
源氏物語 少女の巻 (写真:悲しむ夕霧と源氏・紫の上)
源氏の長男「夕霧」と、頭の中将内大臣の娘「雲居の雁」との恋愛物語です。夕霧は、生母葵の上に生まれてすぐ死別し、故桐壷帝のもとで育てられていました。その大宮に、もう一人の孫が預けられていました。かつての頭の中将(今の内大臣)の娘「雲居の雁」です。
頭の中将(葵の上と兄妹)は雲居の雁が生まれてまもなく、その生母と別れて別の人と再婚しますが、彼女を引取って大宮に預けていたのです。夕霧と雲居の雁は、いとこ同士。源氏と葵の上もいとこ同士。二人は幼くして母を知らずに、祖母のもとで育てられました。雲居の雁は、夕霧より二つ年上ですが、仲がよく自然の成り行きで幼い恋を育んでいました。
夕霧はこの年12歳、元服です。夕霧の官位を低い位置(六位)にとどめます。まだ幼い夕霧が、今からおもいのまま官位が上がり、世の栄華をほしいままにすると、学問など苦しいことはしなくなり、遊びばかりを好むようになってしまうという、夕霧を思う親心です。夕霧は、この試練から早くのがれたいと異例の速さで及第します。
そのころ、斎宮の女御(六条御息所の娘、源氏が養女として引取り冷泉帝に入内させていた)が中宮(秋好中宮)になります。内大臣(頭の中将)は、我が娘の弘徽殿女御がこえられたことを非常に残念に思い、それならばと、祖母大宮に預けている次女の「雲居の雁」を東宮妃にと望みをかけます。夕霧と雲居の雁は、いつしか幼い恋を育んでいました。
あるとき、内大臣は、母大宮の監督不行き届きを責め、彼女を内大臣の邸へ引取ります。夕霧と雲居の雁の幼い初恋は、大人の意地で引き裂かれてしまいました。
一方源氏は六条院の造営にとりかかります。六条御息所の旧邸を修理して、四町におよぶ壮大な邸宅を造営したもので、春夏秋冬の四季にふさわしい庭園をしつらえた、四つの邸からなる大邸宅です。
8月の落成とともに、その「春の町」に紫の上を、「夏の町」に花散里、「秋の町」に秋好中宮を移り住まわせ、少し遅れて10月に、明石の君が「冬の町」に移り住みました。翌年には、紫の上の父、式部卿宮の五十賀が予定されており、源氏と紫の上は、その準備に余念がありません。
右大臣
┣⑦朧月夜の君(六女 朱雀帝尚侍として出仕)
┗弘徽殿の女御(皇太后まで病床に臥すなど、凶事が続き、弱気になった帝)
┣第一皇子朱雀帝譲位
桐壺帝----譲位して、光源氏は東宮の後見----世の中は右大臣に傾く----崩御
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┃┃⑨花散里(桐壺帝の女御:麗景殿女御の妹 六条院・夏の町)
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┃┃ ?
┃┃ ┣形見の女の子
┃┃ ④夕顔(六条の御息所の隣人----生霊に呪われ死ぬ----光源氏は加茂川で落馬)
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┃┃ 桐壺帝の弟
┃┃ ┣秋好中宮----冷泉帝に入内(六条院・秋の町)----中宮
┃┃ ③六条の御息所(伊勢から帰京、間もなく病に臥し、源氏に娘の斎宮の行末を後見)
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┃┣光源氏(わらは病)
┃┃ ┣豪奢な饗宴----弘徽殿の女御の気持ちを逆撫で
┃┃ ┣夕霧12歳元服----養育を左大臣家に託
┃┃┏①葵の上 (父:左大臣 母:桐壺帝の妹)----御息所の物の怪が原因で夕霧出産後に死亡
┃┃┗頭の中将(権中納言)
┃┃ ┣長女(冷泉帝に入内して弘機殿女御 秋好中宮と絵合----帝の前で公式の宮中行事)
┃┃ ┗次女(雲居の雁14歳)
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┃┃ 伊予の介という老人@左大臣家(空蝉を心配しつつ死亡)
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┃┃┏②空蝉(任地常陸国から帰郷の際、石山詣でをする源氏の行列と行き会わせた 出家)
┃┃┗小君(今は衛門の佐)
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┃桐壺の更衣(低身分:光源氏3歳のときに死亡)
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┃常陸宮
┃┗⑥末摘花(花散里に寄る途中---終生庇護してあげようと誓い二条院へ呼ぶ)
┃ ┣
┃光源氏34歳(内大臣)
┃ ┣冷泉帝(僧が冷泉帝に出生の秘密をもらす)
┏⑤藤壺の宮(第四皇女 桐壺帝のいとこ@飛香舎 死亡37歳)
┃弟・桃園式部卿宮(死亡)
┃ ┗⑪朝顔の姫君(叔母は女五の宮で光源氏贔屓)
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┃
┗兄・兵部卿宮(式部卿宮の五十賀が予定)
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┃明石入道(桐壺の更衣の従兄弟----源氏一行の栄えばえしい盛儀を目の当たり)
┃ ┗⑩明石の君24歳(六条院・冬の町)
┃ ┣姫君3歳
┃ 光源氏(32歳----明石から帰京)
┃ ┣
┣⑧若紫24歳(六条院・春の町)
┣?
祖母の尼君----光源氏に若紫を託す