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海猫日和

色々と思うこと,見たことについてとりあえず気の赴くままに書いてみる.

偏り

2010-12-22 | 
時々ではあるが,読書メーターとやらを更新している.

使い勝手が良くない部分も多少あるが,まあ,元々あまり考えずにつけ始めたようなものなのであまり気にしても仕方ないだろう.

相性などと云う項目があるので試しにやってみれば,他のユーザーとの相性が最も高いもので30%だそうな.

まあ,あまり世間一般で読まれる本を読まないから.
所謂一つの,偏屈という事なのだろう.

ただそれだけの話である.

猫の本棚(44) 造形美

2010-07-18 | 
生き物の形というものは,実に不思議なものである.

イモムシハンドブック

著者:安田守
出版社:文一総合出版
出版年:2010年4月


チョウやガの幼虫のハンドブック.
幼い頃にアゲハチョウの幼虫を飼った覚えのある人はけっこう居ると思うのだが,何となくその時の感覚を思い出させる.200種以上のイモムシが掲載されており,写真も素晴らしい.綺麗な模様や毒々しい色合いや,或いは地味なものまで,様々なイモムシが載っている.なぜこんな形なのか,なぜそんな色なのか.興味は尽きない.

それでも是に載っているのはほんの一部でしかない.何せ国内には6000種近くの鱗翅目がいるというのだ.

今までイモムシを見つけたとしても,よくわからないので種まで気にしていなかったのだが,こういう本が出てきた事で,自分でも識別をもう少し頑張ってみようかとも思う.

虫の識別は私には難しいのだが,まあ,ボチボチ見ていくとしよう.



ナニ.寄生虫の方が面倒だろうって?
要は畑が違うと,そういう話ですよ.

何となく追加

2010-06-30 | 
サイドバーに読書メーターなるものを追加してみた.
読んだ本を登録して管理できるらしいが,まあ,備忘録程度に思えばいいのだろう.

読んでいて特に何かあれば,取り上げて記事にします.

とりあえずそんな戯言.

猫の本棚(43) 空腹時厳禁

2009-08-01 | 
寝る前に読んだりするものでもないです.



バルサの食卓

著者:上橋菜穂子・チーム北海道
出版社:新潮社(文庫)
出版年:2009年7月



上橋菜穂子氏の著作に出てきた料理のレシピと小エッセイ集,とでも言えば良いか.ファン向けの本であることは間違いない.氏の他の著作を読んでいないと面白さは半減以下である.逆に言えば,読んでいれば,改めて気づくことや思う事があるだろう.
氏の著作での食べ物の描写は丁寧で旨そうである.実際にこれは食べてみたいと思わせる.それを一部とは言え実現させたのが本書であって,流石に設定が異世界なので食材などはそれそのものではないが,現実にあるものを使って再現してのけている.実に旨そうである.

精神的に余裕が出てきたらどれか作ってみるとしよう.
実験台は,当然,自分である.

猫の本棚(42) 名前に偽りがあったりなかったり

2009-07-15 | 
さて,同じ著者の作品が続くが.
…………まあいい.


植物図鑑

著者:有川浩
出版社:角川書店
出版年:2009年7月



図鑑,と銘打ちつつ,図鑑でも何でもなくていわゆる一つの恋愛小説.
内容は,この著者であるからこその予定調和.……こう書くと貶しているようだが,別にそんなことはない。自衛隊(っつーか軍関係)が出てこないのが珍しいといえばそうかもしれない.まあ,それはそれで別の話.

予定調和というか,展開やらオチはまあよくある話と言ってしまえばそれまでだが,それでも細かいディテールは現実味のあるもので,そういうところは相変わらず上手いと思う.植物ネタに関しても,食べることが殆どなわけだが,むしろそれをうまいことネタに使って書いたなあと.作中で登場人物に,確実に識別できるもの以外は食べるな,と念を押させているのも良い.

文章は読みやすいので,1時間もあれば読み終わってお釣りがくる.

…………それにしても,私に恋愛小説というのも似合わんことこの上ないのだが.

猫の本棚(41) おっさん

2009-04-14 | 
こんな記事書いてる本人がぼちぼちおっさんに差し掛かるわけですが.


三匹のおっさん


著者:有川浩
出版社:文芸春秋
出版年:2009年3月


図書館戦争シリーズの著者,有川浩によるおっさん共のご近所活劇.

