勤務校の卒業式だった。
私にとっては教師になって17回目の卒業式。
特別支援学校に移って4回目。
知的の特別支援学校の卒業式。
普通校との違いというのは、いっぱいあるけど教師にとっていちばんの違いは、児童生徒席に生徒と一緒にいるということだろう。これが、私にはとても新鮮なことであった。
普通校だったら儀式的行事は、厳粛に整然と式を進めるのが理想だろうけれど、知的の特別支援学校ならそれは、望みようがない。大きなトラブルがなく、卒業生も在校生も最後まで式に参加できればOKというところだろう。
ところで、勤務している特別支援学校には小学部、中学部、高等部があって、卒業式は一度にする。小学部の卒業生は、家庭の事情や本人の健康上に問題がなければ、そのまま中学部に入学する。だから、卒業は門出とはならない。一区切りといったところだ。
中学部の場合は、高等部に進学するのと、高等養護学校に進学するのとに分かれる。なので、高等養護学校に進学する場合は、門出となる。高等養護学校ではなく、引き続き本校の高等部に進学するのであれば、教室こそ違うが生活環境は大きく違わない。遠方より在籍して、寄宿舎で生活している生徒であれば、平日の生活環境もそのままである。
さて、高等部の卒業生である。普通校であれば、就職か進学かということになろうが、知的の特別支援学校の場合は、福祉的就労か生活介護施設通所(または入所)となる。高等部の卒業とは、いよいよ社会に出るということ。高校の卒業は、社会にはばたく、人生の輝ける門出ということになるのだけど、彼らの場合はちょっと違うかなあとも思う。
多くの生徒は学校から施設への移行になる。社会にはばたくというのとは違う。夢に向かって、というのとも違う。やはり、それは移行というのがふさわしい感じがする。それから、行政の区分でいうと、障害児から障害者にかわることで福祉のかかわり方も変化する。卒業は、行政区分の変更、その始まりだ。そんなことを考えると、彼らの前途が明るいことを願わずにいられないが、さすがにちょいと切ないなあと思うのでありました。