Ciao,マリィナです。DOLの全天走査計画MDSS(マリィナ・デジタル・スカイ・サーベイ)。本日は綺麗に形が見えたので、つる座を中心にしたスクリーンショットをエントリします。
南の方に画面を向けたら思いがけず鶴がしっかりと飛ぶ姿を見つけましたので、ぱちりとスクショをとっておきました。つる座の上にはみなみのうお座がありますけれど、この二つの星座の関係もご紹介したいと思います。
では、本日のスクリーンショットをご覧下さいませ。
◎ナポリから西に向けて航海中。見えている陸地はシチリア島
左から
◆ちょうこくしつ座(Sculptor)
Sculptorとは彫刻家ですので、厳密にはちょうこくか座と呼んだ方が良いかも知れません。「彫刻家のアトリエ」座だったものを縮めたために彫刻家の言葉のみ残り、でも本来の意味で描かれた星座絵は変更されていませんのでこのような名前になっています。
◆ほうおう座(Phoenix)
前回MDSS26でも登場しました。角度がちょっと違っていますね。
◎MDSS26のほうおう座
◆みなみのうお座(Piscis Austrinus)
古代エジプトでもうお座として存在したらしいですが、本当のところはよく分かりません。おそらく一等星フォーマルハウトからきているのでしょう。
Fomalhaut
たとえば11月頃の日が落ちたすぐ辺りに、南に見えます。この時間は西の方に夏の大三角形があるので、そこからやや離れた南側にぽつんと一つだけ明るく光っていることで逆に目立つんですよね。
「秋の一つ星」と呼ばれるゆえんでしょう。
アラビア語で『くじらの口』を意味する言葉に由来がありますけれど、プトレマイオスの命名がアラビア語に翻訳されたのか、元々アラビアでそのような意味で用いられていたものをプトレマイオスが採用したのか、いまいちよく分かりませんね…。
◆つる座(Grus)
案外形がわかりやすいですよね。点線を引いたような星の並びは特徴的です。
17世紀初頭のイギリスでは鶴ではなくフラミンゴといわれていたようですけれど、現在ではつるで通っています。
ヨーロッパの天文学者はどうやって南半球の星を知ったか
さて、南天の星座は北天のものと違い、観測が困難です。ちょっと外に出てとか望遠鏡を向けたら自宅からでもみられる、なんてことがありません。なので、天文学者達はどうしたかというと…
・現地に行く…ニコラ=ルイ・ド・ラカーユ(フランス)
・船員を教育する…ペトルス・プランシウス(ネーデルラント)
・とにかく発行物や話を集める…イザーク・ハブレヒト(ドイツ)
ラカーユは究極の選択ですね。彼はケープタウンに滞在して観測を行いました。MDSSではおなじみの人ですね。
プランシウスはこの人は星図の作成と観測技法をぺーテル・ケイセル(キーサー、ケイサーとも)に教育し、南方への航海の際それを利用して観測を指示しました。
ケイセルの仕事は探検家ハウトマンの協力もあって完成し、プランシウスはもたらされた南方の星図の空白箇所の情報を天球儀に作り込み、さらにそれらの星図は数年後、バイエルが史上初の全天星図『ウラノメトリア』を出版する際に取り上げられました。
ハブレヒトは天文学者ではなく時計職人で、天球儀の制作者・時計職人です。ドイツと書きましたけれど、生まれはスイスの人です。
Alnair
つる座は北半球からでも中途半端に星が見えるため、その形が観測される以前から、明るい星がみなみのうお座に取り入れられていました。その星がアルナイルです。
アルナイルとは「明るいもの」と言う意味ですが、アラビア語ではもっと長い名前が付いていまして「尾の明るいもの」でした。この尾はみなみのうお座の尾なのですね。みなみのうお座の下にあるのが解ると思います。一尾の魚にしては形がよく分かりませんけれど。
◆きょしちょう座(Tucana)
こちらも前回MDSS26登場。かぶっちゃってますねー。
Tucanaは巨嘴鳥(オオハシ)をさしますが、トゥピ語から来ているそうです。トゥピ語での意味は分かりませんでした。くちばしとか、そういう意味でしょうか。
◆けんびきょう座(Microscopium)
ラカーユによる設定の器具の星座ですね。三角形をかたどったり、Cの字型になったりと、描き方がいろいろあります。
