お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

妹なんて大っきらい!

2011-01-13 | about 英語の絵本

Big Red Lollipop

私は年の離れた末っ子として生まれ、物心ついた時はおとなばかりの家族の中に子どもは私一人だけ……という環境で、実質的なひとりっことして育ちました(すぐ上の兄は12歳年上)。また私の両親は、明治生まれの彼らの世代には珍しく二人ともひとりっこ。そのうえ私自身が親になってからも、子どもは娘ひとりしか育てませんでした。そんなわけで、私はずっと"ひとりっこワールド"で暮らしてきていて、『きょうだいのダイナミズム』というのを日常的に経験したことがありません。ただし、姉と2人の兄はそれぞれ2歳違いで、3人はちゃんと"きょうだいワールド"を形成していました。

でも親しい友だちの暮らしを見ていると、年の近いきょうだい同士の間には、言うに言われぬ深い感情的な結びつきやらパワーバランスやら、時には政治的とさえ思えるような利害関係やらの、さまざまなエネルギー渦巻く、独特の"きょうだいワールド"があるようです。無邪気な傍観者でいるしかないひとりっこの目には、そんな"きょうだいワールド"の内実は単に理解しがたいだけでなく、想像すらつかないもので、時には「妹なのに、どうしてそんなに意地悪できるの?」と驚かされ、また「へぇ!きょうだいってホントにホントに仲良しなんだ!」と羨ましくも感動させられる異次元の世界です。

でも"きょうだい"は、子どもにとっては重大なテーマ、そして絵本の大切なテーマでもあります。以前このブログで、お留守番しているきょうだいがお母さんを待ちながら交わす"いかにも……"の会話だけで構成された絵本『Owl Babies』をご紹介しました。これは私の大好きな絵本なのですが、読者の方からも「かわい~い!また載せて!」とアンコールをいただきました(参照:ブログ記事『おかあさ~ん』)

今日ご紹介する絵本「大きな赤いロリポップ"The Big Red Lollipop"」は、そんな『きょうだいのダイナミズム』を、"いかにも……"ありそうな日常を舞台にして、大きい子の立場から(3人姉妹の長女の目から)実にリアルに描いている絵本です。

両親とともに、遠い国からアメリカに越してきて暮らしているわたし。今日はすごくうれしいの! だって、クラスメートから初めてお誕生日パーティの招待状をもらったんだもの!

家に帰っておかあさんに見せたら「お誕生会ってなあに?」と聞かれました。「誕生日の子が開くパーティよ」と説明すると、お母さんはけげんそうに「どうしてそんなことするの?」「(アメリカでは)そういうものなのよ! ねぇ、行ってもいい?」とやり取りするうちに、恐れていたことが……。真ん中の妹のSanaがやってきて「あたしも行きたい!」と駄々をこね始めたのです。

「ダメよ! Sanaは呼ばれてないんだから!」と言っても妹は聞きません。「ね、そのうちSanaにも招待状が来るから!」と説得しようとしても聞かず、「あたしも行きたい!」の一点張り。ついにはわぁわぁ泣き出しました。(やれやれ……)

するとお母さんまでが「じゃあ、Sanaも連れて行ってあげなさい」(冗談じゃないわ!)と思っても、お母さんの言うことは絶対です。わたしはしぶしぶ友だちに電話して「妹も連れて行っていいかしら?」と聞きました。友達は「いいわよ」と言ってくれたけれど、「よくない」と思っていることは電話でもハッキリわかりました。(すごく変な子だと思われているに違いない……わたしだってイヤだもの……)

思った通り、パーティで妹は最低の最悪!でした。妹のせいでパーティは台無し、わたしの面目は丸つぶれ! そのうえSanaはパーティのお土産にもらったロリポップをわたしの分まで食べてしまったのです。妹なんて、大っきらい!

最悪なのは……それ以来、わたしにはもう誰からもパーティの招待状が来なくなってしまったことです。みんな、わたしを招待すると妹がくっついてくると恐れているから。もう、もう、妹なんて、大っきらい!

そんなある日、妹のSanaにお誕生日の招待状が届きました。

学校から飛んで帰ってきてお母さんに「行ってもいい?」と聞くSanaに、今度は、一番下の妹が「あたしも行きたい!」と叫んでまつわりついています。Sanaが「ダメよ!呼ばれてないんだから!」というと、下の妹はわぁわぁ泣き出しました。すると案の定、お母さんは「じゃあ、妹も連れて行きなさい」。

(ほらごらん! Sana、わたしの気持ちがわかった?)と思いながら黙って見ていたわたしは……。

結末は、どうぞお読みください。お母さんお父さんには(こういうこと、あったよなぁ……)となつかしく思い当たられる方も多いことと思います。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いまも むかしも コレクターズ | トップ | サンキュー!の効用 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

about 英語の絵本」カテゴリの最新記事