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海猫日和

色々と思うこと,見たことについてとりあえず気の赴くままに書いてみる.

月明星稀

2008-10-16 | 
満月を少し過ぎたが,十分に明るく,あるはずの星は霞んで見えない.

夕暮れに外を歩くと,上空から声が降ってくる.

「チッ」
「ツィーッ」
「チチチッ」
「チョーチョー」
「クイクイッ」
「フィー」

佇んで耳を澄ませば,様々な声が聞こえてくる.

あれはアオジ,あれはカシラダカ,あれはホオジロ.

これはクロツグミあたりか.

おお,ツグミもウソも来たか.

姿は見えず,一瞬で声も去ってしまうため,気のせいだったかと思うこともある.
空には彼らの道がある.ヒトには見えないその道を,何かを求めて駆けていく.安住の地か,先祖伝来の何かか,周りに流されていくのか,それとも遺伝子に踊らされるが故か.

どれだけの群れが渡っていくのか,どこから来てどこへ行くのか.

月だけが知っている.

夜猫

2008-09-28 | 
夕暮れの頃,グラウンドの脇を歩いていた.

外灯の明かりの中に音もなく影が舞う.

見れば目の前のフェンスにフクロウが止まっている.

しばらく周囲を探っていたが,やがて地面に降りて何かを捕え,近くのポールにとまって食べ始めた.どうやらネズミを捕まえたらしい.薄い明かりの中でちょっと顔が見えたが,少し若い個体のようだった.今年生まれのの幼鳥だろうか.

やがて食べ終えて,物足りないのか,また地面に向けて攻撃しながら少しずつ場所を移動していく.林縁なので,餌になるネズミには困らないのだろう.しばらく見ていたら,徐々に遠ざかって見えなくなった.

フクロウは大学の中でも案外見かけるが,狩りをしているところをゆっくり見るのは久しぶりだ.音もなく宙を舞い,何かにとまっては首を回す.薄暗がりの中ではっきりとは見えず,大学の騒音も遠く聴こえるだけ.周りには誰もいない.別の世界に迷い込んだような感覚にもとらわれる.まあ,錯覚にすぎないのだが.

ある秋の夕暮れのことであった.

それにしてもポールやフェンスにとまってはくれるのだが,いかんせん暗い中の写真というのは難しい.無理やり撮ったのがこれ.



ポールの先端にあるかなきかの影が・・・・・・見えねえよなあ,これじゃあ.

青の芽吹く頃は

2008-06-02 | 
昨晩大学内を歩いていたら,遠くからアオバズクの声が聞こえた.

いつの間にやらそんな季節になったらしい.エサになる蛾や甲虫の類も多くなってきた.ほぼ1年ぶりに聴く声に,懐かしさが募る.




「ホッホゥ,ホッホゥ,ホッホゥ・・・・・」




単調な調べだが,聴き入ってしまうのは何故だろう.

暗い中で響く声には,惹きつけられる何かがある.

姿が見えない故か,辺りが静まりかえっているからか.

そのまま惹かれれば,戻れないのではないかと思うほどに.

鳴き止むまでしばし佇んだ,そんな初夏の夜のこと.

おいおい

2008-04-27 | 
「みんなでマガンを数える会」と言う調査がある.今年で22回目になるそうだが.やることはその名の如く,宮島沼に帰ってくるマガンをただひたすら数えるのである.そんなわけで,今年も参加してきたのだった.なお,本人の都合により写真は撮っておりません.あしからず.

詳細はこの辺とかこの辺を参考にどぞ.

カウント方法や配置などを打ち合わせたのち,各地点に散ってカウント開始.今回は沼の南側が受け持ちとなった.南側から西側にかけて帰ってくる群れを迎え撃つことに.折悪しく南風が強く,マガンは風に乗ってやってくる.展開が早いので大きい群れのカウントには苦労するだろう.

開始後しばらくは沼から出たり入ったりが続き,これはしばらく様子をみなければ.

・・・と,思っていたら,続々と出ていくマガンどもが近くの小麦畑に降りていく.

