Daddy, Papa and Me
今日の絵本は「ダディとパパとぼく/わたし(Daddy, Papa and Me)」です。レスリー・ニューマン作、キャロル・トンプソン画。いわゆるカードボード絵本(厚紙でできた小さい子向きの小型版)です。裏表紙に「どこにでもいる素晴らしいお父さんに」との献辞が書かれています。
おもちゃをつかんで駆け出しながら・・・小さい子が聞きます。
「いっしょにあそびたいひと?」
「はぁい」とダディ
「はぁい」とパパ
ダディの紙飛行機、ビューンビューン
パパの自動車、ブーブ―
ダディは絵を描くのを手伝ってくれて
パパはパイを焼くのを手伝ってくれる
ダディと一緒にギターをボロンボロン
パパと一緒に太鼓をどんどんどん
ダディはお裁縫を教えてくれて
パパはボール投げを教えてくれる
そう、これは、ダディとパパ;2人のお父さんと子どもの3人家族のお話です。子どもは、(多分意図的に)男の子とも女の子とも見えるように描かれていて、性別がわかりません。いわゆる伝統的な家庭ではありませんが、最近では決して珍しくない同性同士のカップルの子育て。お父さん2人がものすごくやさしそうに描かれていて、眺めるだけで、なんだか暖かい気持ちになる絵本です。
「お母さん2人」も、もちろんあります。同じ作者と画家のコンビによる「マミィとママとわたし/ぼく (Mommy, Mama And Me)」の絵本。こちらは2人のお母さんと子どもの3人家族です。
「たかい、たかい」してくれるマミィ
おんぶしてくれるママ
マミィとラウンドアバウトに乗ったら、
ママと滑り台をすべっておりる
マミィと1,2,3って数えているうちに
ママは木のかげに隠れるんだよ
マミィがお風呂にいれてくれて
ママがごしごしあらってくれる
・・・というわけで、3人家族の楽しい一日が暮れます。
レズビアンカップルの子育ては、今年、映画になって話題を呼びました。2010年7月にアメリカで封切られた”The Kids Are All Right”がそれ。お母さん2人とティーンエイジャーの男の子と女の子の4人家族ですが、お母さんが人工授精を受けた際の、精子提供者のお父さんを息子が探しだしてしまい・・・家族それぞれが抱える葛藤、愛情、悩み、不安、いたわりなどを、決して「きれいごと」でなく描いて、カンヌ、ベルリン、サンダーンス等の映画祭で喝采を浴びました。
アメリカでは同性同士の結婚が法的に認められている州があります。たとえばコネチカット、アイオワ、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、バーモント、ワシントンDCなどです。カリフォルニア州は2008年の6月にいったん合法化されましたが、同年11月に違憲訴訟が提訴され、現在審理中です。もちろんこれらの州以外でも、いわゆる事実婚の同性同士のカップルはけっして珍しくありません。だから、ダディとパパの2人のお父さんと子どもたちという家庭も、マミィとママの2人のお母さんと子どもたちという家庭も、決して珍しくないはず。ところが、そうした家庭を正面から取りあげて描いた絵本は、まだ少ない……という事実に、この2冊の絵本を取り上げてみて、改めて気付かされました。でも、きっとこれからは、もっとこういう絵本が出てくるものと思います。
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