Where's Spot?
Where's Spot?(スポットはどこ?)は、子犬のスポットとお母さん犬を主人公にしたEric Hillの大ヒット/ロングセラーのシリーズ絵本の最初の一冊です。
シリーズの主人公はころころした子犬のスポットと、チョイ太で、ゆったり温かみのある雰囲気のお母さん犬。可愛くて、ほほえましくて、イラストを眺めるだけでも病みつきになりそうな魅力がある犬の親子です。
Where's Spot?のお話は”かくれんぼ”がテーマ。ころころ子犬のスポットは、ページをめくるたびにどこかに隠れてしまっています。それを、そのつどお母さんが「スポットはどこかしら?」と探し回り、「あ、いた!いた!」と探し出す、という、シンプルで、わかりやすい、でもハラハラドキドキのあるストーリーです。
歩き始めたくらいの年頃の子どもはかくれんぼが大好きですよね。隠れている子どもを、時間をかけて探すふりをしてやると、特に大喜び。「どこに隠れてるのかなぁ・・・見つからないなぁ・・・。ここかな?こっちかな?」なんて言いながら、わざと違うところを探し回ったりすると、もう大変。見つけてもらうのを待ち切れなくて、くすぐられでもしたかのようなクスクス笑いをこらえながら、満身の期待を込めて「あ、いた!見ぃつけた!」と探し出されるのを待っています。
作者は、子どもの、その心理をぐっと掴んで、小さな読者の共感を集める絵本を仕上げました。
シンプルな繰り返しのスト―リなのですが、でも、実は、本全体に仕掛けがあります。そう、Where's Spot?は"元祖 飛び出す絵本"。どのページでもスポットは本当に何かの陰に隠れていて、最初は見つかりません。ページに仕掛けられた飛び出すフラップを開くと、そこで初めて出てくるようになっています。たとえば、クローゼットのドアを引っ張って開けると・・・「あ、いた!」。大きな箱の蓋を開けると・・・「あ、いた!」という具合い。
読み始めの頃には、子どもは、本当に「スポットはどこ?」と一生懸命に目で探し、開きそうなところを探し出しては「いた!いた!」と喜び、繰り返し読んでもらってだんだんわかってくると、「スポットはどこ?」と聞かれるのを待ちかねて、でも、読み手の親をわざとじらしたりしながら、さも思わせぶりにゆっくりと「ここだよぉ!」と開けてくれたりして、案外長いこと楽しんで読みます。
探し出されるのを待っているあいだの期待と不安、そして(ようやく!)探し出してもらったときの安心感!作者のエリックは、子どもたちのそんな揺れ動く気持ちをよくとらえて、スポットを本当にフラップの陰に隠してしまう手間をかけることで、そして、スポットを見つけるには子ども自身が自分の手で仕掛けのフラップを開けなければならないという手間と時間をかけさせることで、上手に追体験させています。
それもそのはず、実は、この絵本はもともと作者のEric Hillが彼の2歳の息子のために書いた絵本なのだそうです。
一人の子どもを心底楽しませるために、その子どもに真剣に向き合った大人が衷心から語りかけるお話は、その一人の子どもだけでなく、すべての子どもをとらえる普遍的な力を持っているということなのでしょう。スポットしかり、そして、ピーター・ラビットしかり、ですね。
この本のもう一つ素敵なところは、最後に、必ず「あ、いた!いた!」と探し出してもらって、そのつど「見いつけた!」と言ってギュッと抱きしめてもらう安心感。読み聞かせの最後に「あぁ、見つかってよかった!」と、お母さん犬になって子どもをギュッとハグHugしてあげてください。なんともいえない安心感が共有できて親子ともハッピーに。その意味で、ベッドタイムにぴったりの読み聞かせ絵本です。
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