おいおい.

その群れが腰を落ち着けて小麦の芽を食べ始めると,さらに便乗部隊が続く.



おいおい.

自重しろよおまえら.



畑には鳥よけの竿やテープが張ってあるのだが,数年続いたものなのでもう慣れたのか.それとも周りの田んぼに落ち籾がもう無いのか.いずれにせよ農家さんにとってはたまったもんじゃない.案の定,しばらくすると車が一台やってきて,群れの近くで爆竹を鳴らしていた.まあ,無理もない.なんぼなんでも限度ってものがある.

そこにいたマガンは散らされたわけだが,沼に帰るでもなくどこかへ向かった.別の畑に行ったのだろうか.結局群れが本格的に帰ってきたのは,もう少し暗くなってからだった.

私の担当範囲で約14800羽.3地点で数えたので合計すると5万羽ちょい.近くの沼に入ったのを合わせると6万羽ちょい,という結果になった.週末は天気が悪いので,どうやら渡り始めるのは週明けになりそうだ.

これだけのマガンの生息を支えているのは,この一帯の田んぼや畑なわけだが.近年は減反が進んでいる.転作した小麦の食害はひどいし,補助金は少し出ているようだが,地域にまとまった金が落ちるわけでもない.農家さんにとってマガンはある意味憎い存在だろう.

田んぼがなければ,稲作がなければマガンはおそらく生きて行かれない.そのあたりの橋渡しに,何かうまい方法はないものか.


チプタ・チカプ・カムイ

2008-03-11 | 
クマゲラ一斉調査の話を書いたので,クマゲラの事も書いておこう.

クマゲラとは,キツツキ目キツツキ科に属する鳥である.全身は黒く,頭部は赤い(オスは頭頂部,メスは後頭部のみ).全長50cm弱で,日本に生息するキツツキ類では最大の種である.自前の写真がないので,画像は無しで.ちなみに学名はDryocopus martiusという.英語ではBlack Woodpecker.そのまんまやね.

天然記念物であり,環境省のレッドデータブックにも載っている(VU).要は希少種の一つである.分布は東北地方と北海道.本州ではブナ,北海道ではトドマツ(道南ではブナ)の大木のある針広混交林に生息する.主食はアリで,樹に穴を穿ってエサを探す.その掘り痕は大きく長方形になるため,特徴的である.これを舟に見立て,アイヌの人は「チプタ・チカプ・カムイ」すなわち「船を彫る鳥の神」と呼んだ.「キョーン」,「コロコロコロ・・・」などと鳴く声は,大きなドラミング(主にキツツキ類が樹を連続的に叩いて出す行為,音をいう)と共に印象に残る.

NFPでも昔から記録があるが,最近では減ってきているようだ.多くのクマゲラが住むには少々狭いのかもしれない.東は畑,西は札幌の市街,北はやはり市街地であり,森林として他とつながるのは南側のみと言っていい(北も林があるにはあるが,規模がちょっとな).NFPは孤立林なのだ.尤も,大都市近郊にこれだけの森が残っているというのは世界でも珍しいのだが.

幼鳥が市街地で保護された記録もあるそうなので,ここで生まれた個体が分散していく途中だったのだろうかと考えてみる.利尻島と北海道本島との間を移動したという記録もあるらしいので,移動力は低くはないと思うので,案外外部との交流はあるのかもしれないが.まあ,それは今のところ謎のままである.

いずれにせよ,これからもこの森にクマゲラが居てくれるように願う.

山のものか里のものか

2008-01-16 | 
冬になると群れる鳥が多くなる.

例えばスズメがそうで,歩いているとよく生垣などからチュンチュンと騒がしく声がする.入り組んだ枝葉の中で寒さをしのいでいるのだろうか.天敵から隠れるというのもあるのかもしれない.

