うりぼうのシネ煉獄

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フルメタルジャケット

2011年10月22日 | 日記
 「俺は厳しいが公平だ、人種差別は許さん!黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん。お前らは、”すべて平等に価値がない”!!」


 ということで、今晩のキューブリック特集は戦争映画の傑作「フルメタルジャケット」。


 こちらも昔見たきりだったのですが、話がシンプルなせいかほぼそのまま覚えていました。

 ストーリーは前半と後半で分かれており、前半は新兵が鬼軍曹にしごかれ、おちこぼれの通称”微笑デブ”の精神が崩壊し、教官を殺害し自らも自殺してしまう。
 後半はベトナムに出た主人公たちがそこで戦争の現実を知ることになる。という内容。


 前半の目玉はやはり鬼軍曹ハートマンのキャラでしょう。
 もともと(軍隊に関する)テクニカルサポートとして雇われていたリー・アーメイが演技指導の様があまりに激しく、監督が気に入ってハートマン役に抜擢したのだとか。実際見たらわかりますが、前半はもうハートマンの一人舞台で、その罵詈雑言のオリジナリティはクリエイティブかつ独創的。芸術と言ってもいいほどです。監督がハートマンを中心にした脚本に書き直しただけはあります。この記事の冒頭の引用もハートマンのセリフです。
 前半がとにかくしごかれ、罵倒される厳しさなのに対し、後半のベトナムはどこか生ぬるいというか感覚が麻痺するような地獄を描いています。前半はとにかくキツいけど命は保障されているし周りは味方。しかしベトナムは訓練時代に比べればユルいし娯楽もある。仲間と談笑もできる。しかしその反面周囲にいる農民がいきなり自分を殺すかもしれず、そこで序々に主人公たちも感覚のタガが外れていきます。


 戦争はいけないことなのか?とか戦争は悲惨だ!とかじゃなく、もっと冷徹な目で「戦争(軍隊の訓練を含めたすべてが)、若者をどう変えていくのか?」ということを描いている傑作だと思いました。明日は観る余裕があれば「時計じかけのオレンジ」を見てみたいですね~


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