9月15日 Swine fluに関して諮問委員会で説明するHealth and Human Services(厚生労働省)キャサリーン・シベリス長官
子どもたちが学校に、休暇だった大人たちが職場に戻ってくると、インフルエンザの季節が始まります。人が集まれば感染症が広がるのは当たり前。でも新型インフルエンザ(いわゆるSwine Flu:H1N1)の世界的な流行が懸念されている今年は、専門家だけでなく、メディアはもとより一般の人の間にも、既になんとはなしの警戒感が広がっています。私はあまり風邪をひかない質で例年ほとんど気にしたことがなかったのですが、秋から冬にかけて飛行機で出張する機会が重なりそうなので、今年は予防接種を受けることにしました。
9月に入るとすぐに街の薬局などに「インフルエンザの予防接種できます(Flu Shots Available Here)」の立て看板が出はじめました。何よりも予防が大事!というわけで、わざわざ病院や保健所に行かなくても、大型薬局チェーンのWalgreensなどで、買い物のついでに、あるいはただ通りすがりにも予防接種が受けられるようにしようという、連邦政府保健局CDC(Centers for Disease Control and Prevention)のアウトリーチ政策です。医療保険の有無にかかわらず均一の普及価格で受けられ、大学生の娘は$10だと言っていましたが、私はかかりつけ医で$25払いました。ちなみにWalgreensは今年は$24.99です。
但し、いま出回っている予防接種は旧来型(?)インフルエンザ対応。いわゆる新型インフルエンザ(H1N1)の予防接種は来月にならないと市場に出てこない見通しです。旧来型予防接種をしても、当然ながら新型インフルエンザには効きませんので、別途受ける必要があります。
新型インフルエンザの予防接種は、ワクチンの製造過程から連邦政府が関与して行政的にコントロールしています。CDCによれば、ワクチンが不足することはないと予測されているものの、万一不足が懸念される場合には、ハイリスク群などを優先する方針で実施するとのこと。
CDCのホームページから優先順位を読みとると、最優先は●妊婦、●生後6か月までの赤ちゃんと暮らしている人、およびそれらの赤ちゃんの世話をしている人、●医療機関に勤務していて患者と直接接する人、●6か月から4歳までの子ども、●5歳から18歳までの年齢層で新型インフルエンザにかかった際のリスクが高いとみなされている慢性疾患のある人、となっています。
新型インフルエンザは従来型よりも若齢層のリスクが高いと言われているとはいえ、今年の方針は明確な"子ども優先"策。昨年までの高齢者に手厚い(慢性疾患のあるお年寄り優先、高齢者完全無料など)予防方針から、がらっと方針転換しています。私が予防注射を受けに行った日、かかりつけ医のクリニックでは待合室でこの話題が出て、誰かが「年寄りは予防しなくていい、インフルエンザで死んでくれたら大助かりってことかな?年寄りが減れば福祉費も医療費も節減だものな!」と皮肉をこめて言い、皆、思わず苦笑。オバマ大統領の急激な支持率後退の一因かもしれません。