偏屈者の世迷言

最近は競馬のことばかり書いてます。もっと政治のことを書いていきたいのですが。自営業者からの意見はもっと出されるべき。

脱原発について考える

2012-05-24 14:47:57 | 政治・社会

 茂木健一郎さんのツイートを見てて、そういえば自分自身「脱原発でいくべき」なんて考えていても、それについてなぜそうなのかということを深くまで考えていなかったことに気付いたので、これを機会にいろいろと考えてみたい。

 

 改めて考えてみると、現在行われている脱原発の動きというのは非常にまずいものがあるように思う。

 いろいろあるけれど大きなものは三つ。

1.使用できるエネルギーが限られてしまうということに対する過小評価

2.脱原発というのは、石炭から石油への変化と違って「やめた」と言って済む問題ではないということ

3.脱原発派が多数になり力を持ったとたん、原発に携わっている人々や違う意見の人々にネガティブなレッテルを貼り罵倒する人々が出現したこと

 

 それでは 1. からいくけども、脱原発の人々は、原発に頼らなくても人々の努力や自然エネルギー等の代替エネルギーで乗り切れると考えている。でも、エネルギーが必要分確保できるのかどうかは、「おそらく」などといった不確実なことでは話にならない。

 エネルギーは生活、工業、商業、医療、あらゆる活動に必要なものだ。新技術で乗り切ろうにも、新技術の開発にだってエネルギーは必要だ。エネルギーの使用に制限がかかるようになれば、うまくいくかどうか不確実な新技術、特にイノベーティヴな技術は開発が控えられる可能性は高いだろう。

 では昔は今より少ないエネルギー消費で大丈夫だったという意見はどうだろうか。一理あるようには思うが、電力の値上げに反発が出てしまう(東京電力管内では気持ち的にわからないこともないけれど)ように、長期に渡ってエネルギーのが不安定な状況を乗り切ることは難しいのではないだろうか。また、現在の社会は活発に活動しているところから新しいものが生まれている。昔のように低エネルギーでということは、新しいものを生み出すことができない停滞した社会を作り出すことになるだろう。

 エネルギーは食料と同じように考えられなければならない。食料の場合、おそらく大丈夫だとかみんな少しずつ我慢すれば乗り切れるといった楽天的な予測に基づいて政策決定ができるだろうか。もしかしたら太平洋戦争時のわが国の例があるのでできるという人もあるかもしれないが、普通はそのような決定はしてはいけない。食料もエネルギーも、必要な分を確実に確保できるようにするというのは国の最重要な責務である。

 

 次に 2. についてだけども、脱原発のゴールはどのようなものを考えているのかということだ。原発を再稼動させない、それはわかった。ではその後の原発は? 使用済み核燃料は? それらはそのうち勝手に消えてなくなるのか?

 脱原発とは、これらのやっかいなものたちをなんとかするということでもある。そのためには現状ではできないことを可能にするための新しい技術の開発が必須のはずだ。

 つまり、脱原発運動をしている人々が「原子力ムラ」とレッテルを貼って敵視している人々の力がなければ、その目的は達成できないのだ。

 現状の脱原発運動は、どれだけ反抗しても最悪の事態にはならないように誰かが何とかしてくれるという甘えがあるのではないだろうか。

 

 最後は 3. についてだけども、 2. で述べたように脱原発には原発に携わっている人々の力が必要なはずなのだが、その人々との連帯ができなくなるということである。

 さらには、原子力について現在よりも進んだ知識・技術を持った新しい人達が、非難や罵倒の中から登場することは無いということでもある原子力関係の難しい問題の解決のためには、今よりも知識・技術を高めないといけない。けれども、罵倒され、非難されるようなところでがんばろうと思う人たちはいない。原発事故のせいでただでさえ原子力を研究しようとする若い優秀な人は少なくなるだろうというのに。

 自分が正しいと妄信し意見の違う人に対して汚い言葉を吐くような人は本当に有害である。

 

 

 何か、ここまで脱原発の人達をさんざん批判してきてしまったけれど、私の考えははじめに述べたように脱原発である。

 なぜかというと、そもそも原発というものが将来技術が向上することを前提として見切り発車してしまったものだからである。 だから一度、現在の原発政策は完結させる必要があると思うのである。原子力の使用を続けるにしても終わらせるにしても。

 もう何十年も原子力発電をおこなってきて、当初見込みの何が甘かったのかかなり出てきているのではないだろうか。

 今回の大地震での事故を契機として、今まで見たくないために”ありえないこと”としてきたこと、例えば様々な事故のときの対応とか、廃炉や使用済み核燃料に関することなどを先延ばしすることなく計画だてて取り組む必要があるだろう。


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