みなみのうお座の隣にありますので日本からでも見られますけれど、明るい星がありませんので探すのは難しいかも知れません。
ちなみに、ドイツのレンズメーカーのカール・ツアイスはもともと顕微鏡屋です。
◆インディアン座(Indus)
アメリカ・インディアンを模した星座です。星座の方向は矢を握った立ち姿がきちんと頭を上にしています。
レチクル座(MDSS26)のかじき座のところでご紹介しましたけれど、この星座はペトルス・プランシウスがケイセルとハウトマン作成の星図にたいして設定した星座の一つです。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも「インデアン」が登場しますけれど、その星座です。
◆くじゃく座(Pavo)
ペトルス・プランシウスの設定した12の星座のひとつです。
Peacock
くじゃく座のα星ピーコックは2等星の星で、英語の恒星名は珍しいのですけれど、これは王立航海年鑑局というイギリスの機関が20世紀になってから設定したそうです。
◆ぼうえんきょう座(Telescopium)
ラカーユの設定による器具の星座です。みなみのかんむり座よりも下にありますので、この辺りの位置ですともう日本からはなかなか見ることができません。
◆いて座(Sagittarius)人馬宮
画面から少し外れると大きく見えてしまうので、全体像がなかなか捕らえにくいいて座です。
人馬宮とあるように人と馬が合体した姿で描かれますけれど、シュメールでは羽の生えたサソリと人間が融合した姿で描かれているそうです。羽のないサソリ人間はまんがのサイボーグ009『イシュタルの竜(シルシュ)編』にもでてます。シルシュはムシュフシュという言い方もあって、これだとるなてっく・どぉーん…
いて座は銀河の中心方向に見えているので明るい星がたくさん見えます。洋の東西を問わず固有名詞の付いた星も多いですね。
また、明るい星雲や星団なども多いですので、小型の望遠鏡や双眼鏡などで観測するのに向いています。夏の星座ですし、夏休みなどにはちょうどよい観測対象といえるでしょう。
◆みなみのかんむり座(Corona Austrina)
DOLでは画面表示のせいでしょうか、かんむり座よりもはるかに目立つ星座ですね。ご覧の通り南斗六星よりも下にあるため、トカイの空ではビルにじゃまされます。
山の上からだとよく見えます(当たり前)。
Alfecca Meridiana
かけた皿の真ん中、という意味だそうです。
◆さいだん座(Ara)
ずっと以前に祭壇についてご紹介したことがありますね(MDSS11)。星座がほとんどかぶっているのは内緒。
プトレマイオスの設定した48星座の一つです。もともとはAra Centauriという名前だったそうで、ケンタウロスの賢人キロンの祭壇と見られたこともありますけれど、由来ははっきりしません。
たとえば赤ちゃんを生け贄に捧げたリュカオン王の祭壇だとかもいわれています。この場合はおおかみ座とセットで語られることが多く、ゼウスに狼にかえられたリュカオン王がおおかみ座だという話があります。これは「ライカンスロープ」の語源のお話ですね。
◆さそり座(Scorpius)天蠍宮
たて座(MDSS25)のご紹介と同じく、しっぽの部分が見えています。
この辺りは星空をご覧になっても解ると思いますけれど、とにかく明るい星が多くあります。天の川にかかっているため、星雲、星団がたくさん見えることでも知られています。
◇Milky Way
もっとも濃い天の川はこの辺り一帯です。
◇Ecliptic
天蠍宮、人馬宮です。天蠍宮の前が天秤宮、人馬宮の後が磨羯宮です。
◆おわりに
いかがでしたか? いままでのMDSSとあまり代わり映えしていなくてごめんなさい。地中海で見える星空は、比較的緯度の低いところまで見えますけれど、南の方角は若干なじみのない星座が多いですので、冒険クエのついでに北海方面での観測を強化しようかな、トカ思っています。
そんなわけで研究編はちょっと進んでおりません。とりあえず北海方面でも観測が可能ですので、愉しみながらお伝えしていきたいと思います。
