任意の消失点を複数作ることができ、それぞれに「位置」と「高さ」の関係性を表現することができる。3、図学を適用させることで、パースを作画するのに非常に有効になる。(四辺形には、対角線の補助線を引く事で中心点・中心線が出る。補助線を利用した図学を用い、等間隔に並んだ物の奥行き等を作画することができる。)

ここまでの講義により、一点透視図法を使って、立体物を一定の離れた位置(停点)と視高(目線の高さ)からの見え方を、自由に作画できるようになった。最後に、一点透視図法を利用して、階段のある部屋を作画した。(階段の蹴上げを約20cmにして作画の目安にした。)

(3)立体物の陰影、投影について

次週までの課題制作として、白色の球体を見本を参考にしながら描いてくること。ハイライト・中間色・稜線・陰影部分・反射光・設置面の投影を描写する。

 

以上、5月14日壁画プロ養成所、米谷先生の壁画技術講座の概要でした。





第2回 カラー講座 「三原色(CMY)×無彩色」 

2011-05-07 23:20:02 | 受講レポート

前回は、赤、青、黄色 の三原色を用い、色相還をつくりました。

今回は、三原色それぞれに白、黒、グレー

(白と黒を混色してつくります)を混ぜ、明度の色相還をつくりました。

使用する絵の具は、ぺんてるのポスターカラー

Red、Cobalt blue、Yellow、Black、Whiteです。

 

黄色に定量の白を混ぜ、スケッチブックに色をおいていきます。

彩度が高く、発色のある黄色は段々とクリーム色になり、最後はオフホワイトのような

やさしい白になっていきました。

 次は、黒を混ぜていきます。黄色は段々と緑がかってくすんでいきます。

鶯色になって、草もちの色のようになり、暗い緑から黒に変りました。

前回黄色に青を混ぜていくと緑っぽい色に変化していきましたが、

今回のこの結果からは、黒の絵の具の中には青い色が混ざっていると考えられるようです。

 

 次に、無彩色の色見本を参考にして、

白に近いグレー、黒に近いグレー、その間の濃さのグレー、と3つの段階のグレーをつくります。

白と黒とでは、黒を混ぜていったときの方が変化が長くかかりました。

その結果から、グレーは一番濃いものが変化に長くかかると思ったのですが、反対に一番短くなり、また白と黒に比べ、グレーは3つともに短い変化でした。

 

 

 

RGB と CMYKについて

人間が確認することのできる色を可視光線といいます。

可視光線は7つあり、虹やプリズムで見ることのできる、赤オレンジ黄緑青藍紫です。

赤が一番波長が長く、短いのは紫です。虹が最後まで見えるのは、赤い色ですね。波長の長い色が遠くまでよく見えるので、信号の止まれに赤が使われています。また、トンネルの中で使われる電灯がオレンジ色なのは、白い光より遠くまで届くためです。

これら7色は、光の三原色R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)からなりたっています。

混ぜると明るくなっていき、3つを混ぜると白くなります。RGBの光の3原色は、身の回りの電化製品ではテレビやパソコンなど、3色を混ぜて様々な色がつくりだされています。

これに対し、絵の具の三原色はC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)です。光の三原色と違い、絵の具は混ぜるとにごり、黒に近くなっていきます。

これらを混色の実験により、色が変っていく様子を把握することができました。

 

                                                                     (by  Watanabe)


壁画制作(現場実習)「物置アート」

2011-05-04 21:05:41 | 受講レポート

壁画制作実習「物置アート」(春日部市豊春商店街

  

◎豊春商店街の所有する物置アート・デザイン塗装

4月25日、クリーニング作業、下塗り作業

4月26日、トレース作業、着色作業、27日、着色作業

4月28日、仕上げ作業


A.チョーキング Chalkingとは、塗装表面が長期暴露状態により、塗料の色成分の顔料がチョークのような粉状になって吹きあらわれる現象のこと。紫外線・熱・水分等、経年環境の影響で塗装表層樹脂の劣化する事が主な要因。

チョーキングしている塗装表面への上塗りは、塗料の密着力・定着力・耐久性能を著しく低下させ、上塗りのはがれ(タッキング)等の原因となるので、注意を要する。これは、粉状のチョーキングが極度に進行した時、密着力の低い被膜を形成していくためと思われる。そのため、クリーニング作業が必須。

本件では、若干のチョーキングが見られるものの、支持体の発錆状況はなく、隙間にたまった埃の除去クリーニングを要した。下塗りには油性塗料を使用することから、ウェスに塗料用シンナーをしみ込ませて、拭き取り作業を実施。また、隙間の埃はワイヤーブラシ等も併用した。


B.下塗りには、クリーム色の油性塗料(OP)の2度塗りを実施(刷毛塗りと、ローラー塗りを使い分けた)。ローラーは広く均等に塗装でき効率的だが、塗料の飛散に注意を要する。一定分量の置きネタをムラなくローラーで伸ばしていく時、縦・横の塗り跡が均一になるようにする。壁画制作は、限られた時間で仕上げなければならないため、効率性も重視する。

刷毛塗りの場合には、塗りムラや厚塗りによる塗料垂れを作らないよう、刷毛に塗料をつける分量を調整しながら作業するよう注意したい。


C.以下、トレース作業の手順。

1.現場調査時の寸法計測を元に、PC上で同比率でデザイン制作。OHP用紙にデザインを出力する。

2.実寸大のトレース用紙を用意し、OHP投影機で実寸サイズに映写された輪郭線をトレースする。

3.トレース原稿の裏面に、透かされた輪郭をなぞるように、カーボン用黒鉛チョークで描いていく。(ここまでが、アトリエでの事前作業)

4.現場にて、トレース原稿を張り付け、カーボンが付着するように鉛筆で輪郭線をトレースしていく。



D.着色作業、仕上げ作業は、本件をデザインしたチーフの指示により、各自が作業を進めた。仕上げの細かい作業に気をとらわれないよう、注意が必要。壁画は、離れて見たときの印象が大切である。構図の境界線を美しくコントラストを出すために、『書道の筆を使う感覚』で、刷毛を使うと良いとアドバイスを受けた。仕上げ作業に伴い、刷毛・平筆・丸筆・面相筆など、使い分けるとともに、日頃の筆の管理・手入れが大事であると感じた。

 

以上、豊春商店街の物置アートの壁画制作実習リポートでした。