憂太郎の教育Blog

教育に関する出来事を綴っています

教師の休職者数は今後も減らないだろう

2011-04-23 13:32:25 | 教育時評
 どこの都道府県教委や学校共済組合でも同じだと思うが、いわゆる教職員のメンタルヘルスの啓発というのを、全国のあちこちでやっていることだろう。
 学校共済組合では、多分、これは本部で作成しているのだと思うけど、各支部のカウンセリングや電話相談の案内とともに、メンタルヘルスガイドなるリーフレットを作成して、全国すべての教職員に配布している。
 このリーフレット、今、私の手元にあるのだけど、今年はついに冊子になった。A4版、オールカラー33ページ、背中は糊付けのたいそう立派な冊子だ。監修者として、諸富祥彦氏の名前もある。こうした共済組合のメンタルヘルス啓発リーフレット、私が新卒の頃から配布されていたと記憶しているけど、15年前は、本当に2つ折りのリーフレットと呼ぶにふさわしいものだった。中身は、簡単なストレス解消法で、裏側に支部の心の相談窓口の案内がある程度だった。たしか、こうした形式が数年続いて、ここ最近になって、少しずつページ数が増えて、今回ついに冊子になったのではなかったかと思う。
 イラストが満載で、手に取って読みやすいように工夫がなされてあるが、内容としては相当しっかりしたものだ。こういう大層なものが配布されるということは、裏をかえせば、それだけ教職員の心の病が深刻ということであり、公立学校共済も、相当な予算をつけてまで心の病の防止に取り組んでいるということだ。

 このBlogでも、何度も話題にしているが、教師の精神疾患で休職をしている数は、17年連続で過去最高を更新中である。私も、教師の心の折れる原因や、折れないための仕事術については、何度かここでお喋りをしているところである。

 この共済組合の冊子でも、この原因や予防について、詳しく分析・提案している。
 それによると、教師の心が折れやすくなるストレスは次の4つだという。すなわち「多忙感」「児童生徒との対応」「保護者対応」「同僚・管理職対応」。
 そして、ストレスマネジメントとして3つのポイントをあげる。すなわち「悩みの共有ができる職員室づくり」「ストレス解消術をもつ」「しっかり睡眠」の3つ。そして、ヤバくなったらすぐに病院に行け、とアドバイスしている。
 こうした分析や提案について異論はない。とても良く構成されていると思う。
 そして、ちゃんと裏表紙には、各支部の相談窓口が案内してあって、電話番号が目立つようにレイアウトしてある。
 恐らく、決定版といっていいくらいの出来である。

 以下は、今後の教職員の精神疾患に関する、私の予想。
 教師の精神疾患による休職者は、今年あたりで高止まりして、この先数年間は横ばいとなるだろう。
 つまり、いくらこうした啓発に力を入れようとも、多少の減少はあるだろうが、休職者数が年間5000人を切ることはないだろう。
 それはなぜかといえば、リーフレットが分析している通り、教師の4大ストレスは今後も解消されることは、考えにくいからである。すなわち、教師にとって「多忙感」「児童生徒との対応」「保護者対応」「同僚・管理職対応」というのは、これまでも教師のストレスの要因としてずっと存在していたし、これからも存在する以上、こうした要因によって心が折れる教員は、これからも出現するであろうからである。
 そして、残念なことだけど、こうした要因を分析しても、教師のストレス耐性向上にはつながらないだろう。
 私はこれまでも、こうした教師をとりまく外的要因については、わりと関心を高くしてきた。しかし、こうやって分析がされていても、一向に心の病が減少していかないのは、やはり教師の側にも休職をしてしまう要因があるんだろなあと思うのである。
 つまり、率直に言って、教職を志望する人間の資質として、比較的ストレス耐性に弱いのが教師になっているのではないかということである。ただ、これは私の単なる予想に過ぎず、きちんとした調査研究は、今のところはない。ここの調査研究が進むと、教師のストレス耐性向上論議が進展するのではないかと思うし、もしかしたら教師の休職者数の減少も期待ができるのではないかと思う。
 学校現場が、他の職場と比べてストレスフルになっているという分析の結果は発表されている。これは外的要因である。であるから、他とくらべて、現場が心の病になりやすい職場であることは間違いない。
 そうした一方で、教師の資質についても調査がまたれるところであるというのが、私の現在の教師の心の病についてのスタンスである。


1 コメント

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トラックバックできてないので、こっちにもコメントでリンクしました。 (たかぴろ)
2011-04-25 05:23:06
ややこしくてスンマせん。
http://d.hatena.ne.jp/takahiro_kihara/20110423/1303537528
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