来週は何もテーマを考えておりませんので、北の海から見える星座を、何かご紹介できたらなーと思っております。
でわ~☆
南の方に画面を向けたら思いがけず鶴がしっかりと飛ぶ姿を見つけましたので、ぱちりとスクショをとっておきました。つる座の上にはみなみのうお座がありますけれど、この二つの星座の関係もご紹介したいと思います。
では、本日のスクリーンショットをご覧下さいませ。
◎ナポリから西に向けて航海中。見えている陸地はシチリア島
左から
◆ちょうこくしつ座(Sculptor)
Sculptorとは彫刻家ですので、厳密にはちょうこくか座と呼んだ方が良いかも知れません。「彫刻家のアトリエ」座だったものを縮めたために彫刻家の言葉のみ残り、でも本来の意味で描かれた星座絵は変更されていませんのでこのような名前になっています。
◆ほうおう座(Phoenix)
前回MDSS26でも登場しました。角度がちょっと違っていますね。
◎MDSS26のほうおう座
◆みなみのうお座(Piscis Austrinus)
古代エジプトでもうお座として存在したらしいですが、本当のところはよく分かりません。おそらく一等星フォーマルハウトからきているのでしょう。
Fomalhaut
たとえば11月頃の日が落ちたすぐ辺りに、南に見えます。この時間は西の方に夏の大三角形があるので、そこからやや離れた南側にぽつんと一つだけ明るく光っていることで逆に目立つんですよね。
「秋の一つ星」と呼ばれるゆえんでしょう。
アラビア語で『くじらの口』を意味する言葉に由来がありますけれど、プトレマイオスの命名がアラビア語に翻訳されたのか、元々アラビアでそのような意味で用いられていたものをプトレマイオスが採用したのか、いまいちよく分かりませんね…。
◆つる座(Grus)
案外形がわかりやすいですよね。点線を引いたような星の並びは特徴的です。
17世紀初頭のイギリスでは鶴ではなくフラミンゴといわれていたようですけれど、現在ではつるで通っています。
ヨーロッパの天文学者はどうやって南半球の星を知ったか
さて、南天の星座は北天のものと違い、観測が困難です。ちょっと外に出てとか望遠鏡を向けたら自宅からでもみられる、なんてことがありません。なので、天文学者達はどうしたかというと…
・現地に行く…ニコラ=ルイ・ド・ラカーユ(フランス)
・船員を教育する…ペトルス・プランシウス(ネーデルラント)
・とにかく発行物や話を集める…イザーク・ハブレヒト(ドイツ)
ラカーユは究極の選択ですね。彼はケープタウンに滞在して観測を行いました。MDSSではおなじみの人ですね。
プランシウスはこの人は星図の作成と観測技法をぺーテル・ケイセル(キーサー、ケイサーとも)に教育し、南方への航海の際それを利用して観測を指示しました。
ケイセルの仕事は探検家ハウトマンの協力もあって完成し、プランシウスはもたらされた南方の星図の空白箇所の情報を天球儀に作り込み、さらにそれらの星図は数年後、バイエルが史上初の全天星図『ウラノメトリア』を出版する際に取り上げられました。
ハブレヒトは天文学者ではなく時計職人で、天球儀の制作者・時計職人です。ドイツと書きましたけれど、生まれはスイスの人です。
Alnair
つる座は北半球からでも中途半端に星が見えるため、その形が観測される以前から、明るい星がみなみのうお座に取り入れられていました。その星がアルナイルです。
アルナイルとは「明るいもの」と言う意味ですが、アラビア語ではもっと長い名前が付いていまして「尾の明るいもの」でした。この尾はみなみのうお座の尾なのですね。みなみのうお座の下にあるのが解ると思います。一尾の魚にしては形がよく分かりませんけれど。
◆きょしちょう座(Tucana)
こちらも前回MDSS26登場。かぶっちゃってますねー。
Tucanaは巨嘴鳥(オオハシ)をさしますが、トゥピ語から来ているそうです。トゥピ語での意味は分かりませんでした。くちばしとか、そういう意味でしょうか。
◆けんびきょう座(Microscopium)
ラカーユによる設定の器具の星座ですね。三角形をかたどったり、Cの字型になったりと、描き方がいろいろあります。
みなみのうお座の隣にありますので日本からでも見られますけれど、明るい星がありませんので探すのは難しいかも知れません。