一言で書くとこんな感じ.杓子定規に言えば主人公は還暦付近のジイサンなわけですが,それを言っちゃあ野暮というもの.定年退職した主人公が友人2人と組んで,空いた時間を有効活用して,自警団まがいのことをするという,微妙にトンデモな設定ではある.が,そこまでの違和感は無い.なんじゃこりゃ,オイオイと突っ込みたくなる内容もないではないが,まあ,フィクションというのはこういうもの.文章は読みやすいのでさらっと読める.孫の恋愛描写は,まあ,蛇足に思えなくもないし主人公どっちやねんと思えなくもない部分があるが,その辺はこの著者の持ち味でもあるので良しとしよう.甘すぎないだけ読みやすくていいか.

ともあれ置かれた状況でできることをやっていく,というスタンスで,ご都合主義でもなく,何かに責任をおっかぶせて解決というでもない.ある意味,現代の抱える色々な問題に対し自分達がどう対応するべきかという,3人のおっさんを通した作者の提案なのかもしれない.

現状で自分にできることをする,ということを改めて認識した.そんなお話.

猫の本棚(40) 他にネタはないのか

2008-11-30 | 
・・・まあ,そういう事もある.


鳥はなぜ集まる? -群れの行動生態学-

著者:上田恵介
出版社:東京化学同人
出版年:1990年1月


なかなかフィールドに出られず,ネタに困っているので性懲りもなく本の話を連発してみる.

冬になり,カラ類の混群とかカラスの塒などが見やすい時季になった.群れを作るにはそれなりの理由がある.というわけで,鳥が群れを作るという行動にまつわるあれこれを一般向けに解説した一冊.著者は立教大の上田恵介氏.

群れと一口に言っても色々あるわけで,例えば先に挙げたカラ類の混群やカラスやムクドリの集団塒というのが代表的だ.あとは渡りに際してガンカモやハクチョウ類,シギチドリの類が作る群れとか,おおざっぱにあげても色々ある.群れを作る目的としては,効率よく餌を採るためだとか,外敵を発見しやすいとか,万が一襲われた時に自分が助かる確率を上げるためだとか,長距離飛行する時に隊列を組んでエネルギーのロスを減らすためだとか,まあ,色々あるわけで,要するに目的によって単一種または複数種によって様々な群れが作られるわけだ.群れを作るメリット,群れのなかでの順位や,塒が情報センターであるという仮説など,当時の最新の研究結果を交えつつ解説している.まあ,今となっては出版されてからもう20年近く経つわけで,情報としては多少古いものもあると思う.しかし非常に読みやすいし,面白いので,こうした分野の入門には最適だろうと思う次第.

鳥を見るのが楽しくなる,そんな本である.

猫の本棚(39) この城を攻めたのは(以下略

2008-11-27 | 
さて,気づけば読書ネタが連発になってますな.
まあ,そういうこともあろうて.


のぼうの城

著者:和田竜
出版社:小学館
出版年:2007年11月



今回は歴史ものということで.まあ,今どきの作品というか,そんなにいかにもな時代ものという文章じゃないんですが.よく言えば読みやすく,悪く言えばちょっと軽い.現代風アレンジということで,その辺はとやかく言うことではないけれど.

よっぽどの戦国時代マニアじゃないと知らないであろう武州忍城をめぐる攻防戦を,成田家の視点から書いた一冊.時は秀吉が小田原攻めをしてる頃で,攻めるは秀吉配下の石田三成,大谷吉継ら約5万.守るは北条氏配下の成田長親率いる3千弱.

成田長親は領民から「のぼう様」(「でくのぼう」の略)と呼ばれ慕われているっつう話で,まあ,色々と何やってもダメという人.最初成田家は押し寄せた軍勢に投降しようと(当主はそう考え,指示してた)したが,攻め手から使者が来て,その態度に怒った長親が籠城して戦うことにしてしまうところから始まる(まあ,本来こんなことやった時点で切腹もんですが).
近隣の百姓も動員して,戦をするわけで,成田家家臣が村まで協力を頼みに行くと,なぜ戦うんだと,誰がそんなこと言いだしたんだと最初は揉める.そこで,長親が言い出したんだと返すと,爆笑とともに,あののぼう様が言い出したんじゃあ,儂らが協力してやらなきゃしょうがあんめえ,と,領民の協力もあっさり得られてしまう.

そんなこんなで開戦して,結論だけ言っちまうと三成は城を落とせずに終わるわけです.中身は,まあ,読んでみて下さい.