スズメというのは町中の鳥というイメージが強いかもしれないが,田んぼや畑などにも多くいる.まあ,どちらにせよヒトの生活圏に依存しているということになるが.英語ではTree Sparrowと言い,学名はPasser montanusという.ヨーロッパでは,主に森に棲んでいるのだそうだ.ちなみに「Passer」はラテン語でスズメの意,「montanus」は「山の」という意味である.日本で見ているだけだとちょっと想像がつかない.ちなみに日本にはもう一種,ニュウナイスズメという種がいて,日本ではこちらが森の中に住んでいる.

さて,ところでなぜ「スズメ」と呼ぶのだろうか.

古くは奈良時代から知られているようで,「すす」「しゅしゅ」(「チュンチュン」という鳴き声由来),と「め」(小鳥,或いは「群れる」の意)が合わさったものだといわれる.「ささき」とも呼ばれたそうだが,これも小鳥の意である.こちらは今ではミソサザイの名に面影が残るくらいだ.


ついでに漢字では「雀」と書く.

これまたなぜであろう.そんなわけで埃を被っていた漢和辞典を出してみる.

この字は「少」と「隹」に分けられる.部首は「隹」であり,これは「ふるとり」と呼ぶ.鳥を表す文字であり,「鳥」や「酉」と区別するためにそう呼ぶらしい.「舊」(「旧」の旧字体)という字に含まれているが故に「ふるとり」であるという.そういえば,「隼」,「雁」,「雉」など,鳥の名前にはこの文字が入っているものが多い.

ちなみに「少」の方は,「小」にはらいが加わり,元は「小さく削る」の意であるらしい.そんなわけで,漢字の方は分割すると「小さい鳥」ということなのだそうだ.

なるほどねえ.


雁よ渡れ

2007-10-07 | 
今朝方,夢現で声が聞こえてきた.

「カハハン カハハン ・・・・」

起きて窓を開けてみたら,どうも空耳ではなかったらしい.マガンが上空を飛んでいるのだ.そのまま内地まで渡っていくのだろうか.

昨日の夕方見ていたら,2万羽ほどしか戻ってこなかったので,昨日のうちに半数は渡っていったはずなのだが.今晩から天気が崩れるので,きっとその前に渡っていくのだろう.

ところで,「マガン」とはカモ目カモ科に属する水鳥であり,ロシアで繁殖し日本には冬を過ごすために飛来する.北海道はほぼ通過するのみである(少数は北海道に残るが).漢字では「真雁」と書き,古来より「雁」として記録に残っている.学名は[Anser albifrons]といい,Anserはハイイロガンを指し,[albi]は白,[frons]は前方を指す.その名の通り,額が白い.蛇足だが中国語では「白額雁」と云う.日本には毎年10万羽弱が渡ってくると思われる.昔は狩猟対象でもあり,東京都などにも飛来していたという.現在では宮城県が最大の越冬地であり,最も南になる越冬地は島根県だという.散発的な記録は各地にあるが.群れを為して飛ぶさまは「棹になり鉤になり」と云われ,風流であるとして好まれた.写真や絵画,文学などさまざまな日本の文化に現されている鳥である.

今聴こえているのは,遙か昔から続けられてきた生の営みなのである.変わったところもあり,変わらないところもまたある.人の世と雁の世の交わりはこれからもまた続いていくのだろう.そこがどうあるべきか,どのようにしていくかは,それぞれの場で各人が考えなければならないことなのだが.



秋風に雲とひわけてくる雁の千世にかはらぬ声きこゆなり (紀貫之)


マガンのねぐら入り.昨日夕方.宮島沼にて.

空飛びイヌ

2007-07-25 | 
いや,実際にはそんなイヌはいないんですけどね.

昨晩,帰る時にだが,外に出た途端に変な声が聞こえた.

「ワンワン,ワン・・・・・・」

と続いていたのだが・・・って,活字にすると雰囲気が出んな.まあ,仕方がないか.文字ってのはそういうもんだ.

・・・もとい,その声の主は,空を飛んでいたのである.
最初は高枝に止まっていたようだが,少しすると声が移動を始め,何とか姿まで確認できた.ただしだいたいの大きさとそれが飛んでいるという,ただそれだけだが.