ちなみに、ドイツのレンズメーカーのカール・ツアイスはもともと顕微鏡屋です。
◆インディアン座(Indus)
アメリカ・インディアンを模した星座です。星座の方向は矢を握った立ち姿がきちんと頭を上にしています。
レチクル座(MDSS26)のかじき座のところでご紹介しましたけれど、この星座はペトルス・プランシウスがケイセルとハウトマン作成の星図にたいして設定した星座の一つです。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも「インデアン」が登場しますけれど、その星座です。
◆くじゃく座(Pavo)
ペトルス・プランシウスの設定した12の星座のひとつです。
Peacock
くじゃく座のα星ピーコックは2等星の星で、英語の恒星名は珍しいのですけれど、これは王立航海年鑑局というイギリスの機関が20世紀になってから設定したそうです。
◆ぼうえんきょう座(Telescopium)
ラカーユの設定による器具の星座です。みなみのかんむり座よりも下にありますので、この辺りの位置ですともう日本からはなかなか見ることができません。
◆いて座(Sagittarius)人馬宮
画面から少し外れると大きく見えてしまうので、全体像がなかなか捕らえにくいいて座です。
人馬宮とあるように人と馬が合体した姿で描かれますけれど、シュメールでは羽の生えたサソリと人間が融合した姿で描かれているそうです。羽のないサソリ人間はまんがのサイボーグ009『イシュタルの竜(シルシュ)編』にもでてます。シルシュはムシュフシュという言い方もあって、これだとるなてっく・どぉーん…
いて座は銀河の中心方向に見えているので明るい星がたくさん見えます。洋の東西を問わず固有名詞の付いた星も多いですね。
また、明るい星雲や星団なども多いですので、小型の望遠鏡や双眼鏡などで観測するのに向いています。夏の星座ですし、夏休みなどにはちょうどよい観測対象といえるでしょう。
◆みなみのかんむり座(Corona Austrina)
DOLでは画面表示のせいでしょうか、かんむり座よりもはるかに目立つ星座ですね。ご覧の通り南斗六星よりも下にあるため、トカイの空ではビルにじゃまされます。
山の上からだとよく見えます(当たり前)。
Alfecca Meridiana
かけた皿の真ん中、という意味だそうです。
◆さいだん座(Ara)
ずっと以前に祭壇についてご紹介したことがありますね(MDSS11)。星座がほとんどかぶっているのは内緒。
プトレマイオスの設定した48星座の一つです。もともとはAra Centauriという名前だったそうで、ケンタウロスの賢人キロンの祭壇と見られたこともありますけれど、由来ははっきりしません。
たとえば赤ちゃんを生け贄に捧げたリュカオン王の祭壇だとかもいわれています。この場合はおおかみ座とセットで語られることが多く、ゼウスに狼にかえられたリュカオン王がおおかみ座だという話があります。これは「ライカンスロープ」の語源のお話ですね。
◆さそり座(Scorpius)天蠍宮
たて座(MDSS25)のご紹介と同じく、しっぽの部分が見えています。
この辺りは星空をご覧になっても解ると思いますけれど、とにかく明るい星が多くあります。天の川にかかっているため、星雲、星団がたくさん見えることでも知られています。
◇Milky Way
もっとも濃い天の川はこの辺り一帯です。
◇Ecliptic
天蠍宮、人馬宮です。天蠍宮の前が天秤宮、人馬宮の後が磨羯宮です。
◆おわりに
いかがでしたか? いままでのMDSSとあまり代わり映えしていなくてごめんなさい。地中海で見える星空は、比較的緯度の低いところまで見えますけれど、南の方角は若干なじみのない星座が多いですので、冒険クエのついでに北海方面での観測を強化しようかな、トカ思っています。
そんなわけで研究編はちょっと進んでおりません。とりあえず北海方面でも観測が可能ですので、愉しみながらお伝えしていきたいと思います。
来週は何もテーマを考えておりませんので、北の海から見える星座を、何かご紹介できたらなーと思っております。
でわ~☆