今昔物語(巻二十九第三)に「半蔀(はんじとみ)のありけるより、鼠鳴きを出して手をさし出でて招きければ、男寄りて」と、女の客引きとして用いられている。近世には特に遊女が客を呼び入れるときにこの声を発した。ここは鼠が鳴いていることになっているが、女郎が客を引く媚態の様子の雰囲気を同時に漂わせている。さらに、この擬音語はクチスイ(口吸)をも表しているだろう。三回のチュウは接吻の音をも意味し、夢中になっている男女の切実な状態を暗示し、鼠のおもしろい動作と落差をつけ、二重写しにする表現効果をもたらす。
『七「ずいずいずっころばし」』より
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