読んでいて,長親が領民に慕われるのは,ロッテを応援することに通じるんじゃないかと思ったり思わなかったり.色々とダメでどうしようもないけど,ファンがついてなきゃどうしようもあんめえと,そういう感じ.

作中の台詞を色々入れ替えて遊ぶと面白かったりする.

「誰がダルビッシュからホームランを打つと(ry」
「塀内だ」

「誰が開幕投手を(ry」
「園川だ」

とか.

そんなわけで,ロッテファンはかなり楽しめるんじゃないかと思ったり思わなかったり(どっちやねん).

ついでに,最近漫画化されたようで,画は「美味しんぼ」の花咲アキラだとか.

つうことは,最後に海原雄山みたいな秀吉が出てきて

この城を攻めたのは誰だあっ!

とか・・・言うわけないですね.すみません.

ちなみに同じテーマを扱った作品として,水の城ーいまだ落城せず(風野真知雄著:祥伝社文庫)というのもあるそうで,こっちはまだ読んでないです.

猫の本棚(38) 未来を知りたくないか

2008-11-25 | 
ん~~~.いや,別に.

と,答えてしまうであろう私は心が汚れているんでしょうかね.たぶん.

ぼくと未来屋の夏

著者:武本糸会(原作:はやみねかおる)
出版社:講談社
出版年:2006年1月(全2巻)



そんなわけで,なんとなく読書ネタが続いてますねえ.他にネタが無いとも言いm(ry

ジュブナイル小説なんぞというらしいですが,はやみねかおる氏(「都会のトム・ソーヤ」とかで知られてます)の作品を漫画化したと,そういう話らしい.

小学6年生の風太が夏休みの始まる日に未来屋を名乗る猫柳という男に会って,自分の住む街の神隠しの森を調べ始めるという,そういう話.相変わらず身も蓋もなくまとめてみましたがどうでしょう.いわばミステリーなお話なわけです.つうてもあまり怪奇的というわけでもなく,実に論理的.テーマは,「なぜ」ということですかね.あとは,見えることと見えないこと.

キャラクターもいいですし.話も分かりやすい.未来屋という発想もなかなか.お話の最後はちょっとぼかしてますが,まあ,そういうのもありでしょう.

この作者,以前に紹介した「獣の奏者」の漫画版を手掛けるんだそうで,気になったんで読んでみたんですが,読んでみて正解だったようです.

猫の本棚(37) 腕立て20回

2008-11-23 | 
私の筋トレメニューじゃありませんよ(誰もそんなこと訊いてないって?大変失礼).


ヒトのなかの魚,魚のなかのヒト

著者:ニール・シューピン(訳:垂水雄二)
出版社:早川書房
出版年:2008年9月


原題は「Your Inner Fish」であるそうな.
そんなわけで,一言でまとめると,腕立て伏せができる魚の化石の話.これを発見した著者による,古生物学,発生生物学,そして解剖学を組み合わせて進化を解こうとする試みを書いている.ヒト,或いは他の哺乳類でも鳥でも両生爬虫類でもだが,手というのは,ある一定の骨の組み合わせでできている.上腕に1本,前腕に2本,手根部にある程度まとまった数の骨(9個くらい)があり,そこから5本の指が伸びる.種やグループによって多少の違いはあるが,概ねこういう解剖学的に類似した傾向があるわけだ.この起源は魚のヒレであり,即ち,魚が陸に上がるころの地層から手を持つ魚の化石が見つかるだろうと,著者は考え,調査を実行してついにそれを見つける.手の起源について,進化上のミッシングリンクが埋まった瞬間である.

次いで,魚からヒトに至るまで,同じ設計図に基づいて体が作られていることを例を挙げながら説明し,それを実行に移す遺伝子を特定していく.この辺の話は,「人体 失敗の進化史」(遠藤秀紀著:光文社新書)や「退化の進化学」(犬塚則久著:講談社ブルーバックス)で補完すると良いかもしれない.

こうして,魚からヒトへと進化の道筋を辿り,解説していく本である.

専門用語は沢山出てくるが,案外読みやすいものである.まあ,いろんなものの解剖には慣れてますからねえ.今後色々と見比べる上でも参考になりそうな視点であり,非常に面白い.

さらに面白いのは,ダーウィン的な自然淘汰論では語っていないように読めること.もうちと読み込まないと何とも言えないが,グールドやドーキンスの理論ともまた違うようで,これはこれで面白そうである.