おそらくトラフズクだと思うのだが.NFPで繁殖例というのは聞いたことがない.森の東の原野では記録があるが,それももはや20年以上前の記録のはずだ.渡りをするフクロウなので,そう言う時季に記録はあるし,私も去年や一昨年の秋に確認したことはある.が,今の時期というのは珍しい.

まあ,少し離れた場所であれば繁殖しているようなので,そう言うところから来たとしても不思議ではないか.

ちなみにトラフズク(虎斑木菟)というのは中型のフクロウで,羽の色には変異があるがだいたい茶色味が強い.大きな耳のような羽が特徴的である(実際には耳ではなく,羽角という飾り羽).北海道のものは冬には主に内地に渡っていくという.

自前の写真がないので,詳しくはこの辺とかこの辺を参照されたし.

ちなみに鳴き声のリンクを探してみたけど見つからず.
さらにCDで聞いたらこの声は入っておらず,愕然.違う種だったらどうしよう.

まあ,それならそれで面白いけど.

黄昏に響く

2007-06-08 | 
夕方暗くなってから少し外に出てみた.昼はそこそこ暑いが,夕方になれば少し冷える.薄着であれば少し寒いくらいだ.まあ,こんな季節の夕方に薄着でウロウロすることなど先ず無いが.

さて,そんな話がしたいわけではない.

暗くなると,あたりの様相は変わる.







・・・キョキョキョキョキョ・・・・






遠くからヨタカの声が響く.漸く渡ってきたのだろう.もうじき季節は初夏に変わる.ヨタカは目立たない上に夜行性なので,姿を見ることはまずできない.

鳴き声は単調な調べだが,どこかしら幻想的でもある.

夕暮れに聴くヨタカの声は,どこか別の世界から響くようにも聞こえる.

彼岸と此岸の境からとでも言うべきか.





ふと,自分の居る世界を考えてみる.

彼らの居る世界も考えてみる.

物理的にも時間的にも同じ位置に存在するはずだが,それでもその間には何かが横たわる.

鳥から見た世界,ヒトから見た世界,或いは虫でも植物でも何でもだが,それぞれに違った世界がある.其れが幾重にも重なりあうことによりこの世は作られている.





・・・キョキョキョキョキョ・・・・





黄昏の中,ヨタカの声に惹かれながらふとそんなことを考える.

そういう日もある.

来たか

2007-04-27 | 
さっき外に出てみたら,ヤマシギとオオジシギが鳴いていた.

ヤマシギは夜活動する鳥だし,オオジシギも案外暗い時でも飛ぶのである.はっきり言って地味な上に今は暗い.だが,今ごろはちょうどかれらの繁殖期に当たるので,ディスプレイフライトという行動をしているので直ぐわかる.

ディスプレイフライト(ヤマシギではローディングともいう)というのは,自分の縄張りを示すため,またメスにアピールするために行うと言われる.誇示飛翔とも言う.オオジシギの場合,飛んでいる間はよく鳴く上に,尾羽を広げて急降下することによって「ゴゴゴゴゴ・・・」という音を立てる.おかげで直ぐにわかる.ヤマシギはオオジシギほどは目立たないが,やはり鳴きながら飛ぶ.敢えて文字にすれば「ブゥ,ブゥブゥッ,・・・チキッ!」と,なるだろうか.あまり鳥の声らしくないと思われるかもしれないが,これもれっきとした鳥の声である.

オオジシギはアイヌ語では鳴き声を元にして「チピヤクカムイ」と言われる.地上に降りて色々やってるうちに天界に帰れなくなって,天に近づくもののやっぱり帰れなくて地上に戻る,それを繰り返しているのだという.

一方ヤマシギは「トゥレプタチリ」と呼ばれる.トゥレプはウバユリのことであり,それを掘る鳥,ということである.実際にウバユリの根など食べはしないはずだが,地中を探ってエサを探す姿からそのように名付けられたのだろう.

夜に鳴くものとしてはトラツグミもいる.真っ暗になっても,案外森は賑やかなのである.昼とはまた違う姿を見せるのだ.