お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

増殖するチャータースクール

2009-05-20 | from Silicon Valley


全米でチャータースクールが増えています。写真は今年2月、ワシントンDCにあるチャータースクールを訪問したオバマ米大統領夫妻ですが、シリコンバレーでも2000年度以降急激に増加していて、2000年度にはわずか2校(生徒数563人)だったのが、2007年度には26校(1万826人)になっています。我が家の近所にも1校新設されました。カリフォルニア州全体では現在750校あります。

チャータースクールは90年代以降のアメリカで急速に増加している新しいスタイルの学校(小・中学校)です。親や教師や地域活動家など地域で新しいタイプの学校の設立を希望するグループや個人が、その運営のための教員やスタッフを集め、その学校の設立目的や教育課程、設立数年後の到達目標などを定めて設立の申請を行い、認可されると、公的な資金の援助を受けて学校を設立でき、運営は設立申請を行った民間のグループが行う”公設民営”事業。設立と運営に当たるグループと行政(教育委員会)との間で交わされる契約をチャーターというところからチャータースクールと呼ばれています。

現在では全米51州のうち41州でチャータースクールが認可されていますが、アメリカ初のチャータースクールは1992年にミネソタ州セントポールに開かれたシティー・アカデミー。カリフォルニア州は、ミネソタ州に次いで二番目にチャータースクールを認可した州です。

チャータースクールでは、教育課程や運営方式などにはかなりの自由裁量を認められていますが、税金で運営される公立学校なので生徒から授業料を徴収することはできません。また、所定の年限内に目標が達成できなかったり、就学児童が集まらなかった場合には、そのチャータースクールは閉校になり、負債は設立・運営にあたったグループが負うことになっています。チャータースクールは全米にあわせて4000以上ありますが、これまでに、そのうち10%程度が閉鎖されてきました。理由は一様ではなく、アカデミックな到達目標に達しなかったところもあれば、運営に失敗したところ、経済的に破たんした例などさまざまです。

チャータースクールはコンピュータリテラシーや理科教育に特に力を入れたり、不登校児だけを対象にするなど、さまざまな教育目標の設定や特別の教育的配慮などで既存の公立小中学校との差別化をはかっています。また経済的に恵まれない子どもたちを支援する目的で設立される場合も少なくありません。アカデミックに力を入れて特徴を出しているチャータースクールでは、授業料の高い私立の学校で行われているような授業や課外活動を公立学校で、しかも授業料無料で体験できるとあって、教育熱心な親たちに熱狂的に歓迎され、しばしば入学希望者が定員を上回り、抽選で入学者を選ぶことを余儀なくされています。

しかし、親には熱狂的に支持されている人気の学校も、地域の教育委員会から見ると頭の痛い存在である場合があります、批判はおもに以下の2点に向けられています。
● 同じ学校区にある既存校から優れた教員を選りすぐって引き抜くこと。
● アグレッシブな資金集めで親に負担をかける場合が多いこと。

また、当然ながら、公立学校と同じだけの公費を使っているのに、自由裁量が大きすぎるとの批判もあり、チャータースクールのアカウンタビリティをどう保障するかの議論が重ねられています。

こうした批判にもかかわらず、業績に優れたチャータースクールの人気は衰えることなく、1校で成功をおさめると、同じコンセプトと手法で複数の学校を展開するチャータースクールが増えています。



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1 コメント

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チャータスクールは興味津々 (橘川幸夫)
2009-06-10 06:50:02
チャータースクールは実際にどんなカリキュラムやメソッドがあるのか興味あります。通常の公立教育と、何か違うところがあるのでしょうか。日本の場合、教科書は国の検定が必要だけど、どうなんでしょうか。
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