ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

未来にプログラミングがどうなるか

2013-12-03 11:31:13 | 1
「IT人材の育成として,今から子供にプログラミングを教えるべき」といっても,その子たちが大人になったときに,今と同じようなプログラミングが残っているのか?それが重要な仕事になっているのか?そういう疑問は当然あります.

未来にプログラミングがどうなるか,これに関しては誰にもわからないとか,未来は自分で作っちゃえ,とかいうよりは,プログラミング言語の研究者たちがどっちを目指して研究しているのか,ということで大体予想がつくと思います.その方向で僕の予想を書きます.

はっきりしているのは「コンピュータがプログラムを書く時代がくる」ということです.僕が博士課程の学生だったころ,研究室の助教授の赤間先生に「原田君,いつまでも人間がプログラムを書いていると思っちゃダメだよ」と散々言われました.僕は,プログラミングが好きで,得意で,研究テーマもオブジェクト指向だったので,要するに人間がプログラムを作る最高峰みたいなのを目指して研究していまして,それを頭ごなしに否定されたわけです.でも,赤間先生のおっしゃることが正しいと思います.先生は,人間が書き易いようなプログラムを考えるのではなく,コンピュータが扱い易いようにすべきと考え,アルゴリズムを直接書いちゃうのではなくて,パターンマッチで書いて,データ構造をものすごくリッチにする,といった研究をされてました.20数年前ですから,今の時代にやりなおせば,当時難しかったことが色々と解決するだろうなと思います.最近,それとはまったく独立して,江木君がEgisonという言語を開発しています.彼とは未踏で知り合いました.これもアルゴリズムを書かないでデータとパターンマッチをリッチにするという方向で,コンピュータがプログラムを書く時代に着々と向かっているわけです.

コンピュータがプログラムを書くと言っても,どういうプログラムが欲しいかは人間が命令しなければならないわけですよね.命令というよりは仕様と言ってもいいのですが.その仕様がそのままプログラムとして動いちゃえばいいのに,という研究の方向もあります.仕様を全部正確に書くのではなくて,最初はいい加減な仕様でよくて,そこで動いた結果を見て,気にいらない部分を直せばいいとか.

これって,ビスケットでやっているプログラミングそのものなんです.メガネは仕様と言ってもよいかもしれません.ビスケットが出来ることはまだまだ幼稚ですけれどね.ビスケットがプログラムに見えないというのは,「仕様が直接動いちゃえばいい」という流れを知らない人の意見です.プログラミング言語が進化すると,人間がコンピュータに最低限伝えなくちゃ行けないことは,どんどん少なくなってきているのです.

「ビスケットを学んだあと,本当のプログラミング言語にどうやって繋いで行くのか」という質問もあるのですが,もしかしたらビスケットが思いっきり進化して,それで済んじゃう時代がくるんじゃないか,という答えもあるんですよね.この先,プログラミングの形そのものが大きく変わります.

この10年はプログラミング言語的には失われた10年という気がします.Webやらスマホやらの勢いがありすぎて,そこでお金も儲かり過ぎて,みんなそこで「何を作るか」ということばかり考えていたと思います.「何を作るか」をあまりにも急ぎすぎると,手っ取り早い確実な技術をだましだまし使うことになります.だからプログラマーが直接プログラムをゴリゴリ書くことが中心になってしまった.でも,その勢いもだいぶ落ち着いてきたので「何を作るか」だけじゃなく「どう作るか」を考える余裕も出てくるのでは無いでしょうか.

未来には新しいプログラミング言語がどんどん出てきて,それがプログラミングを思いっきり簡単にしていきます.


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