Source: www.kidsforabetterfuture.org
ニューヨークのブルックリンに"Kids For A Better Future"(よりよい未来を創る子どもたち:略してKBF)というNPO法人があります。世界中の恵まれない子どもたちのためにファンドレイジング(資金調達)をしては、集めた資金をその子どもたちに届ける仕事をしている団体です。
2007年にはアフガニスタンの女子校2校を支援しました。アフガニスタンでは、男の子は校舎の中の屋根のある教室で勉強できるのに、女の子は炎天下校庭に立ったまま勉強しなければならないと聞いたのが支援のきっかけ。寄付は教材や図書館建設資金に充てられました。
2008年にはコンゴに寄付を贈りました。コンゴでは子どもたちの半数以上がまったく学校に行かず、幼いうちから兵士になってしまうという問題があります。KBFは少年兵を説得して兵士を辞めさせ、さらに学校に通うことができるよう支援している現地のNPO団体に支援金を送りました。
2009年はユニオンカーバイド社の有毒ガス漏れ事故(1984年Bohpal)の後遺症で悩む人々を無料で治療しているインドのクリニックを支援しています。数千人が亡くなったこの事故では、多くの子どもたちが犠牲になり、後遺症に苦しんでいます。
このKBFの代表は創設者でもあるAkash Mehta君(11歳)です。そうなのです。"Kids For A Better Future"は、小学生のAkash君が創り、子どもたちが協力し合って運営し、子どもたちの手だけでこつこつと資金調達をしているNPOなのです。KBFを立ち上げた時、Akash君はまだたったの8歳でした。
KBFのモットーは"Kids Can Make A Difference And So You Can!"(子どもにだって社会を変えることができるのですから、あなたにも、きっとできます!)。
資金作りは子どもにも無理がなく、且つユニークです。最初のファンドレイジングは2007年のAkash君の誕生日に行われた”Birthday Campaign”。誕生日をお祝いしてくれる人たちに「僕に誕生日のプレゼントをくれるかわりに、そのお金をアフガニスタンの女の子のために寄付してください」とアピールしました。
次の企画は、その後恒例になったマラソンならぬ”Walkathon”。寄付集めに参加する子どもたちは、事前に例えば「1マイル歩いたら1ドルください」と言って賛同者を集めてリストにし、それを持って”Walkathon”に参加し、終了後に主催者から発行される歩行距離の公式記録をもとに寄付を約束した人たちを回ってお金を集めます。マイル当たりいくらにするかはその子の自由。また何マイル歩くかも本人の裁量。頑張ってたくさん歩けばそれだけたくさん寄付が集められるので、小さな子も一生懸命歩きます。
最近の”Walkathon”の様子がYouTube にアップされています。(New York Walkathon for Bhopal)冒頭のアピールに驚かないで少しつづけて見ていただくと、後のほうにAkash君はじめ参加者のインタビューがでてきます。
でも、こんな大きなイベントばかりを手掛けているわけではありません。もっと日常的には、子ども同士が集まって"通り"にスタンドを出し、通行人に手作りのレモネードを売るとか、近所のガソリンスタンドのおじさんの協力でカーウォッシュをさせてもらうとか。映画に出てきそうな典型的な子どものファンドレイジングで、50ドル、100ドルとこつこつ資金づくりをしています。
こうした子どもたちの草の根活動で集められた小口の寄付をまとめて、アフガニスタンやコンゴやインドに送る窓口になっているのが Kids For A Better Future なのです。
大切なことは、KBFの子どもたちが世界の現実をよく理解していることです。たとえば半日ブルックリンの道路でレモネードを売って100ドル集めれば、それでコンゴの子ども一人が1年間学校に通えるのだということを。あるいは自分たちがアイスクリームをひとつ買うのを我慢することで、アフガニスタンの子どもたちにどれだけの教材が買えるかを。
だからこそKBFの子どもたちは、一方では自分たちの小さな手でも世界を変える一助になれると実感こめて認識でき、一方では自分たちの毎日の暮らしに深い実感を込めて感謝することができるのです。
この子たちが創る未来はどんなでしょう?