ぬけたら
2023-04-11 | 語源
中野栄三の『江戸秘語事典』によると、ヌクは「交会御法(ぎょほう)でいう秘語」であって、「抜けるまでおけば女房機嫌也」のように、「遂情」にいい、ツツハライ(筒払)やトッパズス(トリハズス)と類語であると説明する。後者は「女のあさましさについとっぱづしそうになる時、紛らかすが法さ」(部屋三味線)のように、女郎が「思わず真情を現わしてしまう」ことで、これはシオチ(仕落)で恥とされるが、ついうっかり我を忘れてしまうのである。ヌケルは中野の説くように、江戸語のイク、デル、オクルと同じ状態を表す閨房語であった。このヌクは現代語の「生きぬく、勝ちぬく、困りぬく」のように、「最後まで、すっかり…しとげる」のように、頂点、限界を極め、至り着くという意味もある。このような語感が江戸語のヌケルにもあったと思われる。以上により、ヌケタラは絶頂感の境地まで読み取っていいだろう。
『七「ずいずいずっころばし」』より
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