これ、たしか8月の上旬くらいに
ニュースで取り上げられていたので
ご記憶の方も多いかもしれないが、
埼玉県の中学校で
「夜間、学校のプールに
数百匹の金魚が放流される」という事件があった。
最初は“夏の夜のミステリー!?”なんて切り口で
面白半分に報道されてたのだが、数日後には
当の中学に通う女子生徒たちによるイタズラと判明して
一件落着!! ……というオチとなっていた。
で、すっかり記憶のかなたに消え去っていた
このニュースが、再度
このようなカタチで世間を騒がせている。
要するに、このときの生徒たち4人が
「建造物侵入および器物損壊の疑いで書類送検された」と……。
本件についてご存じない方のため、
今回の事件（と、いうほどのこともないがｗ）について一応
概要を説明しておくと、ざっとこんなカンジである。
「今年8月の初旬、夏祭りの金魚すくいで
売れ残った金魚をもらいうけた女子中学生ら4人が
「夜のプールで金魚が泳いでいたら
キレイに違いない！」と、大量の金魚を袋に入れて
校内のプールに運び入れた上、金魚を放流した
夜間のプールで、半裸になって泳いだ」……と。
要するに、このような“他愛もない話”である。
ちなみに書いておくと
ある意味“当然”と言うべきか、ネット上などでは
この「半裸になって泳いだ」という部分ばかりが
過剰に取り上げられ、あちこちのサイトで
「どーしてオレを呼んでくれなかった！」だの
「ゲーム化希望！」だの
「取調べの際は、ぜひとも正確に再現すべき！」だのと
まぁ、「オイオイ……」って感じの反応で盛り上がっているわけだが（笑）、
それはそれとして、ここで気になってしまうのが
「これ、本当に“書類送検”ってレベルの話なのかよ？」という点である。
フツーに考えれば
「夜の学校に勝手に入り込んだ」→建造物侵入。
「侵入する際、周囲の鉄条網を切断した」→器物損壊。 ってことなんだろうが、
おいおい、ちょっと待ってくれよ……と。
たしかに、彼女たちのやったことは
学校を管理する側からすれば「ルール違反」であり、
「けっして認められない行為」なのだろうが、
ぶっちゃけた話、いま教育関連で話題の
“イジメ”だとか“モンスター・ペアレント”だとか、
あの手の陰惨な話に比べれば、もう
お話にならないくらい牧歌的で、
むしろ「元気があってヨロシイ！」ってなもんだろう
（←こういう書き方すると、何がどうであろうと
「ルールは、ルールなのです！（きりりっ」なんつって、
またまた“熱～い正義の人”が
噛み付いてくるのかもしれないけど、サｗｗｗ）。
誤解を恐れず、あえて書いてしまえば
「夜のプールで金魚が泳いでたら、キレイだろうな」……なんて
想像を巡らしている部分には、ある種の“詩情”に近いものがある。
これさぁ……多感な中学時代に
「ちょっと、やらかしちゃった！」くらいの話を
“厳罰主義”で律したところで、何かイイこと、あるんだろうか……？
「夜のプールで、中学生たちが大騒ぎ！」とくれば、
相米慎二監督の映画『台風クラブ』を思い出す。
まだ観たことがないという方には、ぜひとも
この『台風クラブ』という映画、ご覧いただきたい。
受験を控え、さまざまな思いに揺れる
（田舎町の）多感な中学生たちが、
「台風の影響で一晩、閉じ込められてしまった校内」で
繰り広げる、まるで何かが爆発したかのような
パワフルでヤケクソ、しかも「どこか哀しい」お祭り騒ぎ
（もちろん「夜のプールで大騒ぎ！」の場面もアリｗｗｗ）。
台風接近による高揚感と、とらえどころのない
思春期特有の弾けるようなパワーを描く、青春映画の傑作である。
おそらく、なのであるが……。
“こういうこと”が必要な時期ってのが、人生にはあるんだと思う。
あとになって考えると「自分でも、よく分からない」んだけど、
あのころは、どういうわけか
「馬鹿なこと、やってたなー」みたいな……（笑）。
むしろ、“そういうこと”の大切さ＆必要性を分かった上で
「お前ら、何をバカなことやっとるんじゃ!!」と接してやるのが
真の意味での“教育”なのであり、そこには
“書類送検”なんて言葉は、どう考えたって不釣合いなのだ。
ちなみに書くと……。
ニュース報道によれば、夜のプールが
「あまりに暗かったため」、彼女たちが期待した
「水面に泳ぐ金魚たち」の姿は、ほとんど見えなかったのだという（笑）。
そういった“おバカな部分”も含め、
今回の一件を、いつか彼女たちが
懐かしく思い出す日が来るといいな、と思う。
おそらく……。そういう記憶をいくつ持っているかで
「人生の価値」ってヤツが決まるのではないだろうか。
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