■精神科医の著書を読んでいると,統合失調症などにみられる幻覚や幻聴というのは,患者のどうしようもない不安な気持ちの表出によるものだということがわかる。とくに,幻聴は,小泉首相が私に話しかけてくるとか,突拍子もないストーリーを紡ぎだすのであるが,そういう破綻したストーリーでないと,今の自分のどうしょうもない不安な気持ちの支えにならず,狂ってしまいそうになるのだという(統合失調症の人は,自分が病んでいるという認識はあるが,狂っているとは思っていないという)。そんなギリギリの精神状態を,幻聴や幻覚でかろうじて抑えているということなのだ。
■精神を病んでいる状態というのは,このままだと,人格が崩壊してしまうというか,まさしく狂っててしまうというか,そんな強烈な不安感が渦巻いている状態なのだろうと思う。
■さて,特別支援の現場にいると,子どものなかには「不安」な気持ちを持っているんだろうなあと思うことが多々ある。例えば,入学したばかりのとき,新しい校舎はわからないことだらけ。2時間目は理科室ですよ,と連絡を受けても理科室はわからない。健常の子なら,わからないなりに,認識をはたらかせつつ移動するのであるが,知的に遅れのある子どもだと,それができない。いきおい不安な気持ちでいっぱいになる。もちろん,知的な遅れを伴う子どもすべてがそういう傾向を持つわけではないのであるが。
■自閉症の傾向を持つ子どもの場合は,この不安感はより顕著になる。いわゆるパニックになっている自閉症傾向の子どもは,不安感が嵩じてなってしまうととらえてよいだろう。
■特別支援の現場には「困り感」という言葉がはやっている。いわゆるLDやADHD傾向の子どもに対して使用される言葉である。けれど,この言葉を,知的障害や自閉症の子どもにも使われる事例が散見されるようになった。困っている状態ともいえるが,やはりここは無難に「不安感」という言葉であらわしたほうがいいであろう。誤った言葉の使い方はその子どもの支援を誤ることもあるのである。
■精神を病んでいる状態というのは,このままだと,人格が崩壊してしまうというか,まさしく狂っててしまうというか,そんな強烈な不安感が渦巻いている状態なのだろうと思う。
■さて,特別支援の現場にいると,子どものなかには「不安」な気持ちを持っているんだろうなあと思うことが多々ある。例えば,入学したばかりのとき,新しい校舎はわからないことだらけ。2時間目は理科室ですよ,と連絡を受けても理科室はわからない。健常の子なら,わからないなりに,認識をはたらかせつつ移動するのであるが,知的に遅れのある子どもだと,それができない。いきおい不安な気持ちでいっぱいになる。もちろん,知的な遅れを伴う子どもすべてがそういう傾向を持つわけではないのであるが。
■自閉症の傾向を持つ子どもの場合は,この不安感はより顕著になる。いわゆるパニックになっている自閉症傾向の子どもは,不安感が嵩じてなってしまうととらえてよいだろう。
■特別支援の現場には「困り感」という言葉がはやっている。いわゆるLDやADHD傾向の子どもに対して使用される言葉である。けれど,この言葉を,知的障害や自閉症の子どもにも使われる事例が散見されるようになった。困っている状態ともいえるが,やはりここは無難に「不安感」という言葉であらわしたほうがいいであろう。誤った言葉の使い方はその子どもの支援を誤ることもあるのである。