足利学校

当支局の担当する地域は１０県なので、各地に名所・史跡がたくさんある。いままで幾度となく、それらの近くを通りながら、ほとんど素通りしてきた。

また来る機会があるから、というのが大きな理由だが、それだけの余裕がなかったともいえる。名物といわれるものも食べたことがない。

でも最近は、“もう来られないかもしれないな”と、名所旧跡を見ておきたい気分になるときがある。

午前中、二つの牛舎を訪問し、本社にFAXしようとコンビニ・ストアを探しながら走っていると、案内板が目についた・・足利学校（栃木県）。

幾度も通った道だし、ここに有名な史跡があることは知っていた。歴史の教科書でよく知られるこの史跡は、前から一度は訪れたいとも思っていた。

炎天下の午後は、農場を訪ね歩いても昼寝の時間だろうからと、しばしの間、ここの木陰で涼むことにした。

日本最古の学校であるこの学校は、16世紀中ごろには学徒3000人を数え、日本で最も大きく有名な“板東の大学”として世界に紹介された。その後、江戸時代末期にはその役目を終え、明治５年に幕を降ろした。

校内に入ると、セミしぐれが降りそそぎ、復元された方丈の座敷では、歴史愛好家のグループが漢詩を学んでいた。パンフレットによると、９月末の夜、中国の二胡奏者のチェン・ミンの演奏会が開かれるという。

きっとライトアップされた庭に、癒しの調べが流れるだろうなと思いながら、頃合いを見て、次の牛舎に向かうべく車に戻ると、すごい暑さだった。


今回の支局たよりは、少し酪農と離れてしまいました。残暑お見舞い申し上げます。